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日本基準トピックス 第465号
主旨
  • 2023年5月2日、企業会計基準委員会(ASBJ)は、「リースに関する会計基準(案)」および「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(以下、これらを合わせて「本会計基準案等」という)を公表しました。
  • 本会計基準案等は、日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みの一環として、借手のすべてのリースについて資産および負債を認識するリースに関する会計基準として開発が進められており、このたび公開草案が公表されました。
  • 本会計基準案等の具体的な適用時期は示されていませんが、最終基準の公表から2年程度経過した日(4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用)を想定している旨が示されています(早期適用も可)。
  • 本会計基準案等についてのコメントの提出期限は、2023年8月4日です。
  • 原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。
経緯
我が国においては、2007年3月にASBJが企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」および企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」(以下、これらを合わせて「現行のリース会計基準等」という)を公表し、リースに関する我が国の会計基準は当時の国際的な会計基準と整合的なものとなりました。
しかしながら、2016年1月に国際会計基準審議会(IASB)より国際財務報告基準(IFRS)第16号「リース」(以下「IFRS第16号」という。)が公表され、同年2月に米国財務会計基準審議会(FASB)よりFASB Accounting Standards Codification(FASBによる会計基準のコード化体系)のTopic 842「リース」(以下「Topic 842」という。)が公表されました。
IFRS第16号およびTopic 842 では、借手の会計処理に関して、主に費用配分の方法が異なるものの、原資産の引渡しによりリースの借手に支配が移転した使用権部分に係る資産(使用権資産)と当該移転に伴う負債(リース負債)を計上する使用権モデルにより、オペレーティング・リースも含むすべてのリースについて資産および負債を計上することとされています。IFRS第16号およびTopic 842 の公表により、我が国の会計基準とは、特に負債の認識において違いが生じることとなり、国際的な比較において議論となる可能性がありました。
これらの状況を踏まえ、ASBJは、財務諸表作成者および財務諸表利用者から幅広く意見を聴取したうえで、借手のすべてのリースについて資産および負債を計上する会計基準の開発に着手することとし、検討を重ね、このたび本会計基準案等を公表しました。
構成
本会計基準案等は、現行の「リース取引に関する会計基準」および「リース取引に関する会計基準の適用指針」を置き換えるものとして、次の新たな会計基準等を提案しています。
  • 「リースに関する会計基準(案)」(ASBJ)
  • 「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(ASBJ)
また、関連する会計基準等の改正案として、ASBJおよび日本公認会計士協会(JICPA)から多数の改正案が公表されています。以下はその一部です。
  • 「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の一部改正(案)」(ASBJ)
  • 「収益認識に関する会計基準(案)」(ASBJ)
  • 「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(案)」(ASBJ)
  • 「関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針(案)」(ASBJ)
  • 「金融商品の時価等の開示に関する適用指針(案)」(ASBJ)
  • 「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針(案)」(ASBJ)
  • 「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(ASBJ)
  • 「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針(案)」(JICPA)
  • 「金融商品会計に関する実務指針(案)」(JICPA)
  • 「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針(案)」(JICPA)
  • JICPA 業種別監査委員会報告第19 号 「リース業における金融商品会計基準適用に関する当面の会計上及び監査上の取扱い(案)」(JICPA)
