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国際会計基準審議会(IASB)は履行義務の識別、知的財産(IP)のライセンスおよび本人か代理人かの検討に関するガイダンスを明確化するために、国際財務報告基準(IFRS)第15号「顧客との契約から生じる収益」を修正しました。また本修正では、経過措置に関する実務上の便法が追加されました。本修正は、米国財務会計基準審議会(FASB)が作成中の修正とは異なるものです。PwCのSallie Deyselが本修正の詳細を紹介します。


IASBは、2016年4月12日にIFRS第15号の明確化を公表しました。本修正は、移行リソースグループ(TRG)によって、ガイダンスの中で、首尾一貫しない解釈が生じるリスクがあるものとして識別された領域に対応するものです。

IASBは、適用プロセスを妨げる可能性のある不明確な論点を最小化するよう試みるとともに、もし変更すべき事項があるとすれば何かの決定について高いハードルを設けました。IASBは、適用後レビューの前に本基準に対してさらなる修正が行われる可能性が低いことを明確にしています。

FASBは、より多くの論点に対してより広範囲の修正を行うことを決定しました。

変更点


本修正は、履行義務の識別、知的財産ライセンスの会計処理および本人か代理人か(収益を総額表示するか純額表示するか)の検討を明確化します。ガイダンスのこうした領域のそれぞれに設例が新規に追加または修正されました。

IASBは経過措置に関する実務上の便法も追加しました。本修正は、2018年1月1日以後開始する事業年度より適用となります。早期適用は認められます。

履行義務の識別


本修正は、契約における約束が「別個(distinct)」の財またはサービスであるために区分して会計処理することが求められると判断する際のガイダンスを明確化しています。履行義務の識別は、IFRS第15号の適用においては不可欠なものです。IASBは、この重要な領域におけるコンバージェンスを維持するためにFASBと同様の修正を行うことを決定しました。

知的財産のライセンス


ライセンスのガイダンスに関する修正は、知的財産(IP)のライセンスから生じる収益を「一定の期間にわたり(over time)」認識すべきか、「一時点(point in time)」で認識すべきかを明確化するものです。

FASBは、会計処理を判断するに際して知的財産のライセンスを「機能的(functional)」と「象徴的(symbolic)」の2種類に分類する、IASBとは異なるモデルの開発を決定しました。また、FASBは、ライセンスの制限の影響、ライセンスの更新の会計処理、ライセンスを含む履行義務に関する収益認識のパターンについてのガイダンスを提供しました。

これらの差異は、IFRS適用企業の報告する収益がUS GAAP適用企業である競合他社の報告する収益とは異なる可能性があることを意味しています。これはメディア業界、バイオテック業界、ソフトウェア業界などに属する、知的財産のライセンスを付与する企業に影響を与える可能性があります。しかし、実務上の差異の大きさがどの程度なのかを把握するにはまだ時間がかかりそうです。

また本修正は、どのような場合に売上高ベースまたは使用量ベースのロイヤルティの形態で対価を受け取る知的財産のライセンスに係る収益認識のガイダンスを適用するかについても明確にしています。これらの変更により、コンバージェンスが保持されています。

本人か代理人かに関する検討


IASBは、契約上の本人は、財またはサービスを顧客に移転する前に、その財またはサービスを支配しているということを明確化しています。また、支配の指標の構成を見直し、企業が代理人である場合の指標ではなく、企業が本人である場合の指標を提示するとともに、指標のうち2つ(「企業の対価が手数料の形式によるもの」および「企業が信用リスクにさらされていない」)を削除しています。これらの変更により、コンバージェンスが保持されています。

経過措置に関する実務上の便法


本修正は、経過措置を簡素化するため、新たに2つの実務上の便法を導入しています。

1つ目の便法は、移行時に存在する契約変更を企業が評価する際に事後の判断(hindsight)の使用を認めるものです。

2つ目の便法は、企業が基準を完全遡及することを選択している場合に、(財務諸表に)表示する最も古い期間の期首現在に完了した契約について修正再表示を行わないことを選択できるとするものです。US GAAP適用企業はこの便法を利用することはできません。

影響


本修正はIFRS第15号の核となる原則を変更するものではありませんが、IFRS第15号における比較的複雑な側面のいくつかを明確化しています。本修正は、多くの企業に影響を与える可能性があります。経営者はIFRS第15号の影響を評価するにあたり本修正を考慮することが必要です。

IFRS第15号に対する本修正は、FASBがUS GAAPにおける新収益基準に対して行う修正と、すべての点において同じではありません。上記の差異に加えて、FASBは、出荷および配送活動の会計処理に関する例外規定を設けています。また、回収可能性の評価、売上税の表示、現金以外の対価の測定に関するガイダンスに対して狭い範囲の修正を加えることが見込まれています。

IFRS第15号がこれらのトピックに関するガイダンスを追加する予定はありません。IASBは、「結論の根拠」で、一般的に、両基準間の文言の差異によりIFRSとUS GAAPで異なる結論が導かれる、あるいはその可能性があることについて説明しています。

米国内外の両方において財務報告が要求される企業(例えば、IFRS適用企業である子会社を有する米国企業、または外国登録企業(FPI)でもあるIFRS適用企業)は、彼らの下した結論が両方のフレームワークの下で受け入れられるものであるかどうかを、移行プロセスの中で検討する必要があります。重要な競合他社がUS GAAPを適用している場合には、企業は投資家に対して適用上の差異を説明する必要があるかもしれません。

次のステップ


IASBは、IFRS第15号へのさらなる修正を行うことを現時点では予定していません。FASBは、さまざまな技術的修正を含む公開草案および最終化された狭い範囲の改善の公表を予定しています。

FASBは、TRG会議(米国の参加者のみを予定)の開催を継続します。米国の参加者のみによる最初のTRG会議は2016年4月に開催されました。その後の会議は7月および11月に開催される予定です。IASBがそれらの会議で行われる議論に対応するかどうか、またはどう対応するかについては、現時点では明らかになっていません。
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