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2021/03/26 特別買収目的会社（SPAC）の買収前における論点【速報解説】
公表日: 2021年03月26日
jp 速報解説（In brief）
⇒原文（英語）はこちらへ
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要点
特別買収目的会社（「SPAC」）は、非公開の事業会社（「OpCo：Operating Company」）を買収または合併するために、株式の新規上場を通じて資金調達を行います。OpCoが上場後のSPACに買収された場合、OpCoは、実質的に自社の新規株式公開（「IPO」）を実施することなく公開企業となります。
SPACは、2021年1月において260億米ドルに迫る資金調達を世界中で行いました。このような取引には、上場企業の開示要求事項の充足や複雑な会計上の検討事項などの課題が存在します。「SPAC」という用語は、一般的に米国市場への上場という文脈で用いられていますが、その他の資本市場においても、この種の事業体が設立され上場が行われる可能性があります。
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論点
SPACは、初期投資者（「スポンサー」または「発起人」）の資金によって設立され、不特定の1社以上の非公開会社（OpCo）を買収すべく、追加的な資金調達のためにIPOを行います。買収後、OpCoは公開企業（または公開企業の子会社）になります。そのような取引の会計処理と財務報告は、会計上および規制上の要求事項の両面において複雑です。
これらの会計上の論点は、買収前と買収後の問題に分けることができます。本資料では、買収前における論点、すなわちSPACがOpCoを買収するまでの会計処理に焦点を当てます。買収後の論点に関する検討事項のサマリーについては、In brief INT2021-03「特別買収目的会社（SPAC）を通じた上場」（和訳はこちら）をご参照ください。
影響および誰が影響を受けるか
SPAC企業には、多くの会計上の課題があります。買収前に最もよくみられる論点は、以下の通りです。
- スポンサーはSPACを連結しているか－企業がSPACの出資者（スポンサー）である場合、当該企業は買収前の期間にSPACを支配しているかどうかを判断するために、連結範囲の分析を行う必要があります。この分析では、スポンサーが関連性のある活動に対して有するパワーの程度、変動リターンに対するエクスポージャーおよび変動リターンに影響を及ぼすようにパワーを用いる能力を考慮する必要があります。
- スポンサーがSPACを連結しない場合、SPACに対するスポンサーの持分の性質はどのようなものか－SPACを連結しないスポンサーは、スポンサーがSPACに対して重要な影響力を有するかどうか、また、持分法（IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」の適用）とIFRS第9号「金融商品」のいずれを適用するかを決定しなければなりません。
- 発起人の株式とワラントはどのように会計処理されるか－多くの場合、SPACは、発起人またはスポンサーにワラントおよび株式を発行します。SPACの個別財務諸表においては、発起人の株式およびワラントを、IFRS第2号「株式に基づく報酬」とIAS第32号「金融商品：表示」のいずれを適用して会計処理すべきかが重要な検討事項となります。発起人の権利が一般株主の権利と異なるかどうかなど、あらゆる事実や状況を注意深く検討する必要があるでしょう。IFRS第2号を適用する場合とIAS第32号を適用する場合とでは、負債または資本としての分類が異なるため、この区別が重要となります。
- 公開株式とワラントはどのように会計処理されるか、投資家に発行されたワラントと株式は、IAS第32号の資本の定義を満たしているか－この評価では、条件付きプットや行使価格または行使時の株数の潜在的な変動（キャッシュレスによる権利行使の特徴など）を含む、契約におけるすべての特徴を注意深く検討する必要があるでしょう。
次のステップは何か
通常、SPAC取引は複雑であり、SPACの専門家に相談することが強く推奨されます。
また、PwCでは、まもなく、買収前および買収後における財務報告および会計上の検討事項について、さらに詳細に検討するIn depthを公表予定です。
PricewaterhouseCoopers LLP
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