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PwCの金融商品の専門家であるHolger Meurerが、減損に関するあなたの疑問を晴らすことができるのはどのような情報かを探ります。
国際財務報告基準(IFRS)第9号の予想信用損失(ECL)モデルでは、金融資産の信用リスクの著しい増大が明確な変化を表します。信用リスクの著しい増大がある場合、資産は「ステージ2」に分類され、全期間のECLが計上されます。全期間のECLは、金融商品の予想存続期間にわたる考え得るすべての債務不履行事象から生じる予想信用損失と同額になります。

この連載コラムの第2回では、信用リスクの著しい増大があったかどうかの判定にあたり企業がどのような情報を利用できるかについて、さらに詳しく説明します。
定性的情報の使用
信用リスクの著しい増大があったかどうかの判定においては、必ずしも複雑な統計モデルまたは信用格付けプロセスに依拠する必要はありません。定性的情報や非統計な定量的情報をよく考慮することで十分な場合もあります。
IFRS第9号には、信用リスクの著しい増大を個別的または集合的に示唆する定性的要因の長いリストがあります。それらの例には、特定の金融商品の外部市場指標(信用スプレッドまたはクレジット・デフォルト・スワップ価格等)、借手の営業成績または予想される業績および行動の変化、ならびに借手の規制環境、経済環境または技術環境の不利な変化が含まれます。それらは、損失評価引当金の認識金額を12か月の予想信用損失から全期間の予想信用損失に変えるべき状況を示唆している可能性があります。
実務では、既存の(信用が悪化した債務者の)監視リストが定性的評価の出発点として有用です。しかしながら、監視リストは出発点にすぎません。IFRS第9号に準拠するための十分に広範な要因が補足されるよう、しばしば既存の監視リストの拡充が必要になります。
期日経過情報の使用
期日経過情報も信用リスクの著しい増大を示す可能性があります。しかし、通常、企業は期日経過情報だけに依存すべきではありません。企業が合理的で裏付け可能な将来予測的な情報を有している場合には、その情報を評価に使用すべきです。
契約上の支払が30日超の期日経過である場合には、当該金融資産に係る信用リスクが著しく増大しているという反証可能な推定があります。しかし、この「30日超の期日経過」という反証可能な推定は、単に安全装置として機能するのみです。すなわち、全期間の予想信用損失を認識すべき最後の時点であると推定されます。ほとんどの場合、信用リスクの著しい増大は、当該資産の支払が30日超の期日経過となる前に発生します。企業は、契約上の支払が30日超の期日経過となっていても、これが金融商品の信用リスクの著しい増大を表すものではないことを立証する合理的で裏付け可能な情報を入手できる場合にのみ、「30日超の期日経過」の推定を反証できます。
企業はどのレベルで評価を行わなければならないか
企業は、単一の金融資産を区別して評価する必要はありませんが、そのかわり、資産のポートフォリオに基づいて評価することができます。例えば、小口ローンに関して、企業は通常、顧客が契約条件に違反するまで顧客ごとの信用リスク情報を更新したりモニターしたりしません。このような個々のローンレベルでの信用情報だけに基づく損失評価引当金は、目的適合性のある情報の提供にはならないでしょう。
複数のローンが類似した信用リスク特性を有している場合にのみ、それらのローンを集約できます。共通の信用リスク特性には、金融商品の種類、信用格付け、担保の種類または価値、当初認識の日、満期までの残存期間、業種または借手の所在地などが含まれることがあります。
まとめ
IFRS第9号は、信用リスクの著しい増大があるか否かを評価する方法として、定量的情報、定性的情報および期日経過情報の使用など、いくつかの方法を示しています。実務では、通常、これらのすべての情報が組み合わせて使用され、残高が少額の個人ローンについては定量的情報が、残高がより多額の法人ローンについては定性的情報がより重視されています。しかし、それでもなお、12か月の予想信用損失でなく全期間の予想信用損失が認識されがちのようです。
次のステップ
次号では、予想信用損失の測定に将来予測的な情報をどのように組み入れるかについて議論します。
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