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日本基準トピックス 第439号
主旨
  • 金融庁は、投資家と企業との建設的な対話に資する充実した企業情報の開示を促すため、「記述情報の開示の好事例集」を公表しています。また、2021年12月21日に「サステナビリティ情報」に関する開示の好事例を取りまとめた「記述情報の開示の好事例集2021」(以下、「本好事例集」という)を公表しています。
  • 2022年2月4日、金融庁は、本好事例集に「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「事業等のリスク」及び「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」の開示の好事例を追加し、公表しました。
  • 本好事例集は、現時点でどのような開示が投資判断にとって有用と考えられるかについて、投資家、アナリスト、企業により議論し、そこで議論された開示例を取りまとめています。
  • なお、本好事例集は随時項目を追加し公表するとされており、今後、「コーポレート・ガバナンスの状況等」の一部の項目について公表することが予定されています。
    • 原文については、金融庁のウェブサイトをご覧ください。
経緯
2018年6月に公表された「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」では、ルールへの形式的な対応にとどまらない開示の充実に向けた企業の取組みを促すため、開示の考え方、望ましい開示の内容や取り組み方をまとめたプリンシプルベースのガイダンスを策定すべきと提言されました。
金融庁では、上述の提言を踏まえ、2019年3月に「記述情報の開示に関する原則」を策定するとともに、「記述情報の開示の好事例集」を毎年公表しています。
2022年2月4日、昨年12月に公表された「記述情報の開示の好事例集2021」について、新たに、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「事業等のリスク」及び「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」の開示の好事例が追加され、公表されました。
「記述情報の開示の好事例集2021」について
本好事例集は、投資家、アナリスト、企業により議論された開示の好事例が取りまとめられ、「有価証券報告書におけるサステナビリティ情報に関する開示例」及び「有価証券報告書の事業の状況に関する開示例」から構成されています。
また、以下の項目ごとに投資家・アナリストが期待する主な開示のポイントが示されており、それぞれの開示例では、好事例として着目したポイントが紹介されています。
内容
  • はじめに ~「記述情報の開示の好事例集」の構成・使い方 ~
  • 有価証券報告書におけるサステナビリティ情報に関する開示例(2021年12月公表)
1.「気候変動関連」の開示例(13社)
2.「経営・人的資本・多様性等」の開示例(21社)
  • 有価証券報告書の事業の状況に関する開示例(2022年2月4日追加)
3.「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の開示例(19社)
4.「事業等のリスク」の開示例(16社)
5.「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」
(1)「経営成績、キャッシュ・フロー等の分析」の開示例(12社)
(2)「重要な会計上の見積り」の開示例(7社)
(注)取り上げられている開示例の数(会社数)をカッコ書きで記載しています
投資家・アナリストが期待する主な開示のポイントについて
今回追加された、有価証券報告書の事業の状況に関する開示例では、それぞれ以下の点が投資家・アナリストが期待する主な開示のポイントとして示されています。
3.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
  • 中長期ビジョンとそこからのバックキャストを踏まえ、どこに到達したいのか、非財務情報を含めてどのように価値創造を成し遂げていくのかといった観点からの開示は有用
  • 目標に到達するための中期経営計画等の総括や、マテリアリティの抽出を含む、現在の自社のポジショニング(強みや課題の認識)の開示は有用
  • マクロの経営環境の分析のみではなく、自社のスペシフィックな記載や、経営計画と絡めた開示は有用
  • ストーリーとして理解できる開示や、MD&Aとの連携が図られている開示は有用
  • 短期、中期、長期の時間軸を、機械的に三分の一ずつのバランスで開示するのではなく、それぞれの企業の特性に応じて、濃淡をつけて開示することは有用
  • 事業ポートフォリオの開示について、全体の経営戦略、個々の事業戦略の2つの切り口からそれぞれの考え方を開示することは有用
4. 事業等のリスク
  • リスク管理体制、重要なリスクの定義付け(影響度や発生確率をどのように考えているか等)、リスクの発現時期、対応策の開示は重要
  • 経営戦略やリスクは各社各様であるため、自社固有のリスクに関する開示は有用
  • 事業戦略とその裏側で発生するリスクとの関連性について開示することは有用
  • リスクの重要度が変化した場合、変化の内容や理由を開示することは有用であり、重要度が上がった場合は、その対応をどのように考えているかを開示することも有用
  • 将来情報を理解する上で、リスクの次年度の見通しを開示することは有用
  • 海外のトレンドや外国企業を含む同業他社のリスク対応を踏まえた、自社のリスクへの対応状況に関する開示は有用
  • 危機管理への対応について、従来の経験則に留めるのみではなく、世界的な潮流や学術的な研究を踏まえる等、様々な事象を考慮した上で危機管理体制が整備されているかを検証し、その結果を開示することは有用
5. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)
(1) 経営成績、キャッシュ・フロー等の分析
  • 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」で記載した大きなストーリーやコンセプトを、「MD&A」で数字で理屈付けして開示することが有用
  • 中期経営計画、KPI 、財務指標等の目標や実績のみではなく、それらが企業価値の向上にどのように繋がるのかについて開示することが有用
  • ROICの開示について、何がROICを押し上げるキードライバーであるかを、定量的な情報も含めて開示することは有用
  • Non-GAAP指標について、透明性を向上させる観点から、詳細な定義や時系列に沿って開示することは有用
  • Non-GAAP指標について、数字を積み上げると法定開示のGAAPベースのトータルと整合するように開示することが有用
(2) 重要な会計上の見積り
  • 現在の見積りから変動した場合の財務影響(感応度)を定量的に開示することは有用
  • 状況が変化した際に、減損損失が発生する可能性がどの程度あるかが分かる開示は有用
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