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減損のレビューにおいて使用価値(VIU)を使用する際によく見られる落とし穴について、PwCのMary Dolsonが説明します。
国際会計基準(IAS)第36号「資産の減損」に基づく非金融資産の減損は、規制当局や財務諸表利用者が注目し続けているトピックです。金融危機から6年が経過しましたが、低成長またはゼロ成長、および物価の低迷が今も企業に試練を与え続けています。また、こうした問題や英国のEU離脱(Brexit)等の「未知の要素」が減損テストにも影響を与えています。
国際財務報告基準(IFRS)を適用している主要な資本市場の規制当局は、今やかなりの法執行経験を蓄積しています。IAS第36号に基づく減損に焦点を当てた規制当局の法執行活動の件数は多く、使用価値(VIU)が1つのテーマとして浮上しています。
IAS第36号の下での回収可能価額は、公正価値および使用価値(VIU)の両方ともにキャッシュ・フロー・モデルを用いて計算することができます。VIUは「使い易い」ものだと認識されているようですが、最近の規制当局との間での我々の経験はこの見方を裏付けるものではありませんでした。VIUは、IAS第36号の中にのみ存在するキャッシュ・フロー・モデルであり、多くの規範的な規則があります。
規制当局はVIUの適用を主張する企業に対する監視を強化していますが、その理由は何でしょうか。それは、規制当局は、企業がVIUに関するすべてのガイダンスには従っていないことを、その企業の開示から推論できるか、または注意深く選択したいくつかの質問によって明らかにできる可能性があるからです。経済が力強く成長していた時代においては、VIUの見積りはそれほど懸念すべきものではありませんでしたが、現在の経済環境下においては規制当局の関心が明らかに高まっています。企業は、VIUに関する要求事項を遵守していると主張する際には、どのようにしてその詳細なガイダンスを遵守しているかを説明する準備を整えておく必要があります。
VIUに関してますます注目が集まっている側面の1つは、「可能性の高い」キャッシュ・フローを見積もるという要求事項です。例えば、開発中の油田または取得した仕掛研究開発(IPRD)資産のような開発中の資産には、5年の予測期間内には「可能性の高い」収益が発生しない可能性があります。
一部の人々は、これらの種類の資産のテストにVIUが使用可能であるかどうかを疑問視しています。また、一部の規制当局は「可能性の高いキャッシュ・フローがなければVIUを使用できない」と断言しています。VIUを使用したいと考える企業は、可能性の高い将来キャッシュ・フローを入手するために、かなり複雑なモデル化を行う必要があります。そのキャッシュ・フロー・モデルには、それぞれに発生可能性でウェイト付された複数のシナリオが必要となります。さらに、キャッシュ・フローと割引率の両方にリスクを織り込む必要があるため、実質的により高い割引率の使用に備える必要があります。
税引前の割引率および税引前キャッシュ・フローは、IAS第36号を遵守することの困難さが明白かつ分かりやすい領域です。観察可能な税引前の割引率を入手することはできません。税金キャッシュ・フローのモデル化は非常に困難であり、方程式もあまりに難解なため実務上も稀にしか見られません。
VIUについては、「税引前」や「可能性が高い」ことのみが問題とされるわけではありません。IAS第36号のVIUのセクションには、キャッシュ・フローの見積りの決定に関するガイダンスがあります。規制当局はこのガイダンスを読んで、VIUキャッシュ・フローの基礎となる仮定に異議を唱えています。
PwCでは、IAS第36号の一部を平易な言葉で以下のように読み替えています。
条文
平易な表現による言い換え
第33項(a) キャッシュ・フロー予測は、
合理的で裏付け可能な仮定
を基礎としなければならず、これには、当該資産の残存耐用年数にわたり存在するであろう一連の経済的状況に関する経営者の最善の見積りを反映する。
外部の証拠により大きな重点を置かなければならない。
誠実な見積りを行う。市場データを無視してはならない。
第33項(b) キャッシュ・フロー予測は、経営者が承認した直近の財務予算・予測を基礎としなければならないが、将来のリストラクチャリング又は資産の性能の向上又は拡張から生じると見込まれる将来のキャッシュ・インフロー又はアウトフローの見積りは除外しなければならない。これら予算・予測を基礎とした予測の対象期間は、最長でも5年間としなければならない。ただし、より長い期間が正当化できる場合は除く。
減損テストのために特別な予測を行ってはならない。
将来に見込まれる事業や資産ではなく、会社が現に保有している資産または事業をテストしなければならない。
ターミナルバリューや5年を超える特定の予測については、その正当性を主張できなくてはならない(詳しくは下記を参照)。
第33項(c) 直近の予算・予測の期間を超えたキャッシュ・フロー予測は、後続の年度に対し一定の又は逓減する成長率を使用した予算・予測に基づくキャッシュ・フロー予測を推測して延長することにより見積らなければならない(逓増率が正当化できる場合を除く)。この成長率は、企業が営業活動をしている製品、産業若しくは国、又は当該資産が使用されている市場の、長期平均成長率を超えてはならない(より高い成長率が正当化できる場合を除く)。
キャッシュ・フロー・モデルにおいて、予測期間の終盤で評価を急上昇させることになるような古典的な誤りを避けなければならない。
モデルに人口を超えるレベルの消費を意味するような成長を組み入れている。
競合他社に比べて高く、短期間しか持続できないような成長率が想定されている。より高い成長率や割増キャッシュ・フローであるほど競争は激しくなる。

VIUは、「不実な友(false friend)」、すなわち企業にとってその期待を裏切るものかもしれません。VIUに関する規則の遵守は困難で、IAS第36号によって膨大な量の開示が義務付けられており、さらには規制当局から異議を唱えられやすいからです。
もし企業がVIUを使用するのであれば、VIUに関する全ての規則に従い、全ての開示を行わなければなりません。
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