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⇒原文(英語)はこちら
要点

米国証券取引委員会(SEC)は、公開企業による気候変動のリスクと影響に関する開示を強化するため、新たに全般的な規則を提案しました。新たな開示はすべての公開企業に対して要求されるため、監査済財務諸表に一定の気候関連の財務指標が含まれることになります。また、炭素排出量に関する開示要求も提案されており、この開示に関する段階的な保証の義務化も提案されています。

最新の動向
2022年3月21日、SECは、企業の事業または連結財務諸表に重要性のある影響を及ぼす可能性が合理的に高い、気候関連リスクに関する開示を大幅に増加させる新たな規則を提案しました。SEC委員長のゲイリー・ゲンスラー氏は、本規則案の公表に対して賛成票を投じる際に、この分野における開示強化を求める投資家の要望が高まっていることを強調し、「財務業績に影響する可能性のある首尾一貫した比較可能な情報に対する要望がこの水準にまで高まっている状況において、SECには果たすべき役割がある」と述べました。しかし、本規則案の公表の決定に際しては、現在のSEC委員4名のうちの1名が反対を表明しており、全会一致ではありませんでした。
SEC委員のアリソン・ヘレン・リー氏は本規則案を支持し、「(本規則案は)投資家や金融市場にとって重要な分岐点である」と述べました。同委員キャロライン・クレンショー氏も支持を表明し、本規則案はSECにとって「長く待ち望まれていた前進」であると考えています。しかし、同委員へスター・ピアス氏は本規則案の公表に反対し、先の公式声明で表明していた懸念をあらためて示しました。ピアス氏は、重要性のあるリスクの開示を要求する既存の規制上の枠組みを引用したうえで、本規則案がどのように比較可能で首尾一貫した信頼性の高い開示をもたらすのかについて説得力のある説明が欠如していると考えています。
本規則案のハイライト
新たな規則では、Form 10-KおよびForm 20-F等の登録届出書や年次報告書における開示の要求が提案されています。また、本規則案の一部は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が策定した開示フレームワークに基づいています。
本規則案は、米国内のSEC登録企業および外国登録企業(FPI)について、次の開示を要求しています。
  • 気候関連の物理的リスクおよび移行リスク、ならびにSEC登録企業の事業、戦略、見通しにこれらのリスクが実際に及ぼす、または及ぼしうる重要性のある影響
  • 気候関連リスクに対する登録企業のガバナンスおよび関連するリスク管理プロセス
  • スコープ1およびスコープ2の温室効果ガス(GHG)排出量
    • スコープ3のGHG排出量は、重要性がある場合、または登録企業が排出量削減の指標・目標を設定している場合に、すべての企業(小規模の報告企業を除く)に対して段階的に要求される。スコープ3の排出量に関する開示には、連邦証券法に基づき一定の責任が免除されるセーフハーバールールが設けられている。
    • GHG排出量を総量で開示することに加え、登録企業は、経済価値単位当たり(収益または生産高単位当たり等)の排出量に基づいて算出したGHG測定値の開示も要求される。
    • 早期提出会社および大規模早期提出会社は、スコープ1およびスコープ2のGHGに関する開示の保証を(段階的に)得ることが要求される。
  • 気候関連の指標・目標や移行計画に関する情報(ある場合)
上述のRegulation S-Kの追加規定によって要求される開示に加え、登録企業は、監査済財務諸表の注記において、一定の気候関連の財務諸表に係る指標や関連する開示が要求されることになります。この開示には、連結財務諸表に影響を及ぼす深刻な気象現象や他の自然条件、ならびに識別された気候関連リスクによる財務上の影響が含まれます。合算された影響が、関連する事業年度の科目全体の1%未満の場合、開示は要求されません。
新たな開示要求事項の詳細については、SECの規則案またはファクトシート(全3頁)をご参照ください。
移行措置
本規則案が2022年12月までに最終化し発効される場合、12月決算の大規模早期提出会社は、2023年度(提出は2024年)にすべての気候関連の開示およびスコープ1とスコープ2のGHG排出量を開示し、翌年度の2024年度にはスコープ3のGHG排出量に関する追加の開示が要求されます。また、2024年度(提出は2025年)にはGHG排出量の開示に関する限定的保証、および翌々年度の2026年度(提出は2027年)には合理的保証が要求されます。早期提出会社および非早期提出会社は、2024年度(提出は2025年)の期首から同様の措置がとられます。小規模報告会社は、2025年度(提出は2026年)に本規則案に基づく開示が要求されます。
なぜ重要か
本規則案は、企業が求められる気候変動の影響に関する開示について、内容および範囲を大幅に変更することになります。このような追加的な開示情報の収集と報告には、登録企業内部のシステム、プロセス、統制を変更する必要がある可能性が高いといえます。
本規則案は500ページを超えるもので、特定の規則に関して200超の質問事項があります。SECの公式声明では、各SEC委員が規則策定プロセスへの積極的な参加を奨励しています。SEC委員は、すべての分野について詳細なフィードバックを求める一方で、GHG排出量に関する開示およびその保証に関連する規則についてのフィードバックに特に関心を寄せています。
次のステップ
本規則案に対するコメントの提出期限は、2022年5月20日または連邦官報掲載日から30日後のいずれか遅い方となります。
PwC 米国では、2022年3月25日に本規則案の詳細を説明するポッドキャストを公表予定です。さらに、3月31日には、本提案のより詳細な情報と、新たな要求事項の提案にどのように取り組むのかについて初期の所見を示す資料を公表予定です。
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