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要点
2023年5月、米国証券取引委員会(SEC)は、自己株式の買戻しに関する新たな開示および開示の拡大を要求する規則の修正を採択しました。2023年10月31日、米国連邦控訴裁判所は、SECが行政手続法に違反していると結論付け、SECに30日以内に規則の不備を是正するよう指示しました。開示規則の修正は依然として効力を有していますが、この判決の結果、SEC規則にどのような変更が生じる可能性があるかについては、現時点では不明です。

最新の動向
2023年5月、SECは、米国内の発行企業、外国登録企業(FPI)および上場クローズドエンド型ファンドに対する自己株式の買戻しに関する既存の開示要求を大幅に拡大する修正を採択しました。10月31日、米国連邦控訴裁判所は、SECが行政手続法に基づく最終規則において、「申立人のコメントに対応しておらず、また適切な費用対効果分析を行っていない」と判決を下しました。その意見書の中で、控訴裁判所は、SEC規則を無効にすることまではせずに、そのかわりSECに対して30日以内に規則の不備を是正するよう指示しました。
2023年5月の最終修正は、2021年12月に公表された修正案と比較して規模は縮小されていますが、開示要求事項が大幅に増えています。最終修正では、日次の買戻し取引の報告、および自己株式の買戻し計画の根拠と目的に関する追加的な報告が要求されています。また、本規則は、自己株式の買戻し情報へのインラインXBRLを使用したタグ付けも要求しています。拡充された開示(例えば、月次ではなく日次の取引の開示)は、報告企業の自己株式の買戻し取引についてさらなる透明性を提供するとともに、自己株式の買戻しの目的と影響を評価するための追加的な情報を投資家に提供することを意図しています。
日次の自己株式の買戻し取引の報告
米国発行企業およびFPIについては四半期ごとに、上場クローズドエンド型ファンドについては半期ごとに、自己株式の買戻しに関する日次の定量的データについて表形式による開示を提出することが義務付けられます。報告企業(または、代理人として取引する他の当事者)が自己の登録株式を購入する各日につき、以下を開示することが要求されます。
  • 株式の種類
  • 購入株式数
  • 1株当たりの平均支払額
  • 公表した計画に基づいて購入した株式数
  • 公表した計画に基づいてさらに購入する可能性のある株式の合計最大数またはドル建の概算金額
  • 公開市場で購入した株式数
  • Rule 10b-18のセーフハーバー規定の要件を満たすことを意図して購入した株式の合計数
  • 「Rule 10b5-1に基づく取引契約」と呼ばれるRule 10b5-1(c)のアファーマティブディフェンス(積極的抗弁)条件を満たすことを意図した計画に基づいて購入した株式の合計数
また、報告企業は、所定の役員および取締役が、自己株式の買戻し計画公表後4営業日以内に、計画の対象となる株式を売買したかどうかを示すことが要求されます。
米国発行企業および米国内企業用の書式を用いるFPIは、Form 10-QおよびForm 10-Kを用いて四半期報告書および年次報告書の添付書類に表形式で情報を記載します。FPI用の書式を用いるFPIは、新たな書式であるForm F-SRで報告を行いますが、提出期日は各四半期末日から45日となります。上場クローズドエンド型ファンドは、Form N-CSRを用いて、年次報告書および半期報告書にこの情報を記載します。
自己株式買戻し計画に関する開示の拡充
報告企業は、投資家が自己株式の買戻し計画に関するガバナンスや戦略をより良く理解できるように、追加的な情報を開示する必要があります。具体的には、各計画の目的や根拠、買戻金額の決定に用いたプロセスまたは規準、買戻し計画の実行中における役員および取締役による売買に関する方針および手続を開示に含める必要があります。
Rule 10b5-1に基づく取引契約
Form 10-QおよびForm 10-Kで報告を行う企業は、Rule 10b5-1に基づく取引契約において、直近の四半期の間に採用または終了した重要性のある条件および取引上の取決めを開示することが要求されます。これらの開示と、表形式による日次の買戻し取引に関する開示は重複している可能性がありますが、必ずしも重複しているとは限りません。表形式による開示は買戻し取引が行われた場合にのみ要求されますが、これらの開示はRule 10b5-1に基づく取引契約が直近の四半期の間に採用または終了する度に要求されるもので、実際の自己株式の買戻しとは必ずしも合致しない可能性があります。
構造化されたデータ
本修正では、自己株式の買戻しの開示について、インラインXBRLを使ったタグ付けを行うことを要求しています。
次のステップ
SECは、2023年10月31日の控訴裁判所の判決への対応に30日間を有しています。控訴裁判所が規則を無効にしなければ、当初5月の規則の修正の遵守日は企業の種類によって以下のように異なります。
  • 米国発行企業および米国内企業用の書式を用いるFPIは、2023年10月1日以後に開始する最初の完全な四半期に関する提出書類から、本規則の遵守が要求されます。例えば、2023年10月1日に第4四半期が始まる12月決算の企業は、(この第4四半期における取引をカバーする)2023年12月31日のForm 10-Kおよび以降の期間のForm 10-Qから遵守が要求されます。
  • FPI用の書式を用いるFPIは、2024年4月1日以後に開始する最初の完全な四半期に関連する、新しい四半期書式のForm F-SRの提出から、本規則の遵守が要求されます。提出したForm F-SRに関連する記述情報開示は、以降の期間のForm 20-Fで要求されます。例えば、2024年4月1日に四半期が開始する12月決算企業のFPIは、2024年6月30日に終了する四半期について(事業年度の各四半期の末日より45日後を期限とする)Form F-SRの提出が要求されます。2024年度中に提出したForm F-SRに関連する記述情報開示は、2024年12月31日に終了する事業年度に関するForm 20-Fから要求されます。
  • 上場クローズドエンド型ファンドは、2024年1月1日以後に開始する最初の6カ月の期間をカバーするForm N-CSRからの遵守が要求されます。
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