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日本基準トピックス 第491号
主旨
  • 2024年7月1日、企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」とする)は、移管指針「移管指針の適用」及び移管後の個別の移管指針(以下、まとめて「本移管指針等」)を公表しました。これは、日本公認会計士協会(以下、「JICPA」とする)が公表していた「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」や「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」等の企業会計に関する実務指針(Q&Aを含む。以下「実務指針等」とする)を、ASBJに移管するものです。
  • 移管にあたって、実務指針等の名称を移管指針の体系に合わせるように変更していることを除き、内容の変更はありません。
  • 本移管指針等は公表日以後適用されます。
  • 本移管指針等の適用は、会計方針の変更に関する注記を要しないとされています。
  • 原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。
経緯
我が国の会計基準は、2001年にASBJが設立される前は、会計基準については企業会計審議会が公表し、実務上の取扱い等を示す実務指針等についてはJICPAが公表していました。ASBJの設立後は、新しい会計基準、適用指針及び実務対応報告についてはいずれについてもASBJが公表しています。JICPAが公表した実務指針等については包括的にASBJに引き継ぐことはせず、引き継げるものから引き継ぐ形をとっていますが、多くの実務指針等はまだJICPAに残されていました。
こうした状況を受けて、ASBJ及びJICPAは、JICPAが公表した実務指針等をASBJに移管するプロジェクトについての考え方を示し、関係者からの意見を募集することを目的として2023年6月に「日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管に関する意見の募集」(以下「意見募集文書」とする)を公表しました。意見募集文書では、JICPAが公表した実務指針等を「会計に関する指針のみを扱う実務指針等」と「会計に関する指針のみを扱う実務指針等以外の実務指針等」の2つの分類に分けた上で、会計に関する指針のみを扱う実務指針等については、該当するすべての実務指針等を移管プロジェクトの対象としてASBJに移管を進める考えを示していました。また、会計に関する指針のみを扱う実務指針等以外の実務指針等については、優先順位が高いと考えられる継続企業と後発事象に関する実務指針等について調査研究を行い、それ以外の実務指針等については移管プロジェクトにおける検討の対象外とする考えを示していました。
当該意見募集文書に対して、これらの方針を支持する意見が聞かれたことから、ASBJでは、会計に関する指針のみを扱う実務指針等の移管について検討を重ね、このたび、本移管指針等を公表しました。
なお、会計に関する指針のみを扱う実務指針等以外の実務指針等については、ASBJは継続企業と後発事象に関する実務指針等についての調査研究を行い、2024年6月に「継続企業及び後発事象に関する調査研究」を公表しています。
移管指針の体系及び内容
移管にあたっては、移管対象のJICPAが公表した実務指針等の所管をASBJに移すことを主たる目的とし、当該移管により実務を変更しないことを意図しています。このため、本移管指針等では、実務への影響を最小限とするように、以下の方針に基づいて移管が行われました。
  • 基本的には文書単位でそのままの形で移管することを原則とする。
  • 実務指針等の「委員会名」及び「連番」は変更する一方、「実務指針等の名称」は変更しない。
  • 各実務指針等における項番号を変更しない。
  • 実務指針等に関して、字句等の誤りが含まれている可能性があるが、移管にあたって識別された字句等の誤りについて訂正しない。これらは、ASBJに移管した後、年次改善の一環として一括して訂正する。
移管後の移管指針の一覧は下表のとおりです。
移管指針
(参考)対応するJICAPが公表した実務指針等 *
移管指針第1号「ローン・パーティシペーションの会計処理及び表示」
会計制度委員会報告第3号「ローン・パーティシペーションの会計処理及び表示」
移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」
会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」
移管指針第3号「連結財務諸表におけるリース取引の会計処理に関する実務指針」
会計制度委員会報告第5号「連結財務諸表におけるリース取引の会計処理に関する実務指針」
移管指針第4号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」
会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」
移管指針第5号「株式の間接所有に係る資本連結手続に関する実務指針」
会計制度委員会報告第7号(追補)「株式の間接所有に係る資本連結手続に関する実務指針」
移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」
会計制度委員会報告第8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」
移管指針第7号「持分法会計に関する実務指針」
会計制度委員会報告第9号「持分法会計に関する実務指針」
移管指針第8号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」
会計制度委員会報告第12号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」
移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」
会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」
移管指針第10号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」
会計制度委員会報告第15号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」
移管指針第11号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A」
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A
移管指針第12号「金融商品会計に関するQ&A」
金融商品会計に関するQ&A
移管指針第13号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針についてのQ&A」
特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針についてのQ&A
移管指針第14号「土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A」
土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A
(移管指針「移管指針の適用」の別紙 より)
* 同日、JICPAから「移管に伴う会計制度委員会が公表した実務指針等の廃止について」が公表されています。
適用時期等
本移管指針等は、公表日以後適用します。
移管指針の設定は新たな会計基準等の設定に該当することから、移管指針を初めて適用する場合には原則としては会計方針の変更に該当すると考えられるものの、実務指針等の名称を移管指針の体系に合わせるように変更することを除き、移管前の実務指針等の内容を変更していないため、本移管指針等の適用は会計方針の変更に関する注記を要しないこととされています。
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