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要点
米国証券取引委員会(SEC)は、特別買収目的会社(SPAC)の新規株式公開(IPO)と合併(de-SPAC)取引に関連する提出書類および開示の要求事項に関する規則を採択しました。本規則は、追加的な開示を要求し、伝統的なIPOと報告要求を整合させることで、投資家保護を強化することを目的としています。
※本資料は新規則の発効日を反映するため2024年2月にアップデートされました。

最新の動向
2024年1月24日、SECは特別買収目的会社(SPAC)の新規株式公開(IPO)、およびIPO後のSPACと非公開事業会社の合併(de-SPAC)取引に影響を与える新規則および修正ガイダンスを採択しました。この新規則は、2022年3月の提案からほとんど変更されておらず、米国内の提出企業と外国登録企業(FPI)の両方に対して一般的に適用される修正を含んでいます。
「今日の採択は、開示、予測の使用および発行者の義務という3領域を通じて投資家の保護を強化し、SPACに関する規則と伝統的なIPOの規則の実質的な整合性を確保する一助となるだろう。」
SEC議長 ゲイリー・ゲンスラー
SPACによる新規株式公開
本最終規則は、SPACスポンサー、関係会社およびプロモーターに関連するSPACのIPOにおいて追加的な開示を要求しており、これにはde-SPAC取引の完了時に付与される(または付与が予定される)報酬、ロックアップ契約の条件、利益相反および潜在的な希薄化要因が含まれます。
SECは、特定のSPACについて投資会社の定義から免責する案(safe harbor)は採択しませんでした。しかし、本規則のリリースには、SPACの投資会社としてのステータスを分析する際に役に立つガイダンスが含まれています。これには、SPACの資産と収益の内容、その管理活動、特定されたターゲット企業の事業、ターゲット企業を特定するのに要した期間に関する検討事項が含まれます。
De-SPAC取引
SPACのIPOに関する要求事項と同様、本規則は、de-SPAC取引に関しても、Form S-4もしくはForm F-4またはSchedule 14Aといった提出書類により、SPACスポンサーやその関係会社およびプロモーターが受領した(または受領予定の)報酬、潜在的な希薄化の各要因の性質および金額の一覧表、利益相反などの開示を要求しています。また、本規則は、SPACに対し、de-SPAC取引や関連する全ての資金調達取引の内容がSPACと関連しない有価証券保有者にとって公正または不公正であると合理的に考えるかどうか、外部の当事者が取引の公正性に関して報告書を作成したかどうかについての記述も要求しています。
さらに、本規則は以下を行っています。
  • 予測の全体的な信頼性への懸念に対応するために、予測の使用に関するガイダンスを提供(詳細については、下記の「予測の使用」を参照)
  • 非公開事業会社をForm S-4およびForm F-4における「共同登録企業」とみなすことにより、非公開事業会社および署名者に証券法第11条に基づく責任(例えば、重要性のある情報の虚偽表示または省略)を負担させるとともに、登録届出書の発効日から各共同登録者に報告義務を負担させる
  • 金融仲介業者がde-SPAC合併に関連してどの時点から法定引受人とみなされ、その結果として証券法(例えば、第11条)に基づく責任を負担するかに関するガイダンスを提供
  • 非公開事業会社に関する特定の財務諸表の要求事項の明確化および変更(詳細については「財務諸表への影響」を参照)
  • 目論見書、委任状説明書およびその他資料についての最低限の周知期間を総会前の20日間と規定(法律で禁止されている場合を除く)
  • Regulation S-K(または、FPIについての同等の規定)に基づき、ターゲット企業に関して、事業の記述(Item 101)、財産の記述(Item 102)、法的手続き(Item 103)、会計士の変更および会計や財務開示に関する会計士との見解の相違(Item 304)を含む、追加の開示を要求する。
財務諸表への影響
本規則では、de-SPAC取引に関する財務諸表の要求事項を伝統的なIPOの要求事項とより緊密に整合させることを目的としたRegulation S-X Article 15を新たに導入しています。その結果、非公開事業会社が新興成長企業(emerging growth company、EGC)や小規模報告企業(smaller reporting companies、SRC)に該当する場合、de-SPAC取引の提出書類およびその後のForm 8-Kの提出書類において、非公開事業会社の監査済財務諸表は2年分のみ要求されることになります。これらの提出書類における非公開事業会社の財務諸表の年数(age)は、伝統的なIPOの要求事項を反映したものとなり、前身企業(predecessor)と判定された非公開事業会社の財務諸表は、公開企業会計監視委員会(PCAOB)基準に準拠した監査が要求されます。
De-SPAC取引の財務諸表に関するその他の規定には、以下が含まれます。
  • 廃止された事業又は取得される可能性の高い事業に関する財務諸表の要求事項を決定する目的上、重大さ(significance)は、非公開事業会社の財務情報との比較により判定される。
  • 登録企業が過去の財務諸表において企業結合を反映させた最初の定期報告書の提出後に作成された提出書類では、SPACの財務諸表(および関連するプロフォーマ財務諸表)を省略することができる。
予測の使用
本規則は、すべての提出書類における予測の使用に関する既存の規則を拡大および更新しており、de-SPAC取引の提出書類において開示される予測に関連する追加の開示要求を採択しました。新しいde-SPACの予測の開示には、予測の目的と重要性のある根拠、予測の作成者、重要性のある仮定(これらの仮定に影響する可能性のある重要性のある要因を含む)、予測が将来の業績に関するSPACおよび非公開事業会社の経営者の見解を反映しているかどうかが含まれます。また、本規則は、de-SPAC取引における非公開事業会社の予測に関するものを含め、SPACは将来予測的な情報についての免責条項(safe harbor)を適用できないことを規定しています。
予測に関するその他の新たな要求事項には、以下のものがあります。
  • 過去の財務数値や事業の実績に基づかない予測(例えば、事業を営んでいない非公開事業会社)は、過去の財務数値や事業の実績に基づく予測と明確に区別しなければならない。
  • 過去の情報に基づく予測は、同等かそれ以上に目立つよう表示されなければならない。
  • 予測に記載される非GAAP指標には、当該非GAAP指標の明確な定義または説明、当該非GAAP指標と最も密接に関連するGAAP指標の説明、GAAP指標の代わりに非GAAP指標を使用した理由の説明を含めなければならない。
SRCの再判定
de-SPAC取引の成立後、結合後の企業は、取引成立後の4営業日以内に測定された時価総額を用いて、SRCのステータスを再判定しなければなりません。ステータスの変化の影響(すなわち、SRCでない企業に適用される追加的な開示要求)は、de-SPAC取引の成立の45日後から行われる全ての提出書類に反映することが要求されます。
次のステップ
本規則は、2024年7月1日に発効します。発効日以降の提出書類は本規則に準拠していなければなりません。また、特定の情報は、2025年6月30日以後の提出書類より、インラインXBRLを用いたタグ付けがなされていなければなりません。
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