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要点
本資料は、2020年12月31日現在で超インフレである国のほか、当該日付現在では超インフレではないものの、2021年に動向を注視すべき国を取り上げています。本資料の中で引用する定量的データは、国際通貨基金(IMF)のデータ(「世界経済見通し 2020年10月」)に基づいています。
以下の国の通貨を機能通貨とする企業(または以下の国の通貨を機能通貨とする企業への投資を有する企業グループ)は、2020年12月に終了する事業年度に、国際会計基準(IAS)第29号「超インフレ経済下における財務報告」を適用しなければならず、また、同国の経済が常に超インフレであったものと仮定して適用しなければなりません。
誰にどのような影響があるか
2020年度における超インフレ経済の国および2021年度に引き続き動向を注視すべき国
以下のいずれかの国の通貨を機能通貨とする企業は、2020年度の報告でIAS第29号を適用しなければなりません。
  • アルゼンチン
  • イラン(新規 2020年)
  • レバノン(新規 2020年)
  • 南スーダン共和国
  • スーダン
  • ベネズエラ
  • ジンバブエ
以下の国は2020年度において超インフレ経済ではありませんでしたが、2021年度は動向を注視する必要があります。
  • アンゴラ
  • ハイチ
  • スリナム
超インフレ経済になる可能性のあるその他の国
  • シリア・アラブ共和国
  • イエメン
超インフレ経済の国
アルゼンチン
アルゼンチンは2018年度に超インフレ経済となりました。IMFおよび現地のデータによると、3年間の累積インフレ率は2020年12月31日に100%を大幅に超え、今後数年間において依然として100%を大幅に超える状態が続くと見込まれます。アルゼンチンは2020年度も引き続き超インフレ経済となります。機能通貨がアルゼンチンの通貨である企業は、引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
イラン
イランのインフレ率は2018年度末および2019年度初めに上昇し始めました。2019年度末までにわずかに下降して安定した後、同国のインフレ率は2020年度に急上昇しました。その結果、3年間の累積インフレ率は2020年12月末に100%を超える見込みです。IMFが10月に公表したインフレ予想によると、3年間の累積インフレ率は113%でした。現地の予想はIMFのインフレデータと整合しており、インフレ率が短期間の間に100%を大幅に下回る可能性は低いと見込まれます。定性的指標は強弱混合しています。しかし、通貨切り下げや、石油価格への圧力による財政赤字などの最近の動向を鑑みれば、当該指標は、現在イランが会計目的上の超インフレ経済であるという結論と相反していません。機能通貨がイランの通貨である企業は、2020年12月に終了する事業年度にIAS第29号を適用しなければなりません。
レバノン
レバノンのインフレ率は、2019年度末まで年率10%を下回っていました。2020年度初め以降、レバノンのインフレ率は大幅に上昇しており、またIMFおよび現地のデータによると、3年間の累積インフレ率は2020年12月31日に100%を大幅に超えると見込まれます。この上昇トレンドは今後も継続するものと見込まれます。また、経済状態が悪化し、通貨管理が実施された後においても、定性的指標は、現在レバノンが会計目的上の超インフレ経済という結論を裏付けるものとなっています。機能通貨がレバノンの通貨である企業は、同国の経済が常に超インフレ経済であったものと仮定して2020年12月に終了する事業年度にIAS第29号を適用しなければなりません。
南スーダン共和国
IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は、2019年度に比較して大幅に下落したものの、2020年12月31日に100%を超えると見込まれます。この傾向は、2021年度においても継続するものと見込まれます。南スーダン共和国は、2020年度も引き続き超インフレ経済となります。機能通貨が南スーダン共和国の通貨である企業は、2020年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。しかし、そのような企業は、2021年度における南スーダン共和国のインフレを注視し、同国が引き続き超インフレ経済となるのかどうかを確認する必要があります。
スーダン
スーダンは2013年度に超インフレ経済となりました。2016年末に3年間の累計インフレ率が100%を下回り、以後も100%を下回ると予想されたことから、2016年度において同国は超インフレ経済ではなくなりました。スーダンは2018年度に再び超インフレ経済になりました。IMFデータによると、3年間の累積インフレ率は2020年12月31日に100%を大幅に超え、今後も100%を超える状態が継続するものと見込まれます。スーダンは、2020年度も引き続き超インフレ経済となります。機能通貨がスーダンの通貨である企業は、2020年にIAS第29号を適用しなければなりません。
