IB US2016-05-19 FASB propose revenue technical corrections (J)

(pdf 262kb)

【関連リンク】

要点

FASBによる本修正案は、新収益基準にいくつかの技術的修正を行い、一部の開示要求事項に対する追加の救済措置を提供しています。

最新の動向

米国財務会計基準審議会（FASB）は、2016年5月18日、主に適用範囲の決定に影響を与え、一部の開示要求事項に対する追加の救済措置を提供する、新収益基準に対するいくつかの技術的修正を提案しました。

生産前の活動

本修正案は、会計基準コード化体系（ASC）Topic 340「その他の資産および繰延コスト（Other Assets and Deferred Costs）」の中の特定のガイダンスを削除しています。Topic 340は、長期供給契約における生産前の活動の会計処理を扱うものですが、当特定のガイダンスが、新収益基準のガイダンスと整合しないと利害関係者から指摘を受けました。現在、生産前の活動について、削除予定の当ガイダンスを適用している企業は、新収益基準を適用する際、新基準におけるコストに関するガイダンスを適用することになります。これは、一部の履行コストを資産化すべきか否かの決定に影響を与える可能性があります。

残存履行義務の開示

本修正案は、新基準が求める企業の残存履行義務に関する情報の新たな開示に対して、未充足の履行義務に配分される取引価格および収益の認識見込み時期などの開示について追加の救済措置を選択可能にしています。FASBは、企業がこの開示要求のためだけに取引価格の見積りを行う必要があってはならないと結論付けました。したがってFASBは、知的財産のライセンスの売上高ベースおよび使用量ベースのロイヤルティ、ならびに未充足の履行義務に全額が配分された変動対価を含む一定の種類の変動対価について、企業が定量的開示を行わないことを選択できると決定しました。ただし、定量的開示を行わないことを選択する企業は、追加的な定性的開示を提供しなければなりません。

範囲決定に関するガイダンス

本修正案は、特定の契約が新収益基準の適用範囲に含まれるか否かについても明確化しています。本修正案は、Topic 944「金融サービス－保険（Financial Services—Insurance）」の範囲に含まれるすべての契約が、新収益基準の範囲から除外されることを明らかにしています。FASBは「結論の根拠」の中で、保険会社が、契約または契約の一部が新収益基準の範囲に含まれるか否かを評価する方法を明確化する解説を加えています。また、本修正案は、Topic 924「エンターテイメント－カジノ産業（Entertainment—Casinos）」の範囲に含まれる固定賭け率賭博契約は、デリバティブ金融商品のガイダンスから除外されるため、新収益基準の範囲に含まれると規定しています。

不利な契約の損失引当金

本修正案は、Topic 605-35「建設型および製造型契約（Construction-Type and Production-Type Contracts）」の範囲に含まれる契約について、損失引当金を契約レベルで決定するか履行義務レベルで決定するかの選択を企業に認めています。新基準は、不利な契約における損失引当金の決定について、従前の米国会計基準（US GAAP）のガイダンスを保持しました。本修正案は、新収益基準によって保持された損失引当金のガイダンスに対して結果としてもたらされる修正が損失引当金の評価を現行実務よりも低いレベルで行うよう要求する可能性があるのではないかという、利害関係者の懸念に対処したものです。

その他の修正

上記に加えて、本修正案には、契約の条件変更、契約コストの減損テスト、および投資会社の増分直接コストに関連する新収益基準に対するその他の軽微な修正が含まれています。

なぜ重要か

提案されている技術的修正は、様々な利害関係者が提起した適用上の論点に対処することを意図したものです。この変更は新収益基準に対する「技術的修正」であると考えられますが、国際会計基準審議会（IASB）は国際財務報告基準（IFRS）第15号に対して同様の変更をしないため、結果としてUS GAAPとIFRSとの間の差異となる可能性があります。

次のステップ

FASBの本修正案に対するコメントの募集期限は2016年7月2日です。