  • 「連結財務諸表におけるリース取引の会計処理に関する実務指針」(JICPA)  ※廃止
概要
本会計基準案等の、現行のリース会計基準等と比較した主なポイントは以下の通りです。なお、その他の論点については後述のコメントの募集を参照ください。
1.借手の取扱い
(1)すべてのリースに係る資産および負債の認識
本会計基準案等では、借手は、IFRS第16号の定めと同様に、すべてのリース取引について使用権資産およびリース負債を計上することとしています。
すなわち、現行のリース会計基準等におけるファイナンス・リースに加え、オペレーティング・リースも含むすべてのリースについて使用権資産およびリース負債を計上することとしています。これに伴い、借手ではファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分はなくなります。
現行のリース会計基準等
本会計基準案等
(ファイナンス・リース)
リース資産およびリース債務を計上
(すべてのリース)
使用権資産およびリース負債を計上
(オペレーティング・リース)
通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理
(2)借手のリース期間
本会計基準案等では、借手のリース期間について、IFRS第16号の定めと同様に、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、借手が行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間および借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間を加えて決定することとしています。このため、本会計基準案等の適用によって現行のリース会計基準等よりもリース期間が長くなる場合があると考えられます。
(3)短期リースおよび少額リースに関する簡便的な取扱い
本会計基準案等では、借手は、現行のリース会計基準等と同様、短期リースおよび少額リースについて、リース開始日に使用権資産およびリース負債を計上せず、リース期間にわたって費用処理できるとしています。
また、本会計基準案等では、現行のリース契約1件当たりの300万円基準(以下の表の②)に代えて、IFRS第16号の取扱いを踏まえて原資産の価値が新品時におよそ5千米ドル以下のリースを基準とする選択も認められています(以下の表の③)。
現行のリース会計基準等
本会計基準案等
短期リース
リース開始日において、借手のリース期間が12か月以内であるリース
少額リース
① 重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、借手のリース料が当該基準額以下のリース
② 企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリースで、リース契約1件当たりの借手のリース料が300万円以下のリース
(選択適用)
③ 原資産の価値が新品時におよそ5千米ドル以下のリース
-
(選択適用)
2.貸手の取扱い
(1)ファイナンス・リースとオペレーティング・リース
本会計基準案等では、貸手の会計処理については、基本的に現行のリース会計基準等の定めを維持するとされています。ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分も従来通りとなります。
(2)ファイナンス・リースの取扱い
現行のリース会計基準等では、貸手のファイナンス・リースについて以下の表の3つの方法の選択適用が認められています。
本会計基準案等では、収益認識会計基準との整合性から、このうち②のリース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法を廃止するとされています。
また、本会計基準案等では、①と③の方法は選択適用ではなく、原資産と同一の製品または商品を販売することを主たる事業としているかどうかによって適用すべき方法を決定するとされています。
現行のリース会計基準等
本会計基準案等
① リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法
(選択適用)
製品または商品を販売することを主たる事業としている企業が、同時に貸手として同一の製品または商品を原資産としている場合に適用
② リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法
(選択適用)
(廃止)
③ 売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法
(選択適用)
原資産と同一の製品または商品を販売することを主たる事業としていない場合に適用
(3)オペレーティング・リースの取扱い
現行のリース会計基準等では、オペレーティング・リース取引は、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことのみを定めており、収益の計上方法に関する詳細な定めは存在しません。
