日本基準トピックス 第474号
主旨
2023年11月20日、「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が、第212回国会(臨時会)において可決され、四半期報告書制度の廃止が決定されています。具体的には、上場企業等の第1・第3四半期報告書が廃止され、第2四半期報告書が半期報告書に変更されます。
これを受けて、2023年12月8日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」等の改正案(以下、「本改正案」という)を公表しました。
- 本改正案は、当該四半期報告書制度の廃止に関する規定の施行に伴い、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)」、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)」および「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の関係政令・内閣府令等の規定の整備を行うものです。
- 本改正案は、四半期報告書制度の廃止にあわせて、2024年4月1日施行予定とされています。
原文については、
金融庁のウェブサイトをご覧ください。
改正案の概要
本改正案は、四半期報告書制度の廃止に関する規定の施行に伴い、主に以下の改正を提案しています。
1.半期報告書に含まれる中間財務諸表に関する規定の整備
(1)上場会社等の中間財務諸表(従前の四半期財務諸表に相当する中間財務諸表)
上場会社等(特定事業会社を除く)(注1)が提出する半期報告書に含まれる中間財務諸表について、本改正案では、従前の「四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期財務諸表等規則)」および「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期連結財務諸表規則)」の内容を基本的に引き継いでいます(注2)。なお、中間連結財務諸表を作成する場合は、中間財務諸表は不要とされています。
また、有価証券報告書および半期報告書の提出義務がある非上場会社(特定事業会社を除く)(注3)が提出する半期報告書に含まれる中間財務諸表についても、当該取扱いを適用することができます。
(2)それ以外の会社の中間財務諸表(従前の中間財務諸表に相当する中間財務諸表)
それ以外の会社が提出する半期報告書に含まれる中間財務諸表について、本改正案では、従前の「中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間財務諸表等規則)」および「中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間連結財務諸表規則)」の内容を基本的に引き継いでいます。なお、中間連結財務諸表を作成する場合でも、中間財務諸表が必要となります。
また、本改正案では、(1)と(2)の中間財務諸表を区別するために、(1)を「第1種中間財務諸表」、(2)を「第2種中間財務諸表」と呼ぶこととしています(注4)。そのうえで、四半期財務諸表等規則や中間財務諸表等規則を廃止し、「第1種中間財務諸表」および「第2種中間財務諸表」に関する規定を、すべて財務諸表等規則に含めることとしています。従前の規則と本改正案による規則の関係をまとめると、次の表の通りです。
(注1)金融商品取引法第24条の5第1項の表の第1号に掲げる会社であり、上場会社等のうち、特定事業会社(銀行、保険会社および信用金庫等)を除く会社。
(注2)ただし、適用される会計基準については企業会計基準委員会において議論が行われているところであり、その基準案の内容を踏まえた修正を行う可能性があるとされている。
(注3)金融商品取引法第24条の5第1項の表の第3号に掲げる非上場会社のうち、特定事業会社を除く会社。この会社は、原則として(2)の従前の中間財務諸表に相当する中間財務諸表を作成するが、(1)の従前の四半期財務諸表に相当する中間財務諸表を作成することもできる
(注4)第1種、第2種は規則内の呼称であり、公表される中間財務諸表には第1種、第2種はつかない。ただし、経理の状況の冒頭において第1種または第2種の別を記載する。また、本改正案で用いている一部の名称は仮称であり、企業会計審議会等における議論の結果を踏まえ、名称を変更する可能性があるとされている。
半期報告書の提出会社と本改正案による中間財務諸表の関係をまとめると、次の表のとおりです。
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原則として第2種中間(連結)財務諸表
ただし第1種中間(連結)財務諸表も可
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2.半期報告書に関するその他の規定の整備
本改正案は、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等についても、所要の改正を提案しています。
3.臨時報告書の提出事由の追加
本改正案は、2022年12月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告において、直近の有価証券報告書の記載内容から重要な変更があった場合に四半期報告書において開示が求められてきた事項については、臨時報告書の提出事由とすることが考えられるとされたことを踏まえ、以下の事項について、臨時報告書の提出事由に追加することを提案しています。
・「企業・株主間のガバナンスに関する合意」の締結・変更
・「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」の締結・変更
4.適用時期
本改正案は、四半期報告書制度の廃止にあわせて、2024年4月1日施行予定とされています。なお、四半期報告書制度の決算期(3月決算、12月決算、2月決算など)に応じた廃止時期については、以下の日本基準トピックスも参照ください。