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要点
2023年6月13日、欧州委員会(EC)は以下を公表しました。
  • タクソノミー規則の下記4項目の環境目的の技術的スクリーニング基準を定義する、最終的な環境委任法(「環境委任法」)
    • 水と海洋資源の持続可能な利用と保全
    • 循環経済(circular economy)への移行
    • 汚染の防止と抑制
    • 生物多様性(biodiversity)と生態系(ecosystems)の保全と回復
  • 環境委任法には、必須の報告テンプレートの内容を含む開示委任法の変更も含まれる。
  • 修正や新たな活動を含む気候変動の緩和や気候変動への適応など、気候に関する環境目的を対象とする気候委任法の修正

最終タクソノミー規則はこちらから入手可能です。
  • 気候委任法を修正する文書
    • 附属書I-気候変動の緩和
    • 附属書II-気候変動への適応
  • 環境委任法の文書と開示委任法を修正する文書
  • 附属書I-水と海洋資源の持続可能な利用と保全
  • 附属書II-循環経済への移行
  • 附属書III-汚染の防止と抑制
  • 附属書IV-生物多様性と生態系の保全と回復
  • 附属書V-附属書I、II、IV、V、Xの修正版
  • 附属書VIと附属書VIIのテンプレート
また、ECは、タクソノミー規則の特定の法規定解釈(最低限のセーフガードを含む)およびサステナブル・ファイナンス開示規則(SFDR)との連携について、EC通知を公表しています。
1.EUタクソノミー委任法
適用日
適格性
準拠性
非金融の事業体
目的1-2
(気候変動の緩和および適応)- 「旧」活動
2023年度に関する2024年の報告書
変更なし
目的1-2
(気候変動の緩和および適応)-修正版「新たな活動」
2023年度に関する2024年の報告書
2024年度に関する2025年の報告書
目的3-6
(水、循環経済、汚染の防止、生物多様性)
2023年度に関する2024年の報告書
2024年度に関する2025年の報告書
開示委任法の変更
2023年度に関する2024年の報告書
金融機関
目的1-2
(気候変動の緩和および適応)- 「旧」活動
2023年度に関する2024年の報告書
変更なし
目的1-2
(気候変動の緩和および適応)-修正版「新たな活動」
2023年度に関する2024年の報告書
2023年度に関する2024年の報告書
開示委任法の変更
2023年度に関する2024年の報告書
「環境委任法および気候委任法」の対象となる経済セクターおよび活動
環境委任法は、タクソノミー規則の気候以外の1つまたは複数の環境の目的に実質的に貢献する経済活動の基準を定義しています。これには、8 セクターにおける35の経済活動が含まれます(詳細については下記の附属書を参照)。
  • 4セクターについての水および海洋資源に関する6つの活動
  • 5セクターについての循環経済への移行に関する21の活動
  • 2セクターについての汚染の防止と抑制に関する6つの活動
  • 2セクターについての生物多様性と生態系の保全と回復に関する2つの活動
気候委任法に対する的を絞った修正は、気候変動の緩和と適応の目的に貢献する追加的な経済活動の基準を定義しています。これらの活動には、6つのセクターを対象とする12の新たな活動に加え、気候委任法における既存の活動を対象としたいくつかの更新が含まれます(詳細については下記の附属書を参照)。
  • 2セクターについての気候変動の緩和に関する7つの活動
  • 4セクターについての気候変動への適応に関する5つの新たな活動
セクターと新たな活動(リストに記載されている活動がすべてを網羅しているわけではない)
主要なハイライト
気候目的
  • 航空業界の活動は、基準の技術的な調整によって維持された。
  • 適応活動が調整された。特に、活動の説明の変更、「重大な害とならない(Do No Significant Harm:DNSH)」基準に対する変更、および「土木工学」の活動は削除された。
  • 農業、林業、漁業および特定の製造活動などの特定のセクターおよび活動については、基準の更なる評価と校正が必要である。
その他の4つの目的
  • 生物多様性と生態系の保全と回復は、生息地、生態系、種の回復を含む保全活動の下での相殺に関する実質的な貢献基準の明確化、すなわち別の経済活動の影響の相殺は除外され、実質的な貢献として考慮できるのは、保全/回復から生じる生物多様性の純利得のみです。
  • 循環経済への移行は、プラスチック製包装用品の製造に関するより厳格な基準によって修正されている。
  • 適応の基準は、将来、さらに多くの活動を含めるよう拡大が予定されている。時間的な制約のため、サステナブル・ファイナンス・プラットフォームとECは、現段階では、気候変動に適応させるタクソノミー環境委任法に含まれる全ての活動について、適応の基準を策定できていない。ECは、将来、気候変動に適応させるための関連活動の技術的スクリーニング基準の開発を目指している。
提案されている技術的スクリーニング基準の2セット目の活動は、タクソノミー規則の要求事項を遵守するためにより時間をかけた詳細な評価が必要となり、そのため採択は以降の段階に延期されました。