本会計基準案等では、フリーレント(契約開始当初数か月間賃料が無償となる契約条項)やレントホリデー(例えば、数年間賃貸借契約を継続する場合に一定期間賃料が無償となる契約条項)に関する会計処理を明確にして収益認識会計基準との整合性を図るため、貸手は、オペレーティング・リースによる貸手のリース料について、貸手のリース期間にわたり原則として定額法で計上することとしています。
3.リースの識別(借手・貸手共通)
本会計基準案等では、リースの一般的な定義に加えて、リースの識別に関する定めが新たに設けられています。これにより、現行のリース会計基準等により会計処理されていなかった契約にリースが含まれると判断される場合があると考えられます。
具体的には、リースの識別に関して主に次の定めを置くことが提案されています。
① 契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合、当該契約はリースを含む。
② 特定された資産の使用期間全体を通じて、次のいずれも満たす場合、当該契約の一方の当事者(サプライヤー)から当該契約の他方の当事者(顧客)に、当該資産の使用を支配する権利が移転している。
(a) 顧客が、特定された資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有している。
(b) 顧客が、特定された資産の使用を指図する権利を有している。
③ 借手および貸手は、リースを含む契約について、原則として、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とに分けて会計処理を行う。
4.セール・アンド・リースバック取引
(1)セール・アンド・リースバック取引に該当しない場合
我が国では、建設工事請負契約と一括借上契約が同時に締結される取引などにおいて、収益が一定の期間にわたり認識される場合、セール・アンド・リースバック取引の定めが適用されるか否かについて論点になり得るとの意見があります。IFRS第16号においては、収益が一定期間にわたり認識される場合であってもセール・アンド・リースバック取引の定めが適用されるのか否かについて明確にされていません。
この点、本会計基準案等では、売手である借手による資産の譲渡が以下のいずれかである場合、セール・アンド・リースバック取引として取り扱わないとされています。
(a) 収益認識会計基準に従い一定の期間にわたり充足される履行義務(収益認識会計基準第36項)の充足によって行われる場合
(b) 企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」第95項を適用し工事契約における収益を完全に履行義務を充足した時点で認識することを選択する場合
(2)セール・アンド・リースバック取引に該当する場合
本会計基準案等では、セール・アンド・リースバック取引について、以下のそれぞれの場合の会計処理が定められています。なお、これらの会計処理は、現行のリース会計基準等と異なりますが、米国会計基準を参考に定められており、IFRS第16号の定めとも異なっています。
① 資産の譲渡が売却に該当しない場合(金融取引として会計処理を行う場合)
次のいずれかの場合、資産の譲渡は売却に該当しないと判断するものとし、売手である借手は、当該資産の譲渡とリースバックを一体の取引とみて、金融取引として会計処理を行います。
(a) リースバックにより、売手である借手が資産からもたらされる経済的利益のほとんどすべてを享受することができ、かつ、資産の使用に伴って生じるコストのほとんどすべてを負担することとなる場合
(b) 売手である借手による資産の譲渡が収益認識会計基準などの他の会計基準等により売却に該当しないと判断される場合
② 資産の譲渡が売却に該当する場合(一時点で損益を認識する売却に該当すると判断される場合)
次の場合、売手である借手は、当該資産の譲渡について収益認識会計基準などの他の会計基準等に従い当該損益を認識し、リースバックについて本会計基準案等に従い借手の会計処理を行います。
セール・アンド・リースバック取引について、売手である借手による資産の譲渡が収益認識会計基準などの他の会計基準等により、一時点で損益を認識する売却に該当すると判断される場合(ただし、①(a)に該当する場合を除く)
5.サブリース
(1)基本となる会計処理
本会計基準案等では、「サブリース取引」について、IFRS第16号と同様にヘッドリースとサブリースを2つの別個の契約として借手と貸手の両方の会計処理を行うとされています。
(2)例外的な取扱い
IFRS第16号においては、サブリース取引の会計処理に対する例外は設けられていませんが、本会計基準案等では、サブリース取引の例外的な定めとして、次の2つの場合の取扱いを定めることとしています。
① 中間的な貸手がヘッドリースに対してリスクを負わない場合
② 転リース取引の場合
6.連結財務諸表と個別財務諸表の会計処理
本会計基準案等では、連結財務諸表と個別財務諸表の会計処理を同一とすることとしています。
7.注記
(1)リースに関する注記
本会計基準案等では、リースに関する注記における開示目的を、借手または貸手が注記において、財務諸表本表で提供される情報と合わせて、リースが借手または貸手の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに与える影響を財務諸表利用者が評価するための基礎を与える情報を開示することと定めています。
