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IASBは、2020年3月19日に、ディスカッション・ペーパー「企業結合―開示、のれんと減損(Business Combinations—Disclosures, Goodwill and Impairment)」(DP)を公表しました。本DPは、投資家が買収の成果を評価しやすくするために、企業が買収について報告する情報の改善の可能性に関するIASBの予備的見解を示すものです。IASBは企業が買収によって生じたのれんをどのように会計処理するかについても意見を募集しています。
本DPに対するコメント期限は、2020年9月15日です。
IASBは、見解を説明するショートビデオを公表しています。また、日本語によるプレスリリースおよびスナップショットも公表されていますのでご参照ください。
本DPの概要は、以下のとおりです。
1.買収に関するより良い開示
投資家は、取得した事業についての企業の経営能力(被取得企業の識別、取得価額の適切性、取得事業の統合作業および買収からの便益の実現)を評価するために、買収時点における企業結合に関する情報だけでなく、その後にどれほどの成果をあげているかに関する情報を企業の経営者に求めています。 これを受けて、IASB は、買収の目的に関する情報および事後の年度における、目的に対する買収の成果に関する情報の開示を企業に要求するようIFRS 基準を修正すること提案しています。
2.のれんの会計処理
IASB は、企業ののれんの会計処理方法を変更するかどうかも検討しています。企業は、毎年、のれんの減損テストをする必要がありますが、この減損テストが有効かどうかについてはさまざまな意見があります。その中には、減損テストは投資家に買収の成果を知らせているという意見があります。一方、減損テストはコストがかかり複雑であり、のれんの減損の報告は遅いことが多いという意見もあります。
IASB は、減損テストの改善―のれんの価値が毀損した場合に、より早い段階で企業に報告を要求する減損テストの開発―に取り組みました。現行の減損テストは投資家に情報を提供しますが、それは、のれん単独ではなく、それ以外の多くの資産とあわせてテストするものです。IASB は、のれんだけを対象として、より適切に合理的なコストで減損テストする代替的な方法は見つからないと結論付けました。新しい開示の要求事項によって、投資家に買収の成果に関して必要な情報が提供されることが期待されます。
IASB には、2004 年まで IFRS 基準の要求事項であったのれんの償却―段階的に簿価を減額していく方法―を再導入すべきであるという提案がありました。しかし、のれんの償却によって、企業が投資家に報告する情報を大幅に改善することにつながる明確な証拠がないため、IASB は、のれんの償却に係る長所と短所を検討した結果、減損のみのアプローチを維持することを予備的見解としています。
IASB 議長の Hans Hoogervorst は次のように述べています。
「投資家は、企業の経営者から買収の成果に関するより良い情報が説明されることを求めています。今回提案した解決策は、企業にコストをかけすぎずに、投資家のニーズを満たすことを目的としています。 IASB では、買収の事後の年度においてのれんをどのように会計処理するかという困難な問に着目しました。現在の IASB の見解は、減損のみのアプローチを維持し、償却を再導入しないというものです。この重要な議論に追加する新たな証拠を歓迎します。」
3.その他
本ディスカッション・ペーパーには、作成者の減損テストのコストを削減する提案など、上記で概説したもの以外の提案も含まれています。
詳細は、IASBウェブサイトをご覧ください。
【関連リンク】
  • 2020/05/13 IASBがディスカッション・ペーパー「企業結合-開示、のれん及び減損」を公表 (JICPA
  • 2020/03/19 IASBが、投資者が企業に買収の説明責任を求める方法及びのれんの会計処理について公開協議(ASBJ
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