次のステップ
EUのすべての公式言語への翻訳後、委任法は正式に採択され、その後、精査のために共同議会に送られます。欧州議会およびEU理事会は4カ月間(追加の2カ月は要請により延長可能) 委任法を精査します。精査期間が終了し、共同議会が異議を唱えなければ、委任法は発効となり、2024年1月から施行されます。
2.タクソノミー規則の特定の法規定解釈およびSFDRとの連携に関するEC通知
また、ECは、タクソノミー規則の特定の法規定解釈(FAQを含む)に関する通知を公表しました。
最低限のセーフガード
FAQは、事業体が最低限のセーフガードを遵守するための要求事項をどのように考えるべきかを明確にしています。すなわち、事業体は次のことを行わなければなりません。
  • 自らの事業、バリューチェーンおよび取引関係に関連する実際および潜在的に害となる影響を継続的に特定、防止、緩和または是正する手続を含む、適切な手続を行う。
  • 潜在的な影響を明確に開示し、事業体が最低限のセーフガードを遵守しなかった場合に、特定、防止、緩和または是正するために何を行ったかを説明する。
SFDRとの連携
FAQは、Regulation(EU)2019/2088、SFDRの下で、タクソノミー規則に準拠した経済活動および資産への投資状況を明確にしています。
  • SFDRとタクソノミー規則第18条の直接的な関係を考慮すると、タクソノミー規則に整合した「環境的にサステナブルな」経済活動への投資は、SFDRの下での製品レベルの開示要求事項の文脈では無条件に「サステナブルな投資」の要件を満たすとみなされます。
付属書-対象となる活動のリストの詳細
その他の4つの目的に関する新たな活動
4セクターについての水および海洋資源に関する6つの活動
1. 製造
1.1. 給水システムにおける漏水の低減および防止を可能とする漏水管理技術の製造、設置および関連サービス
2. 上下水道、廃棄物管理および修復活動
2.1. 水道
2.2. 都市排水処理
2.3. 持続可能な都市排水システム(SUDS)
3. 災害リスク管理
3.1. 洪水・干ばつリスクの予防と保護に関する自然災害ソリューション
4. 情報・コミュニケーション
4.1. 漏水低減のためのIT/OTデータ・ドリブン・ソリューションの提供
5セクターについての循環経済への移行に関する21の活動
1. 製造
1.1. プラスチック製包装用品の製造
1.2. 電気・電子制御機器の製造
2. 上下水道・廃棄物管理および修復活動
2.1. 排水からのリン回収
2.2. 人的消費以外の目的での代替水資源の製造
2.3. 有害廃棄物の収集・運搬
2.4. 有害廃棄物の処理
2.5. 嫌気性消化または堆肥化によるバイオ廃棄物の回収
2.6. 使用済み製品の汚染除去・解体
2.7. 非有害廃棄物の分別および原料回収
3. 建設および不動産活動
3.1. 新規建物の建設
3.2. 既存建物の改修
3.3. 建物等の取り壊し・解体
3.4. 道路・自動車道路の保守
3.5. 土木工事におけるコンクリートの利用
4. 情報およびコミュニケーション
4.1. IT/OTデータ・ドリブン・ソリューション、ソフトウェアの提供
5. サービス
5.1. 修理、改装、再製造
5.2. スペアパーツ販売
5.3. 使用済み製品および製品部品の再利用のための準備
5.4. 中古品の販売
5.5. サービスとしての製品およびその他の循環利用と結果志向のサービスモデル
5.6. 再利用のための中古品取引市場
2セクターについての汚染の防止と抑制に関する6つの活動
1. 製造
1.1. 原薬または有効成分の製造
1.2. 医薬品製造
2. 上下水道・廃棄物管理および修復活動
2.1. 有害廃棄物の収集・運搬
2.2. 有害廃棄物の処理
2.3. 法令不遵守の埋め立ておよび廃棄処分または不法投棄の改善
2.4. 汚染用地・地域の改善
2セクターについての生物多様性と生態系の保全と回復に関する2つの活動
1. 環境保全および回復活動
1.1. 生息地、生態系および種の回復を含む保全
2. 宿泊活動
2.1. ホテル、休暇、キャンプ場および類似の宿泊施設
気候変動の緩和のための新たな活動
気候変動の緩和目的のための22の修正および7の新たな活動(製造、輸送)
3. 製造
3.18. 自動車・モビリティ部品の製造
3.19. 鉄道構成部品の製造
3.20. 気候変動の緩和に実質的な貢献をもたらす、または可能にする、送配電用の高・中・低圧電気機器の製造、設置および付帯サービス
3.21. 航空機の製造
6. 輸送
6.18. 航空機のリース
6.19. 旅客・貨物航空輸送
6.20. 空港地上支援業務
気候変動への適応のための新たな活動
気候変動への適応目的のための15の修正および5の新たな活動(土木、IT、コンサルタント、災害リスク管理)
5. 上下水道、廃棄物管理および修復活動
5.13 淡水化
8. 情報・コミュニケーション
8.4. 気候リスク管理を可能にするソフトウェア
9. 専門的な科学技術活動
9.3. 気候リスク管理コンサルタント業務
14. 災害リスク管理
14.1. 救急サービス
14.2. 洪水リスク防止および保護のインフラストラクチャ
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