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日本基準トピックス 第467号
主旨
  • 2023年6月20日、企業会計基準委員会(ASBJ)と日本公認会計士協会(JICPA)は、「日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管に関する意見の募集」(以下、「本意見募集文書」という)を公表しました。
  • 本意見募集文書は、JICPAが公表した企業会計に関する実務指針(Q&Aを含む。以下「実務指針等」という。)をASBJに移管することについて、関係者からの意見を募集することを目的としています。
  • 本意見募集文書に対するコメント募集期限は、2023年8月25日(金)となっています。
  • 原文については、ASBJまたはJICPAのホームページをご覧ください。
目的、経緯および課題
  • 本意見募集文書は、JICPAが公表した実務指針等をASBJに移管することについて関係者からの意見を募集することを目的としています。
  • 我が国の会計基準は、ASBJ設立前は、会計基準については企業会計審議会が公表し、実務上の取扱い等を示す実務指針等についてはJICPAが公表していました。
  • JICPAが公表した実務指針等については包括的にASBJに引き継ぐことはせず、引き継げるものから引き継ぐ形をとっていますが、多くの実務指針等はまだJICPAに残されています。
  • このため、会計基準は企業会計審議会とASBJが公表したものが存在し、実務指針等、適用指針および実務対応報告はASBJとJICPAが公表したものが存在しています。
  • したがって、会計基準等の利用者は、企業会計審議会、ASBJ、JICPAのそれぞれから公表されたものの全てをみないと日本基準の全体像を把握できないなどの課題が指摘されています。
このような課題を踏まえ、本意見募集文書では、JICPAが公表した実務指針等をASBJに移管するプロジェクト(以下「移管プロジェクト」という。)についての考えが示されています。
ASBJおよびJICPAは、本意見募集文書に寄せられた意見を参考に、実務指針等の移管を行っていく予定です。
移管プロジェクトのアプローチ
本意見募集文書では、JICPAが公表した実務指針等を以下の2つの分類に分けた上で移管プロジェクトを進めることが示されています。
  • 会計に関する指針のみを扱う実務指針等
  • 会計に関する指針のみを扱う実務指針等以外の実務指針等
1.会計に関する指針のみを扱う実務指針等
会計に関する指針のみを扱う実務指針等は、ASBJによる所管が適切と考えられるため、該当する全ての実務指針等が移管プロジェクトの対象とされています(表1参照)。その際、移管プロジェクトでは実務を変更しないことを意図しているため、「移管基準」(仮称)の分類を新たに設け、そのままの形で移管することが提案されています。なお、この移管は2024年3月までの完了を目途としています。
(表1)会計に関する指針のみを扱う実務指針等
委員会名
態様
番号
実務指針等の名称
会計制度委員会
委員会報告
第3号
ローン・パーティシペーションの会計処理及び表示
第4号
外貨建取引等の会計処理に関する実務指針
第5号
連結財務諸表におけるリース取引の会計処理に関する実務指針
第7号
連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針
第7号
(追補)
株式の間接所有に係る資本連結手続に関する実務指針
第8号
連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針
第9号
持分法会計に関する実務指針
第12号
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
第14号
金融商品会計に関する実務指針
第15号
特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針
Q&A
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A
金融商品会計に関するQ&A
特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針についてのQ&A
土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A
2.会計に関する指針のみを扱う実務指針等以外の実務指針等
上記の1.以外の実務指針等は、一部を除き、移管プロジェクトの対象としないことが提案されています(表2参照)。当該実務指針等は、会計と監査に関する内容の切り分けが必要となる場合があり、この作業には詳細な分析や膨大なリソースを要する可能性があることから、優先順位が相対的に低いとして検討の対象外とされています。
ただし、継続企業と後発事象に関する実務指針等の移管については、優先順位が高いとされ、その実行可能性の調査研究を行うことが提案されています。この調査研究は、2024年6月までの完了を目途としています。
(表2) 会計に関する指針のみを扱う実務指針等以外の実務指針等
委員会名
態様
番号
実務指針等の名称
監査・保証基準委員会
監査基準報告書560実務指針
第1号
後発事象に関する監査上の取扱い
第2号
訂正報告書に含まれる財務諸表等に対する監査に関する実務指針
監査第一委員会
委員会報告
第43号
圧縮記帳に関する監査上の取扱い
監査・保証実務委員会
実務指針
第42号
租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い
第52号
連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い
第56号
親子会社間の会計処理の統一に関する監査上の取扱い
第58号
個別財務諸表における関連会社に持分法を適用した場合の投資損益等の注記に関する監査上の取扱い
第61号
債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い
第77号
追加情報の注記について
第78号
正当な理由による会計方針の変更等に関する監査上の取扱い
第81号
減価償却に関する当面の監査上の取扱い
第84号
中間財務諸表と年度財務諸表との会計処理の首尾一貫性
第87号
「親子会社間の会計処理の統一に関する監査上の取扱い」に関するQ&A
第88号
連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の留意点についてのQ&A
第90号
特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A
委員会報告
第69号
販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い
第74号
継続企業の前提に関する開示について
監査委員会
委員会報告
第27号
関係会社間の取引に係る土地・設備等の売却益の計上についての監査上の取扱い
第71号
子会社株式等に対する投資損失引当金に係る監査上の取扱い
コメント提出者への質問
JICPAが公表した実務指針等の移管について、上述の「移管プロジェクトのアプローチ」における提案に関して意見を求める質問が設けられています。詳細は、ASBJまたはJICPAのホームページでご確認ください。
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