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2016/04/06 評価：減損テストに関する主要な検討事項 【IFRS News】
公表日: 2016年06月10日
jp ニュース
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不安定な株式市場や商品価格（原油価格など）の下落を背景に、PwCで評価実務にたずさわるAttul Karirが、国際会計基準（IAS）第36号「資産の減損」に基づく減損テストで使用するキャッシュ・フローおよび割引率の適切性をレビューする際の主要な検討事項について解説します。
欧州証券市場監督局（ESMA）は、上場企業の2015年度の財務諸表を欧州各国の規制当局と共同で評価する際のエンフォースメントの優先事項（Enforcement Priorities）として、次の事項を識別しています。
- 金融市場の状況が財務諸表に与える影響（とりわけ、現在の金利環境、カントリー・リスクおよび為替リスク、並びに商品価格の不安定さなどの影響）
- 公正価値の測定および関連する開示
- キャッシュ・フロー計算書および関連する開示
セクター特有の焦点となる領域
業種特有の要因や業界の規制団体よる検査が評価に影響を与える可能性があります。例えば、商品価格がキャッシュ・フロー予測や認識されているリスクに及ぼす影響は、商品がインプットかアウトプットかによって異なります。
財務報告上の評価に対してどのような影響があるか
減損トリガー
すべての減損トリガー（内部要因および外部要因の両方）について十分な検討が行われているでしょうか。特に、金利環境、商品価格、カントリー・リスクおよび為替リスクに注意を払う必要があります。
使用した主要な仮定は、外部市場において観察可能な情報と整合しているでしょうか。
規制当局は、割引率とターミナル成長率のみが主要な仮定であるとの誤った認識がもたれている場合が多いことに着目しています。キャッシュ・フロー予測の基礎となった主要な仮定は適切に開示されているでしょうか。
IAS第36号に基づく減損テストで使用するキャッシュ・フローおよび割引率の適切性をレビューする際の主要な検討事項は何か
キャッシュ・フロー
● | 過度に楽観的でないか | |
○ | 事業の業績はどうか。 | |
○ | キャッシュ・フローは現在の市場の状況に合わせて調整されているか。 | |
○ | 財務諸表におけるセグメント開示とキャッシュ・フローの予測は首尾一貫しているか。 | |
○ | 成長率の仮定について同業他社やアナリスト・レポートとの比較を行ったか。 | |
○ | 当初5年間の成長率とターミナル成長率の両方について、その根拠は十分か。 | |
● | 商品価格の影響 | |
○ | 価格の低迷が続く場合は、それを事業の資産評価に反映しなければならない。 | |
○ | 商品は事業のインプットである場合もアウトプットである場合もある－キャッシュ・フロー予測は予想される商品価格を反映しなければならない。 | |
● | 間接費の配分 | |
○ | 一般管理費は、資金生成単位（CGU）に配分しなければならない。 | |
● | 将来の拡張 | |
○ | 使用価値は、設備投資による資産の性能の拡張ではなく、維持に基づくものでなければならない。 | |
割引率
● | 現在の金利環境：欧州における特定のベンチマーク（すなわち、一部の国債および優良社債）の低金利もしくはマイナス金利については、加重平均資本コスト（WACC）に使用されるインプットに慎重に反映しなければならない。 | |
● | 為替リスクとカントリー・リスクは同じものではない。 | |
○ | 為替リスクとは、現地通貨建のキャッシュ・フロー予測に対して先進国のリスク・フリー・レートを使用する際に用いるインフレ率の差に関するものである。 | |
○ | カントリー・リスクとは、地政学的にみたその国の経済環境に関するものである。個別のカントリー・リスク・プレミアムは、通常、キャッシュ・フロー予測が異なる通貨で作成される場合においてのみ関連性がある。現地の資本コストを見積る場合には、見積りに用いた現地のリスク・フリー・レートにカントリー・リスク・プレミアムがすでに含まれている。 | |
○ | 目標とする資本構造 | |
○ | 加重平均資本コスト（WACC）に用いるギアリング比率を算出する際に、企業固有の負債資本比率を使用してはならない。代わりに、業界平均または目標ギアリング比率を基にすべきである。 | |
● | 複数のCGU（または複数の地域）に対する単一の割引率の使用 | |
○ | 単一の割引率の使用は、個々のCGUについてのキャッシュ・フロー予測のリスクが同様であることを示唆するため、その根拠を示すのは困難である可能性がある。 | |
次のステップ
規制当局や投資家、そしてメディアに至る幅広い利害関係者が引き続き減損テストに注目しています。PwCは、調査結果に基づき、企業はより多くの作業を行う必要があると考えています。詳細なガイダンスについては、PwCの情報サイトのInformにて、「Valuation guidance paper（評価に関するガイダンス）」（英語のみ）およびIn depth INT2015-08「非金融資産の減損－減損テストにおける5つのポイントの詳説」（会員コンテンツ）をご参照ください。
PricewaterhouseCoopers LLP
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