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要点
国際会計基準審議会(IASB)は、当初2020年11月に公表された教育文書「気候関連問題が財務諸表に与える影響」を2023年7月に再公表しました。
本教育文書は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によって公表されたIFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」およびIFRS S2号「気候関連開示」の公表を反映するために再度発行されました。本教育文書は、当初公表された内容からの実質的な変更はありません。引き続き、IFRS会計基準を適用した財務報告における気候関連の問題やリスクの検討方法についての事例を記載したものとなっています。
さらに、IASBは、2023年3月、財務諸表が気候関連リスクをより良く伝達できるかどうかおよびその方法を検討する新たなプロジェクト「財務諸表における気候関連のリスク」を開始しました。なお、このプロジェクトによる基準書等の権威のあるガイダンスへの変更はまだありません。
論点
気候関連リスクは、企業の業務や財務業績に影響を与える可能性のある重要なテーマです。IFRS会計基準は気候リスクを明示的に取り上げていませんが、財務諸表の作成に際して行われるさまざまな判断および見積りの基礎となる原則には、多くの場合、気候リスク要因が織り込まれます。
また、IAS第1号は包括的な開示要求を定めていることにも留意が重要です。すなわち、特定の取引、その他の事象および条件が企業の財政状態および財務業績に与える影響を投資者が理解するために必要な場合には、その情報を開示することが求められています。したがって、気候変動に注目が集まっている現状やその影響を踏まえると、企業は、気候問題という点で財務諸表に影響を与える、重要性のある情報がすべて提供されるよう、厳格な評価を実施しなければなりません。
教育文書で取り上げられているトピック
この教育文書には、さまざまな基準における測定および開示に関する要求事項に対して気候リスクがどのような影響を及ぼす可能性があるのか、および気候リスクをどのように織り込むべきかを判断する際に参照される各基準のさまざまな項番号について、リスト(網羅的なものではない)が記載されています。以下は、対象となる基準およびそれらの基準が扱っている主要なテーマのリストです。
基準
基準が扱っている主要なテーマ
IAS第1号「財務諸表の表示」
  • 以下に関する開示
    • 見積りの不確実性
    • 重要な判断
    • 継続企業の前提
IAS第2号「棚卸資産」
  • 棚卸資産の正味実現可能価額
IAS第12号「法人所得税」
  • 繰延税金資産の回収可能性
IAS第16号「有形固定資産」
IAS第38号「無形資産」
  • 耐用年数および残存価額
  • 研究開発費
IAS第36号「資産の減損」
  • 減損の兆候
  • 回収可能価額
  • 開示
IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」
IFRIC第21号「賦課金」
  • 認識・測定・開示
IFRS第7号「金融商品:開示」
  • 金融商品に関するリスク
    • 予想信用損失
    • 信用リスクの集中
    • 市場リスクの集中
IFRS第9号「金融商品」
  • 分類および測定(減損を含む)
IFRS第13号「公正価値測定」
  • 公正価値の測定および開示に与える影響(特に公正価値ヒエラルキーのレベル3に区分されるもの)
IFRS第17号「保険契約」
  • 保険契約負債の測定および開示に与える影響
教育文書は重要性について説明しているか
はい、この教育文書は、気候関連問題の影響が財務諸表の文脈において全体として重要性がある場合、企業はIFRS会計基準を適用する際に気候関連問題を検討しなければならない、と述べています。また、この教育文書は、情報を省略したり、誤表示したり覆い隠したりしたときに、特定の報告企業に関する財務情報を提供する財務諸表の主要な利用者が当該財務諸表に基づいて行う意思決定に、当該情報が影響を与えると合理的に予想し得る場合には重要性がある、と述べています[IAS第1号第7項]。財務諸表の主要な利用者は、教育文書全体を通して投資者と呼ばれています。
教育文書はどのような性質のものか、また教育文書に発効日はあるか
この教育文書はIFRS会計基準の既存の要求事項の首尾一貫した適用を支援するためにIASBが公表するものです。
この教育文書はIFRS会計基準の一部分を構成するものではなく、基準の要求事項に追加したり要求事項を変更したりすることはできません。しかしながら、この教育文書は、IFRS会計基準の利用者がIFRS会計基準について検討する際には、なおも便益を得る可能性のある有益な資料です。
この教育文書はIASBのボードメンバーが気候関連の開示をテーマに2019年11月に公表した文書を補完するものです。
この教育文書は既存の基準を修正するものではないため、発効日または経過措置はありません。
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