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国際会計基準(IAS)第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に関連するIFRS解釈指針委員会で却下された論点の実務上の影響について、PwCグローバル・アカウンティング・コンサルティング・サービスのChen Wuが検討します。


今あなたは何かの答えを探していますか?

もしかしたらそれはすでに専門家によって検討済みかもしれません。
IFRS解釈指針委員会(IFRS IC)(以下、「IC」)は、定期会議において、最大で20件までの様々な論点を定期的に検討しています。議論された論点のうち、解釈指針が作成されるのは、非常に限られます。改善や狭い範囲の修正となるものもありますが、多くの論点は却下されます。アジェンダに取り上げられなかった論点は「IFRICリジェクション(ICに却下された論点)」となり、これらは会計業界においては「非IFRIC(not an IFRIC)」もしくはNIFRICsとして知られています。NIFRICsは(2002年以降)成文化されており、国際会計基準審議会(IASB)の発行する基準書の「グリーンブック」に掲載されていますが、厳密には、権威のある会計基準書等に該当しません。このシリーズ記事では、ICによって「却下された」論点について知っておくべきことを取り上げます。今回はIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」を扱います。

IAS第8号は、会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬を扱っています。この領域は、財務諸表作成者および監査人が数多くの疑問を提出してきた領域ではないかと考える人もいるでしょう。しかし実際はそうではなく、IAS第8号に関連するNIFRICは2件しかありません。

1件は初度適用におけるIAS第8号の「実務上不可能である場合の例外措置」の適用についてのもので、もう1件は会計方針を設定する際のIAS第8号の「階層」の適用に関連するものです。

初度適用企業に対するIAS第8号の「実務上不可能である場合の例外措置」の適用(2004年10月)


IAS第8号には「実務上不可能である場合の例外措置」の規定があり、会計方針の変更による過年度への影響を決定することが実務上不可能である場合には、企業は新しい会計方針を完全遡及適用しないことが認められます。

ICは、この「実務上不可能である場合の例外措置」がIFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」において初度適用企業にも適用されるのかどうかについて検討するよう要請されました。ICは、特に「古い」項目に関して論点になりうると認めました。例えば、長期保有資産について、新しい会計方針を遡及適用するために必要な情報を過年度に収集しておらず、当該情報を作り直すことが実務上不可能である場合があります。

しかし、ICは、IFRS第1号で利用可能な経過措置の選択肢を用いることで、通常、この問題は解決できると考えました。例えば、IFRS第1号は、移行日に契約にリースが含まれているか否かを評価する際に、(IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」を完全遡及適用する際に求められる)契約の開始時ではなく、移行日時点で存在する事実に基づき評価することを初度適用企業に認めています。

IAS第8号の階層の適用(2011年3月)


IAS第8号は、ある取引に対して具体的に当てはまる基準または解釈指針が存在しない場合に、適切かつ信頼性のある会計方針を開発し、適用することを経営者に要求しています。IAS第8号が示す階層には次のようなものがあります。
a)
類似の事項や関連する事項を扱っているIFRSの要求事項を適用する
b)
「フレームワーク」における資産、負債、収益および費用に関する定義、認識規準および測定概念を適用する
c)
類似のフレームワークを使用している他の会計基準設定主体の直近の基準等の文書、その他の会計上の専門的文献および一般に認められている業界実務慣行を、IFRSの根拠資料に反しない範囲において考慮する
ICへの要望書では、類推適用するIFRSの特定の要素のみを適用することの適切性について疑問が投げかけられました。例えば、共通支配下の企業結合の会計方針を設定する際に経営者がIFRS第3号「企業結合」を参照する場合、識別可能純資産の公正価値測定に関する要求事項のみを適用し、以前に保有していた持分に関する利得または損失を損益に認識するという要求事項を適用しないことは可能かという質問です。

ICは現行のガイダンスで十分だと考え、この論点を却下しました。ICは、特定の論点に、類似および関連する事項を扱うIFRSを類推適用する場合、経営者は、その特定の論点に適用可能なIFRSの要素をすべて適用することについて判断すべきであると結論づけました。

IAS第8号に関するIFRICリジェクションの要旨
トピック
結論の要旨
IFRS第1号におけるIAS第8号の「実務上不可能である場合の例外措置」の適用(2004年10月)
ICは、IAS第8号の「実務上不可能である場合の例外措置」が初度適用企業にも適用されるかどうかを検討するよう要請され、特に「古い」項目に関して論点となりうることを認めた。しかしICは、IFRS第1号において利用可能な経過措置の選択肢を用いることで、通常は、この問題が解決できると考えた。
IAS第8号の階層の適用(2011年3月)
ICは、特定の論点に、類似の事項や関連する事項を扱うIFRSを類推適用する場合に、IFRSのどの要素を適用すべきかの決定に際し、経営者は判断を用いるべきだと結論づけた。
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