Expand
要点

提案されている会計処理の簡素化により、のれんの減損は、単に、報告単位の帳簿価額がその公正価値を超過する金額を表すことになります。

最新の動向


米国財務会計基準審議会(FASB)は、2016年5月12日、現行ののれんの減損テストの第2のステップ(Step 2)の廃止を提案しました。Step 2は、減損損失を測定するために仮想的な取得価格の配分を要求するものです。本ガイダンス案では、これに代わり、のれんの減損損失は報告単位の帳簿価額がその公正価値を超過する金額として測定されることになります。のれんの減損に関するその他のガイダンスに変更はありません。

本ガイダンス案は、非公開会社協議会(PCC)によるのれんの代替的な会計処理(会計基準アップデート(ASU)No.2014-02)を適用している非公開会社を除く、すべての企業に適用されます。

現行ガイダンス


現行ガイダンスは、企業に対し、2ステップによるのれん減損テストが必要かどうかを判断するため、最初に定性的な要因を評価する選択肢(しばしば「Step 0」と呼ばれる)を認めています。企業がStep 0を実施しない場合、またはこのテストの要件を満たさなかった場合には、2ステップによるのれんの減損テストを実施します。のれんの減損テストの第1のステップ(Step 1)では、減損の有無を判定するために、報告単位の公正価値とその帳簿価額とを比較します。報告単位の帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、減損テストの第2のステップ(Step 2)を実施しなければなりません。Step 2には、のれんの暗示される公正価値の算定、および、減損損失(もしあれば)を測定するためののれんの暗示される公正価値とのれんの帳簿価額との比較が含まれています。

提案されているガイダンス


本ガイダンス案では、報告単位の帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、報告単位の帳簿価額がその公正価値を超過する金額について減損損失が認識されます。ただし、認識される損失金額は報告単位ののれんの帳簿価額までとなります。

企業には引き続き、のれんの定量的な減損テストに進む前に定性的評価を行うという選択肢があります。さらに、本ガイダンス案は、のれんの減損のタイミング(すなわち、年一回または減損の発生事象が存在する場合にはさらに高い頻度)や減損テストを適用する会計単位(すなわち、報告単位)を変更するものではありません。

提案されている経過措置


本ガイダンス案は、すべての既存ののれんに対して将来に向かって適用されます。適用日は、FASBが将来の再審議において決定する予定です。

なぜ重要か


本ガイダンス案によって、のれんの減損を測定するために、報告単位の個別の資産および負債の公正価値算定の必要がなくなることから、財務報告が簡素化されることになります。本ガイダンス案に基づき認識される減損の金額は、主に一部の長期性資産の帳簿価額とその公正価値の差異により、現行のガイダンスに基づく金額よりも増加したり減少したりする可能性があります。例えば、重要な未認識の無形資産や大幅に値上がりしている資産を有している企業は減損の認識金額が減少する可能性がある一方、帳簿価額が公正価値を上回る重要な有形固定資産を有している企業は現在よりも減損の認識金額が増加する可能性があります。さらに、現行のガイダンスでは、Step 1の要件を満たさない場合であっても企業によっては減損を認識しない場合がありますが、本ガイダンス案の下では、そうした企業も減損の金額を認識しなければならなくなります。

国際財務報告基準(IFRS)においてものれんの減損のステップは1つのため、本ガイダンス案によって、米国会計基準(US GAAP)がIFRSにより一層近づくことになります。ただし、その他の差異は存続することになります。

次のステップ


本ガイダンス案に対するコメントの募集期限は2016年7月11日です。今回の提案は、より広い範囲のプロジェクトの第1フェーズにあたります。第2フェーズでは、FASBはIASBと合同で、のれんの事後的な会計処理に追加的な変更を行うべきか否か(例えば、のれんを償却すべきか否か)を検討する予定です。
Expand Expand
Resize
Tools
Rcl

Welcome to Viewpoint, the new platform that replaces Inform. Once you have viewed this piece of content, to ensure you can access the content most relevant to you, please confirm your territory.

signin option menu option suggested option contentmouse option displaycontent option contentpage option relatedlink option prevandafter option trending option searchicon option search option feedback option end slide