ベネズエラ
ベネズエラは2009年度に超インフレ経済になりました。IMFのデータによると、ベネズエラでは3年間の累積インフレ率が2020年12月31日に100%を大幅に超えると見込まれており、今後もさらなる上昇が見込まれます。ベネズエラは2020年度も依然として超インフレ経済となります。機能通貨がベネズエラの通貨である企業は、2020年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
ジンバブエ
ジンバブエ政府は、10年以上前の深刻な超インフレ期間を経た後に、ジンバブエ・ドルを廃止しました。その後、米ドルや南アフリカ・ランドなどの他の通貨が法定通貨として広く利用されました。しかし、2018年10月にジンバブエの通貨が再び導入され、他の通貨は法定通貨ではなくなりました。国内通貨の再導入後にインフレ率が大幅に上昇し、2018年10月以降、累積インフレ率は100%を超えました。インフレは2020年も引き続き100%を大幅に超えます。機能通貨がジンバブエの通貨である企業は、2020年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
2021年度に引き続き動向を注視すべき国
アンゴラ
アンゴラは2019年度に超インフレ経済でなくなりました。これは、3年間の累積インフレ率が2019年末に100%を下回り、引き続き100%を下回ることが予想されたためです。機能通貨がアンゴラの通貨である企業は、2020年度はIAS第29号を適用すべきではありません。インフレ率が依然として高い水準にあること(IMFによる3年間の累積インフレ率予測は70%程度)を踏まえると、機能通貨がアンゴラの通貨である企業は、2021年度における同国のインフレの動向を注視する必要があります。
ハイチ
IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は2020年度において100%を下回りますが、依然として高い水準(70%程度)であり、2021年度には上昇(82%程度)すると見込まれます。機能通貨がハイチの通貨である企業は、2020年度にIAS第29号を適用すべきではありません。そのような企業は、2021年度における同国のインフレの動向を注視する必要があります。
スリナム
IMFの推定データによると、3年間の累積インフレ率は2020年12月までに100%を上回り(125%)、2021年度もインフレ率が上昇すると見込まれます。しかし、スリナムの中央銀行の現地データによると、3年間の累積インフレ率の実績値は2020年10月現在において65%程度です。したがって、IMFの2020年12月の推定データがあるものの、累積インフレ率の実績値が2020年12月に100%を超える可能性は低いと考えられます。その結果、機能通貨がスリナムの通貨である企業は、実績データを使用しなければならず、2020年度にIAS第29号を適用すべきではありません。また、そのような企業は引き続き、2021年度における同国のインフレの動向を注視する必要があります。
超インフレの経済である可能性のあるその他の国
シリア・アラブ共和国
シリア・アラブ共和国に関する一貫した信頼性のあるインフレデータを入手することはできません。しかし、欧州連合(EU)と国際連合(UN)は依然として貿易制裁を課しています。一部の現地データを含む入手可能な情報によると、シリアは2020年度において超インフレ経済の可能性があることが示されています。機能通貨がシリア・アラブ共和国の通貨である企業は、IAS第29号を適用すべきかどうかを検討するために、2020年12月時点で入手可能な情報を検討しなければなりません。
イエメン
IMFのデータによると、イエメンの3年間の累積インフレ率は2020年度に100%に近づきつつあります。現地のデータを含むその他の情報によると、イエメンの3年間の累積インフレ率は100%を超える可能性があり、また定性的指標もイエメン経済が超インフレ経済である可能性を示しています。機能通貨がイエメンの通貨である企業は、IAS第29号を適用すべきかどうかを検討するために、2020年12月時点で入手可能な情報を検討しなければなりません。
適用日
機能通貨がアルゼンチン、イラン、レバノン、南スーダン共和国、スーダン、ベネズエラ、ジンバブエの通貨である企業、または、それらの機能通貨で投資を行っている企業グループは、2020年12月に終了する事業年度にIAS第29号を適用しなければなりません。また、同国の経済が常に超インフレであったものと仮定してIAS第29号を適用しなければなりません。
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