また、開示目的を達成するためのリースに関する注記として、次の事項を示しています。
① 借手の注記
(a) 会計方針に関する情報
(b) リース特有の取引に関する情報
(c) 当期および翌期以降のリースの金額を理解するための情報
② 貸手の注記
(a) リース特有の取引に関する情報
(b) 当期および翌期以降のリースの金額を理解するための情報
上記の各注記事項に関して、IFRS第16号の定めと整合的なものとする具体的な注記事項が定められています。
ただし、各注記事項のうち、開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項については、記載しないことを認めています。
(2)金融商品の時価注記
リース負債については、「金融商品の時価等に関する事項」および「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」の注記が不要とされています。ただし、満期分析(返済予定額の合計額を一定の期間に区分した金額の注記)のみ、引き続き必要となります。
リース債権およびリース投資資産については、「金融商品の時価等に関する事項」の注記が引き続き必要となります。これには、満期分析も含まれます。しかし、「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」の注記は不要とされています。
(3)賃貸等不動産の時価注記
賃貸等不動産の定義を満たす使用権資産については、賃貸等不動産の当期末における時価およびその算定方法の注記の対象外とされています。
8.適用時期
本会計基準案等の具体的な適用時期は示されていませんが、以下の通り、最終基準の公表から2年程度経過した日を想定している旨が示されています(早期適用も可)。
① 本会計基準案等は、20XX年4月1日[公表から2年程度経過した日を想定している。]以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用する。
② ただし、20XX年4月1日[公表後最初に到来する年の4月1日を想定している。]以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から本会計基準案等を適用することができる。
コメントの募集
本会計基準案等にあわせて公表された「コメントの募集及び本公開草案の概要」では、以下の27個の質問項目が記載されています。
本会計基準案等についてのコメントの提出期限は、2023年8月4日です。
質問項目
本会計基準案等の主な提案
質問1:開発にあたっての基本的な方針(借手の会計処理)に同意しますか。
(1) 借手の費用配分の方法
IFRS第16号と同様に、すべてのリースを金融の提供と捉え使用権資産に係る減価償却費およびリース負債に係る利息相当額を計上する単一の会計処理モデルによる。
(2) IFRS第16号と整合性を図る程度
IFRS第16号のすべての定めを取り入れるのではなく、主要な定めの内容のみを取り入れる(これにより、簡素で利便性が高く、かつ、IFRS任意適用企業がIFRS第16号の定めを個別財務諸表に用いても、基本的に修正が不要となる会計基準とする)。
その上で、国際的な比較可能性を大きく損なわせない範囲で代替的な取扱いを定める、または、経過的な措置を定めるなど、実務に配慮した方策を検討する。
(3) 会計基準の開発方法
現行のリース会計基準等を改正するのではなく、新たな会計基準として開発する。
(注)当初は現行のリース会計基準等を改正する方針であったが、利便性の観点から新たな会計基準として開発する方針に変更された。
質問2:開発にあたっての基本的な方針(貸手の会計処理)に同意しますか。
貸手の会計処理については、基本的に現行のリース会計基準等の定めを維持する。
ただし、次の点を除く。
(1) 企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」という。)との整合性を図る点
(2) リースの定義およびリースの識別
質問3:他の会計基準等との関係に関する提案に同意しますか。
本会計基準案等は、契約の名称などにかかわらず、リースに関する会計処理および開示に適用する。
ただし、次の(1)から(4)に該当する場合を除く。
(1) 実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」の範囲に含まれる運営権者による公共施設等運営権の取得
(2) 収益認識会計基準の範囲に含まれる貸手による知的財産のライセンスの供与
(3) (2)を除く貸手による無形固定資産のリースについて、本会計基準案を適用しないことを選択した場合
(4) 借手による無形固定資産のリースについて、本会計基準案を適用しないことを選択した場合
質問4:連結財務諸表と個別財務諸表の会計処理を同一とする提案に同意しますか。
連結財務諸表と個別財務諸表の会計処理を同一とする。
質問5:リースの定義およびリースの識別に関する提案に同意しますか。
リースの定義に加え、リースの識別に関する定めを、基本的にIFRS第16号の定めと整合させて新たに設け、借手と貸手の両方に適用する。
