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代替的業績指標(Alternative Performance Measures; APM)を使用する企業は、IAS第1号に対して適用される修正の他にも、欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authority; ESMA)および証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions; IOSCO)が公表した新しいガイダンスを理解する必要があります。アカウンティング・コンサルティング・サービスのAnnette Malschが、企業が実施すべきことと実施すべきではないことを要約し、いくつかの実務的な設例を解説します。


2016年6月30日以後に終了する年次報告書または期中報告書を作成する欧州の企業は、最新の国際会計基準(IAS)第1号「財務諸表の表示」の修正を適用しなければなりません。この修正は、財務諸表における追加的な小計に関するガイダンスを明確化しています。

しかし、大部分の企業(PwCの調査結果をご参照ください)は、GAAP指標を開示するだけではなく、調整した数値、すなわちAPMを開示しています。多くの投資家や他の財務諸表利用者は、APMの有用性を認めながらも、開示された情報について透明性の向上が必要であると考えています。企業は、最近公表された「代替的業績指標に関するESMAガイドライン」およびそれと類似するIOSCOの「非GAAP財務指標に関する最終報告書」を考慮しなければなりません。
APMとは、「業績、財政状態、キャッシュ・フローに関連する、適用すべき財務報告フレームワークで定義された、または特定された以外の、過去または将来の財務指標」です。

IAS第1号の修正


「開示に関する取組み」の一環として開発されたIAS第1号の明確化は、企業が専門家としての判断をさらに実施するよう促すこと、また、財務報告における表示および開示の有効性を改善することを目的としています。追加的な表示科目、見出しおよび小計が企業の財務業績の理解に関連性がある場合には、それらを表示しなくてはなりません。また、当修正は、求められる判断を明確にするとともに、表示科目に関する単一の包括的なリスト(利用者が各種業界の財務諸表の理解に目的適合的なもの)を国際会計基準審議会(IASB)が開発することは実際的ではないことを認めています。

適切な名称が付され、国際財務報告基準(IFRS)で定義された指標と矛盾しない追加的な表示科目または小計は、APMとみなされない可能性があります。しかし、小計以外の業績指標が開示され、当該指標に選択的に含まれる収益や費用がIFRSでは一般に認識されない基礎に基づく場合には、APMとみなされる可能性が高くなります。

IOSCOのガイダンス


IOSCOのガイダンスは、発行者が財務諸表以外の箇所(プレスリリース、経営者による財政状態および経営成績の討議と分析(MD&A)、営業・財務概況(Operating and Financial Review)、または証券規制当局や証券取引所に提出した開示文書など)に、開示するすべてのAPMに適用されます。

財務諸表上に提供される財務情報は、IOSCOのガイダンスの範囲から明示的に除外されます。ただし、財務諸表上のAPMが、何の制限も課されないというわけではありません。IAS第1号の要求事項が、適用されます。MD&Aと主要財務諸表の両方にAPMを表示する企業は、IOSCOのガイダンスおよびIAS第1号の両方に従わなければなりません。

規制当局は、2016年7月1日より後に実施する企業財務報告のレビューにおいて、APMに焦点を当てることになっています。

ガイダンス


IOSCOは、APM(または非GAAP財務指標)を、GAAP指標ではない財務業績、財政状態、もしくはキャッシュ・フローに関する財務諸表の発行者の現在、過去、将来の数値指標として、定義しています。財務諸表の発行者に対する要求事項は以下のとおりです。
  • APMを明確に定義し、GAAP指標と区別できる、意味のある名称を付す。
  • APMを表示する理由(投資家にとっての有用性や経営者にとっての追加的な目的など)を説明する。
  • 市場に不利な情報を提示することを避けることを目的としてAPMを使用してはならない。
  • APMを、GAAP指標よりも目立つように表示してはならず、また、GAAP指標の表示を紛らわせたり、不明瞭にしたりしてはならない。
  • APMと、APMに最も直接的に関連する財務諸表上のGAAP指標との調整表を作成し、その調整について説明する。
  • APMを表示する際は比較情報も表示する。
  • APMは、一定期間にわたって一貫して表示する。変更があればその旨とその理由を説明する。
  • リストラクチャリング費用や減損損失などの項目は、十分な説明がない場合には、非経常的で、発生が稀で、例外的である等の説明を付すべきではない。これらの項目は、大抵の場合、予見可能な将来に再発する合理的な可能性があり、または近い過去に企業に影響を及ぼしているためである。
  • APMに関して発行者が提供する情報は、財務情報の利用者が迅速かつ容易にアクセスできなければならない。
IOSCOのガイダンスはESMAが公表したガイドラインに非常に類似しています。

設例


以下の設例では、財務諸表におけるAPMの使用に関するIOSCOのガイダンスおよびESMAガイドラインの適用について解説します。

名称付け/比較情報
ケース1:ある企業は、損益計算書におい「営業利益」と「正常化営業利益」を表示しました。「正常化営業利益」には、無形資産の償却、のれんの減損、株式に基づく報酬費用および棚卸資産の評価減が含まれています。

この「正常化営業利益」の表示が容認される可能性は高くはありません。「営業利益」には、通常、「営業」とみなされるすべての活動を含めなければなりません。前述の項目を除外することは、営業の性質を有する項目を営業活動から除外していることになり、誤解を招く可能性や損益計算書の比較可能性を損なう可能性があります。

財務諸表の作成者は、これが過去の実務にどのような影響を与える可能性があるのかについて考える必要があります。

ケース2: ある企業が、2016年6月30日現在の損益計算書(注:大幅に簡略化したもの)を次のように表示しました。
リストラクチャリング費用
考慮前(千ユーロ)
リストラクチャリング費用
(千ユーロ)
合計
(千ユーロ)
売上高
2,000
-
2,000
売上原価
400
200
600
売上総利益
1,600
200
1,400
その他の収益
100
-
100
営業利益
1,700
200
1,500

損益計算書の複数列形式は、経営者が営業成績として考えている数値(リストラクチャリング費用などの例外的な項目を除いた数値)に関する理解を促すことから、容認されます。

ただし、当年度の形式に一致する表示が、表示される比較期間についても要求されます。毎期、類似するリストラクチャリング費用が含まれる場合、経営者はそれらが本当に例外的な項目であるのかについて検討しなければなりません。

APMの使用について説明する


上記のケース2のような、複数列形式の損益計算書を表示する企業は、注記に以下のような説明を加えることができるかもしれません。

「当社は、リストラクチャリング活動の結果を区分して識別するため、連結損益計算書において複数列を設ける表示形式を採用しました。この形式により、継続的事業による基本的な業績結果の理解を深めることができると取締役が考えたためです。リストラクチャリングは、再発が見込まれない1回限りの事象です。当社は、連結損益計算書上に「リストラクチャリング費用」のタイトルを付した列を設け、リストラクチャリング活動に関する財務業績の要素の影響を区分して開示する方針を採用しました。取締役は、この開示方針が、会社の達成した財務業績を理解するのに役立つと考えました。」

次のステップ


非GAAP指標、とりわけ業績指標は、規制当局、投資家、および企業に引き続き注目されています。APMを表示する際に、企業は、ESMAのガイドラインおよびIOSCOのガイダンスを考慮しなければなりません。
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