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日本基準トピックス 第464号
主旨
  • 2023年1月31日に金融庁が公表した「サステナビリティ情報」等に関する開示の好事例を取りまとめた「記述情報の開示の好事例集2022」(以下、「本好事例集」という)について、2023年3月24日、金融庁は、新たに「コーポレート・ガバナンスの概要」、「監査の状況」、「役員の報酬等」および「株式の保有状況」に関する開示の好事例を本好事例集に追加し、公表しました。
  • 本好事例集は、現時点でどのような開示が投資判断にとって有用と考えられるかについて、投資家、アナリスト、企業により議論し、そこで議論された開示例を取りまとめています。
  • この他、「記述情報の開示の好事例集」の公表を開始した2018年度から2022年度までの間において開示の充実化が進展している企業の事例等を盛り込んだ「記述情報の開示に関する充実化の動向」についても追加し、公表しました。
  • 原文については、金融庁のウェブサイトをご覧ください。
経緯
  • 金融庁は、投資家と企業との建設的な対話に資する充実した企業情報の開示を促すため、「記述情報の開示の好事例集」を公表しています。
  • 2023年1月31日、金融庁は、「サステナビリティ情報」ならびに有価証券報告書の主要項目である「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「事業等のリスク」および「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」に関する開示の好事例を取りまとめた本好事例集を公表しています。
  • 上記に関連して、2023年3月24日、金融庁は、随時項目を追加し公表するとしていた「コーポレート・ガバナンスの概要」、「監査の状況」、「役員の報酬等」および「株式の保有状況」に関する開示の好事例を新たに本好事例集に追加し、公表しました。
「記述情報の開示の好事例集2022」について
本好事例集は、投資家、アナリスト、企業により議論された開示の好事例が取りまとめられ、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報に関する開示例と事業の状況等に関する開示例に分け、以下の項目で構成されています。
内容
  • はじめに ~「記述情報の開示の好事例集」の構成・使い方 ~
  • 有価証券報告書におけるサステナビリティ情報に関する開示例
1.環境(気候変動関連等)
2.社会(人的資本、多様性等)
  • 有価証券報告書の事業の状況ほかに関する開示例
3.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
4.事業等のリスク
5.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)
(1)経営成績、キャッシュ・フロー等の分析
(2)重要な会計上の見積り
6.コーポレート・ガバナンスの概要(2023年3月24日追加
7.監査の状況(2023年3月24日追加
8.役員の報酬等(2023年3月24日追加
9.株式の保有状況(2023年3月24日追加
  • 記述情報の開示に関する充実化の動向(2023年3月24日追加
本好事例集では、上記の項目ごとに投資家・アナリストが期待する主な開示のポイントが示されており、それぞれの開示例では、好事例として着目したポイントが紹介されています。
これらの開示例における好事例のポイントを参考に、当該開示例の要素を取り込むことにより有価証券報告書の開示の充実が図られることが期待されています。
投資家・アナリストが期待する主な開示のポイントについて
今回追加された、「コーポレート・ガバナンスの概要」、「監査の状況」、「役員の報酬等」および「株式の保有状況」の開示例では、それぞれ以下の点が投資家・アナリストが期待する主な開示のポイントとして示されています。
6.コーポレート・ガバナンスの概要
  • ガバナンスは企業によって百社百様であることから、様々なガバナンスの形態(モニタリングボード、アドバイザリーボード、マネジメントボード)がある中で、なぜそのガバナンスの形態が実効的であるとして採用したのかがしっかりと開示されることは有用
  • 投資家の議決権行使に当たり、コーポレート・ガバナンスは、形式的な枠組みを満たすだけでなく、実効面の確保が非常に重要であり、こうした実効面に関する開示の充実を期待している
  • 取締役会等の活動状況には、「具体的な検討内容」が分かるものとして、活動の目的だけでなく、具体的なアジェンダを示し、活動内容の具体的なイメージが分かるような開示を行うことは有用
  • 取締役会等の実効性の評価として、評価方法、具体的な評価結果、評価結果の分析、分析で判明した課題及び課題を踏まえた今後の取組みを記載することは有用。この際、時系列による開示を行うことは、会社がどのような経緯により実効性を高めているかを把握することができるため有用
  • 取締役会の実効性評価の開示では、取締役会による経営者の監督状況、中期経営計画や経営上の重要な課題について議論されていることを確認している
  • スキルマトリックスは、取締役会等の実効性を確認するための原点となるストラクチャーであり、会社がガバナンス機能を発揮するために何を重視しているのかを明確に示すことができるため有用
  • 社外役員が議論にしっかりと参加し、その役割を発揮してもらうための社外役員を支える仕組みについて開示することは有用
7.監査の状況
  • 監査の状況は、会社のリスク管理の観点から非常に重要な項目と認識
  • 監査役による監査の実効性を確認する観点から、取締役会、監査役会以外の会議への監査役の出席状況の記載は有用
  • 監査役会等の活動状況について、例えば、監査役等がどこにリスクがあると認識し、そのリスクに対してのどのような対応策を検討したのか等、具体的な議論の状況を開示することは、監査役会等の取組みを理解することができるため有用
  • 内部監査の実効性確保のための体制整備として、デュアルレポーティングラインを構築・運用していることの開示は、リスクに対する会社の意識を理解することができるため有用
  • 会計監査人の監査品質は、企業情報の信頼性を確保するための基盤となる。このため、会社による会計監査人に対する評価のプロセスや結果が具体的に開示されることは有用
  • KAMに関して、監査役が監査人とどのような議論を行ったのか、監査人のリスク認識等に対してどのような判断を行ったかについて具体的に開示することは有用
8.役員の報酬等
  • 現在の報酬水準に関する報酬委員会としての見解の開示は有用
  • 今後、監督と執行の分離が進むにつれて、執行側は、企業価値向上のためのより迅速な業務執行にフォーカスすることとなり、それに伴い報酬についても業績連動となることが期待される。そうした場合、執行側の報酬についても具体性・透明性を持った開示がなされることが重要
  • 例えば、株式による報酬等、金銭以外の報酬の割合が大きい場合においては、金銭報酬と併せて開示することは有用
  • 株式報酬のスキームを採用している場合には、当該スキームを導入した理由、算定式、報酬決定の基となる会社・役員個人の実績、報酬の支払実績が開示されることは有用
  • 長期インセンティブ型報酬のKPIは、会社の経営戦略・価値創造と結びついている指標であるかの観点が非常に重要。このため、会社が、どのような理由から当該指標を重視し、KPIとして設定したかを開示することは有用
  • 長期インセンティブ型報酬KPIへのESG指標の導入にあたっては、当該指標と中長期の企業価値との結びつき、企業の経営戦略との結びつきの観点が重要であり、そうした観点を持った上での開示は有用
  • 役員報酬の妥当性を確認する観点から、同規模の同業他社比は、客観的でわかりやすい指標であり有用
9.株式の保有状況
  • 政策保有株式の削減予定や削減額の開示は、会社の状況を把握して議決権行使に当たっての判断に役立てるため、非常に重要な判断材料になることから、今後の政策保有株式の削減に向けた具体的な方針と併せて開示することは有用
  • 議決権行使の透明性の観点から、議決権行使基準を具体的に開示していることは有用。加えて、こうした議決権行使の方針と併せて、議案に反対している事例があるか等、議決権行使結果の状況について開示することはより有用
  • 個別銘柄毎の保有目的は、テンプレートではない具体的な事業上の理由やメリットを記載することが重要
  • 政策保有株式を事業上の目的で保有する場合には、重要度に応じて、経営上の重要な契約にその内容を開示することが透明性の観点から有用
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