ただし、リースの識別に関する細則的なガイダンスについては、国際的な比較可能性が大きく損なわれるか否かを主要な判断基準として、取捨選択して本会計基準案等に取り入れる。
質問6:借手のリース期間に関する提案に同意しますか。
借手のリース期間について、IFRS第16号の定めと同様に、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、借手が行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間および借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間を加えて決定する。
質問7:貸手のリース期間に関する提案に同意しますか。
貸手のリース期間について、現行のリース会計基準等の定めを踏襲し、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、リースが置かれている状況からみて借手が再リースする意思が明らかな場合の再リース期間を加えて決定する。
質問8:借手のリース開始日の使用権資産およびリース負債の計上額に関する提案に同意しますか。
借手がリース負債の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース開始日において未払である借手のリース料からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除し、現在価値により算定する。
ここで、借手のリース料は、IFRS第16号の定めと同様に、借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に関して行う貸手に対する支払であり、次の(1)から(5)の支払で構成される。
(1) 借手の固定リース料
(2) 指数またはレートに応じて決まる借手の変動リース料
(3) 残価保証に係る借手による支払見込額
(4) 借手が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額
(5) リースの解約に対する違約金の借手による支払額(借手のリース期間に借手による解約オプションの行使を反映している場合)
また、使用権資産の計上額については、現行のリース会計基準等における貸手の購入価額または見積現金購入価額と比較を行う方法を踏襲せず、IFRS第16号と整合的に、借手のリース料の現在価値を基礎として使用権資産の計上額を算定する。
質問9:短期リースに関する簡便的な取扱いについての提案に同意しますか。
現行のリース会計基準等の定めおよびIFRS第16号の定めと同様に、借手は、短期リースについて、リース開始日に使用権資産およびリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することを認める。
質問10:少額リースに関する簡便的な取扱いについての提案に同意しますか。
次の(1)または(2)について、借手は、リース開始日に使用権資産およびリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上することを認める。なお、(2)については、①または②のいずれかを選択できるものとし、選択した方法を首尾一貫して適用する。
(1) 重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、借手のリース料が当該基準額以下のリース
この基準額は、通常取引される単位ごとに適用し、リース契約に複数の単位の原資産が含まれる場合、当該契約に含まれる原資産の単位ごとに適用することができる。
(2) 次の①または②を満たすリース
① 企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリースで、リース契約1件当たりの借手のリース料が300万円以下のリース
この場合、1つのリース契約に科目の異なる有形固定資産または無形固定資産が含まれている場合、異なる科目ごとに、その合計金額により判定することができるものとする。
② 原資産の価値が新品時におよそ5千米ドル以下のリース
この場合、リース1件ごとにこの方法を適用するか否かを選択できるものとする。
質問11:借地権の設定に係る権利金等に関する提案に同意しますか。
借地権の設定に係る権利金等は、使用権資産の取得価額に含め、原則として、借手のリース期間を耐用年数とし、減価償却を行う。
ただし、定期借地権以外の、旧借地権の設定に係る権利金等または普通借地権の設定に係る権利金等については、減価償却を行わないものとして取り扱うことを認める(本会計基準案等の適用前に償却を行っていた場合を除く)。
質問12:利息相当額の各期への配分に関する提案に同意しますか。
現行のリース会計基準等のファイナンス・リース取引に関する定めおよびIFRS第16号の定めと同様に、リース開始日における借手のリース料とリース負債の計上額との差額は、利息相当額として取り扱い、当該利息相当額を借手のリース期間中の各期に配分する方法は利息法による。
