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2017/04/07 IFRS第15号（収益基準）を“捜査”する－本人なのか代理人なのかの識別 【IFRS News】
公表日: 2017年04月06日
jp ニュース
PwCの収益の専門家と国際財務報告基準（IFRS）第15号「顧客との契約から生じる収益」の“捜査員”が、収益取引において本人なのか代理人なのかの識別方法について捜査します。
容疑者
本人としてまたは代理人としての会計処理
事件の説明
顧客への特定された財またはサービスの提供に、2人以上の関連しない当事者が関与している取引が数多く存在します。IFRS第15号は、以下について判断することを企業に要求しています。
- 企業が特定された財またはサービスを自ら提供することを約束している（すなわち、企業が本人）かどうか、または
- 企業が他の当事者による特定された財またはサービスの提供を手配している（すなわち、企業が代理人）かどうか。
この判断は、認識される収益の金額に影響を与えます。本人はその項目の取引価格を認識し、代理人は手数料のみを認識します。
企業が、特定された財またはサービスを顧客に移転する前にその支配を獲得している場合には、企業はその取引における本人です。企業が支配を獲得しているかどうかが直ちに明らかにならない場合には、この評価を支援するための枠組みおよび指標のリストがIFRS第15号に掲載されています。IFRS第15号におけるすべての分析と同様、まず顧客に対する約束の性質を識別し、次にどの当事者が以下に該当するかを識別します。
- 財またはサービスの引渡しに対する主たる責任を有している。
- 在庫リスクを負担している。
- 価格を決定している。
事実
事案1－返金不能のディスカウント（割引価格の）航空券を取り扱う旅行代理店の場合
ある旅行代理店が、航空会社から返金不能の航空券を割引価格で購入します。この旅行代理店は、航空券の販売価格を決定し、何らかのクレーム（例えば、フライトの時刻や予約に関するトラブル）が生じた場合には、その解決のために旅行者（顧客）に支援を提供することもあります。
この旅行代理店は、最初に、顧客に対する約束を識別する必要があります。この旅行代理店は事前に航空券を購入しているため、顧客に飛行機で移動する権利を移転する前にこの権利を支配しています。したがって、約束された財またはサービスとは、飛行機で移動する権利です。
次に、この旅行代理店は、次の3つの指標を考慮する可能性があります。
- この旅行代理店が飛行機を飛ばすのではないため、フライト自体を提供する責任があるのは航空会社だが、飛行機で移動する「権利」を顧客へ移転することについては、この旅行代理店に主たる責任がある。
- この旅行代理店は、顧客の確約なしに事前に航空券を購入しており、かつその航空券は返金不能である。したがって、この旅行代理店には航空券の在庫リスクを引き受けている。
- この旅行代理店は、顧客に航空券を移転する際の価格を決定している。
本事案の場合、この旅行代理店は本人であり、航空券の価格が収益となります。
事案2 – 旅行代理店が特定のフライトを予約するよう指図されている場合
顧客は、旅行プランを立てて、旅行代理店に対して指定した価格でフライトを予約するよう指図します。したがって、この旅行代理店の約束は航空券の購入を容易にすることであり、どの時点においても、航空券の使用を指図したり、顧客への移転前に航空券からの残りの便益のほとんどすべてを得たりする能力を有していません。次に、指標について検討してみます。
- この旅行代理店は、飛行機で移動する権利や航空券の入手プロセスの管理以外の財またはサービスを顧客に提供しない。
- この旅行代理店は航空券の保有に伴うリスクを引き受けていない。
- この旅行代理店は航空券の価格を決定していない。
この事案においては、旅行代理店は代理人、航空会社は本人であり、この旅行代理店が稼得した手数料が収益となります。
提言
企業が代理人として行動しているのか本人として行動しているのかを検討する際には、最初に顧客に提供すべき特定された財またはサービスを識別し、次に財またはサービスが顧客に引き渡される前に企業が支配を獲得しているかどうかを考慮します。企業が支配を獲得しているかどうかが明確でない場合には上記の3つの指標について考慮しましょう。企業が契約の中のある特定された財またはサービスについては本人であり、その他については代理人であることもありえます。また、国際会計基準（IAS）第18号に含まれていた対価の形態および信用リスクの指標がIFRS第15号には含まれていないことを忘れないようにしてください。
より詳細な捜査
収益認識の時期の決定にはより詳細な捜査が必要になります。例えば、代理人が、最終顧客が特定された財またはサービスを本人から受領する前に、履行義務（特定された財またはサービスの移転を容易にする）を充足する場合があります。
PricewaterhouseCoopers LLP
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