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要点

IASBが新収益基準に対する修正を最終化しました。本修正は、FASBが提案した修正といくつかの点で異なります。

論点

国際会計基準審議会(IASB)は国際財務報告基準(IFRS)第15号「顧客との契約から生じる収益」を修正しました。

本修正には、履行義務の識別、知的財産のライセンスの会計処理および本人か代理人か(収益を総額表示するか純額表示するか)の検討に関するガイダンスの明確化が含まれます。これらのガイダンスの各項目に関連して、設例の新規追加や修正がなされています。また、IASBは新収益基準への移行に関連する実務上の便法も追加しています。本修正は、2018年1月1日以後開始する事業年度に発効し、早期適用が認められます。

影響

履行義務の識別


本修正は、契約における約束が「別個(distinct)」の財またはサービスであるために区分して会計処理することが求められると判断する際のガイダンスを明確化しています。本修正は、財またはサービスが契約上の他の約束から「区分して識別可能(separately identifiable)」かどうかを判断するために、設例などにより具体的に示し、その目的が、企業の約束の性質が顧客に対する個々の財およびサービスの移転なのか、個々の財またはサービスをインプットとして結合させたものの移転なのかを判定することである点を明確化しています。

知的財産のライセンス


ライセンスのガイダンスに関する修正は、知的財産のライセンスから生じる収益を「一定の期間にわたり(over time)」認識すべきか、「一時点で(point in time)」認識すべきかを明確化するものです。知的財産に著しく影響を与える活動を企業が行っていると見込まれるときには、収益は一定の期間にわたって認識しなければなりません。本修正では、(a)企業の活動が知的財産の形態または機能性を変更すると見込まれる場合、または(b)知的財産から顧客が便益を得る能力が実質的に企業の活動から派生または企業の活動に依存している場合(例:ブランド名あるいはロゴ)には当該活動が知的財産に著しく影響を与えるという点を明確化しています。

また本修正は、売上高ベースまたは使用量ベースのロイヤルティに係る収益に関して、どのような場合に知的財産のライセンスに係る収益認識のガイダンスを適用するかについても明確にしています。このガイダンスは、当該ライセンスが支配的な項目である場合にのみ適用されます。

本人か代理人かの検討のガイダンス


IASBは、契約上の本人は、財またはサービスを顧客に移転する前に、その財またはサービスを支配しているということを明確化しています。本修正は、支配の原則と指標との関係、判定における「会計単位」、ならびにサービス提供などにおける支配の原則の適用方法を明確化するため、対象を限定して改善を行っています。また、支配の指標の構成を見直し、企業が代理人である場合の指標ではなく、本人である場合の指標を提示するとともに、指標のうち2つ(「企業の対価が手数料の形式によるもの」および「企業が信用リスクにさらされていない」)を削除しています。

経過措置に関する実務上の便法


本修正は、経過措置を簡素化するため、新たに2つの実務上の便法を導入しています。1つ目の便法は、企業が(財務諸表に)表示する最も古い期間の期首または適用開始日において、その日付より前の契約変更に関する会計処理において、事後の判断(hindsight)の使用を認めるものです。2つ目の便法は、企業が基準を完全遡及することを選択している場合に、(財務諸表に)表示する最も古い期間の期首現在に完了した契約について修正再表示を行わないことを選択できるとするものです。

考察

本修正はIFRS第15号の核となる原則を変更するものではありませんが、IFRS第15号における複雑な側面のいくつかを明確化しています。本修正は、多くの企業に影響を与える可能性があります。経営者はIFRS第15号の影響を評価するにあたり本修正を考慮することが必要です。

IFRS第15号に対する本修正は、米国財務会計基準審議会(FASB)が米国の会計基準コード化体系(ASC)Topic 606に対して行う修正と、すべての点において同じではありません。両審議会は、履行義務の識別および本人か代理人かの検討に関するガイダンスに対して同じ修正を提案していましたが、FASBによるライセンスのガイダンスの修正は、IFRS第15号におけるガイダンスの修正とは異なるものになることが見込まれています。また、US GAAPの経過措置に関する実務上の便法はIFRSとは同じではない見込みです。さらに、FASBは、IFRS第15号には追加的なガイダンスが含められていない、回収可能性の評価、売上税の表示、現金以外の対価の測定、および出荷および配送活動の会計処理に関するガイダンスを追加する見込みです。IASBは、「結論の根拠」で、一般的に、両基準間の文言の差異によりIFRSとUS GAAPで異なる結論が導かれる、あるいはその可能性があることについて説明しています。
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