ただし、使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合は、現行のリース会計基準等と同様に、次のいずれかの方法を適用することを認める。
(1) 借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法
(2) 利息相当額の総額を借手のリース期間中の各期に定額法により配分する方法
質問13:使用権資産の償却に関する提案に同意しますか。
使用権資産の償却について、基本的に現行のリース会計基準等におけるリース資産の償却と同様の会計処理を定める。
質問14:リースの契約条件の変更およびリースの契約条件の変更を伴わないリース負債の見直しに関する提案に同意しますか。
リースの契約条件の変更、および、リースの契約条件の変更を伴わないリース負債の見直しについて、IFRS第16号の定めと同様の会計処理を定める。
質問15:借手のリース期間に含まれない再リースに関する提案に同意しますか。
現行のリース会計基準等における、再リース期間をリース資産の耐用年数に含めない場合の再リース料は、原則として、発生時の費用として処理する取扱いを踏襲し、再リースを当初のリースとは独立したリースとして会計処理を行うことを認める。
質問16:セール・アンド・リースバック取引に関する提案に同意しますか。
(1) セール・アンド・リースバック取引に該当しない場合
対象となる資産の譲渡とリースバックにおいて、売手である借手による資産の譲渡が次のいずれかである取引については、セール・アンド・リースバック取引として取り扱わない。
(a) 収益認識会計基準に従い一定の期間にわたり充足される履行義務(収益認識会計基準第36項)の充足によって行われる場合
(b) 企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」第95 項を適用し工事契約における収益を完全に履行義務を充足した時点で認識することを選択する場合
(2) セール・アンド・リースバック取引に該当する場合
① 金融取引として会計処理を行う場合
次のいずれかの場合、資産の譲渡は売却に該当しないと判断するものとし、売手である借手は、当該資産の譲渡とリースバックを一体の取引とみて、金融取引として会計処理を行う。
(a) リースバックにより、売手である借手が資産からもたらされる経済的利益のほとんどすべてを享受することができ、かつ、資産の使用に伴って生じるコストのほとんどすべてを負担することとなる場合
(b) 売手である借手による資産の譲渡が収益認識会計基準などの他の会計基準等により売却に該当しないと判断される場合
② 一時点で損益を認識する売却に該当すると判断される場合
セール・アンド・リースバック取引について、売手である借手による資産の譲渡が収益認識会計基準などの他の会計基準等により、一時点で損益を認識する売却に該当すると判断される場合(ただし、①(a)に該当する場合を除く)、売手である借手は、当該資産の譲渡について収益認識会計基準などの他の会計基準等に従い当該損益を認識し、リースバックについて本会計基準案等に従い借手の会計処理を行う
なお、上記の会計処理は、米国会計基準の定めを参考に定められており、IFRS第16 号の定めとは異なっている。
質問17:貸手のファイナンス・リースに関する提案に同意しますか。
現行のリース会計基準等で定められていた「リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法」を廃止し、次の通り会計処理する。
(1) 製品または商品を販売することを主たる事業としている企業が、同時に貸手として同一の製品または商品を原資産としている場合、リース開始日に、貸手のリース料からこれに含まれている利息相当額を控除した金額で売上高を計上し、同額でリース投資資産(所有権移転外ファイナンス・リースの場合)またはリース債権(所有権移転ファイナンス・リースの場合)を計上する。また、原資産の帳簿価額により売上原価を計上する。
(2) 原資産と同一の製品または商品を販売することを主たる事業としていない場合、リース開始日に、原資産の現金購入価額により、リース投資資産(所有権移転外ファイナンス・リースの場合)またはリース債権(所有権移転ファイナンス・リースの場合)を計上する。
質問18:貸手のオペレーティング・リースに関する提案に同意しますか。
現行のリース会計基準等では、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うことのみを定めていた。本会計基準案等では、フリーレント(契約開始当初数か月間賃料が無償となる契約条項)やレントホリデー(例えば、数年間賃貸借契約を継続する場合に一定期間賃料が無償となる契約条項)に関する会計処理を明確にして収益認識会計基準との整合性を図るため、貸手は、オペレーティング・リースによる貸手のリース料について、貸手のリース期間にわたり原則として定額法で計上する。
質問19:サブリース取引に関する提案に同意しますか。
(1) 基本となる会計処理
サブリース取引について、IFRS第16号と同様にヘッドリースとサブリースを2つの別個の契約として借手と貸手の両方の会計処理を行う。
(2) 中間的な貸手がヘッドリースに対してリスクを負わない場合
国際的な比較可能性を大きく損なわせない範囲で我が国における例外的な取扱いを定めることとし、本会計基準案等では、中間的な貸手は、次の要件をいずれも満たす取引について、サブリースにおいて受け取るリース料の発生時または当該リース料の受領時のいずれか遅い時点で、貸手として受け取るリース料と借手として支払うリース料の差額を損益に計上することを認める。
① 中間的な貸手は、サブリースの借手からリース料の支払を受けない限り、ヘッドリースの貸手に対してリース料を支払う義務を負わない。
② 中間的な貸手のヘッドリースにおける支払額は、サブリースにおいて受け取る金額にあらかじめ定められた料率を乗じた金額である。
③ 中間的な貸手は、次のいずれを決定する権利も有さない。
(a) サブリースの契約条件(サブリースにおける借手の決定を含む。)
(b) サブリースの借手が存在しない期間における原資産の使用方法
(3) 転リース取引
現行のリース会計基準等における転リース取引の取扱いについては、主に機器等のリースについて仲介の役割を果たす中間的な貸手の会計処理として実務に浸透しているため、本会計基準案等では、当該取扱いをサブリース取引の例外的な取扱いとして認める。
質問20:表示に関する提案に同意しますか。
(1) 借手
借手の表示についても、IFRS第16号と整合的なものとすることとし、次のとおりとしている。
① 使用権資産について、次のいずれかの方法により、貸借対照表において表示する。
(a) 対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目に含める方法
(b) 対応する原資産の表示区分(有形固定資産、無形固定資産または投資その他の資産)において使用権資産として区分する方法
② リース負債について、貸借対照表において区分して表示するまたはリース負債が含まれる科目および金額を注記する。
③ リース負債に係る利息費用について、損益計算書において区分して表示するまたはリース負債に係る利息費用が含まれる科目および金額を注記する。
(2) 貸手
貸手の表示について、現行のリース会計基準等を踏襲し、所有権移転ファイナンス・リースに係るリース債権と所有権移転外ファイナンス・リースに係るリース投資資産は区分して表示する。
質問21:注記事項に関する提案に同意しますか。
リースに関する注記における開示目的を、借手または貸手が注記において、財務諸表本表で提供される情報と合わせて、リースが借手または貸手の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに与える影響を財務諸表利用者が評価するための基礎を与える情報を開示することと定めている。
また、開示目的を達成するためのリースに関する注記として、次の事項を示している。
(1) 借手の注記
① 会計方針に関する情報
② リース特有の取引に関する情報
③ 当期および翌期以降のリースの金額を理解するための情報
(2) 貸手の注記
① リース特有の取引に関する情報
② 当期および翌期以降のリースの金額を理解するための情報
上記の各注記事項に関して、IFRS第16号の定めと整合的なものとする具体的な注記事項を定めている。
ただし、各注記事項のうち、開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項については、記載しないことを認める。
質問22:連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表における表示および注記事項について同意しますか。
連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表においては、特定の項目を注記しないことおよび連結財務諸表における記載を参照することを認める。
質問23:適用時期に関する提案に同意しますか。
(1) 本会計基準案等は、20XX年4月1日[公表から2年程度経過した日を想定している。]以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用する。
(2) ただし、20XX年4月1日[公表後最初に到来する年の4月1日を想定している。]以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から本会計基準案等を適用することができる。
質問24:経過措置に関する提案に同意しますか。
IFRS第16号の経過措置を取り入れるとともに、リースの識別や借地権の設定に係る権利金等について、我が国特有の経過措置を設けている。
質問25:設例に関する提案に同意しますか。
現行のリース会計基準等の設例に加えて、IFRS第16号の設例を基礎とした設例を設けている。また、我が国特有の設例として、普通借地契約および普通借家契約に係る借手のリース期間についての設例を設けている。
質問26:賃貸等不動産時価開示会計基準改正案等に関する提案に同意しますか。
賃貸等不動産時価開示会計基準改正案等では、賃貸等不動産の定義を満たす使用権資産について、賃貸等不動産の当期末における時価およびその算定方法の注記の対象外としている。
質問27:その他
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