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この連載コラムの第1回では、PwCの収益の専門家で国際財務報告基準(IFRS)第15号「顧客との契約から生じる収益」の“捜査員”であるJohn Chanが、顧客との契約を検討する際に考慮すべきいくつかの点を捜査します。
みなさんこんにちは。“IFRS第15号捜査員”のJohn Chanです。これから毎月、新収益基準であるIFRS第15号の影響について私が掴んだ情報をみなさんに報告します。顧客との契約を有するすべての企業は、IFRS第15号の影響を評価しなければなりません。おそらく、このコラムの読者のすべてがこれに該当するでしょう。新収益基準は2018年1月1日より適用されますので、もし貴社がまだ移行について検討を開始していないならば、今すぐに取り掛かる必要があります。
私が行った捜査についてお話しする前に、新収益基準について再確認しましょう。IFRS第15号の中心となる原則は、収益は財およびサービスが顧客に移転した時点で認識されるというもので、この原則を5ステップのモデルが支えています。
5ステップ・モデル

容疑者
識別できない契約
事件の説明
2つの潜在的な事件があります。
  • 契約はIFRS第15号の範囲に含まれるか
  • 契約条件のすべてを理解しているか
事実
それは契約か
IFRS第15号の範囲に含まれる契約は、書面による場合、口頭による場合、あるいは通常の取引慣行に基づく場合があります。契約がIFRS第15号の範囲に含まれるためには、5つの要件を満たさなければなりません。(1)契約の当事者が契約を承認している、(2)移転すべき当事者の権利を識別できる、(3)支払条件を識別できる、(4)契約に経済的実質がある。以上は概ね分かりやすい要件だと言えます。これに加えて、(5)対価を回収する可能性が高い、という要件があります。特に過去に価格譲歩を提供したことがある場合には、顧客が期限到来時に当該対価の金額を支払う能力と意図を有しているかどうかの判定が難しくなることがあります。この判定においては、すべての事実(顧客との過去の慣行、また例えば顧客から獲得した担保など)を慎重に検討する必要があるでしょう。これらの要件のいずれかが満たされない場合には、たとえ顧客が返金不能の手数料を支払っていたとしても、契約は存在しないことになり、したがって収益も発生しません。
契約に何が含まれているか
経営者は、顧客に対して何を約束したかを把握するために、しばしば、財務チーム以外の営業チームやマーケティング・チームに確認を行う必要があります。契約書の条件が、顧客の見込みと異なる可能性があります。契約におけるすべての条件を識別するために、顧客とのコレポンまたは付帯契約をすべて検討するとともに、口頭によるコミュニケーションや企業の通常の取引慣行を理解する必要があります。
契約のある段階で追加的に「無料」の財を提供するという確立された取引慣行がある場合、それらの財が移転されるまで一部の収益は繰り延べられます。
たとえ顧客に対する約束が契約において明確であっても、支払条件が隠れている可能性があると考えます。契約の早期終了に対する数量値引き、リベートおよびボーナスはすべて、収益の測定または認識のタイミングに影響を与える可能性があります。取引価格の決定方法については、今後の連載回でより詳しく捜査する予定です。
提言
みなさんは契約の識別を簡単な第1ステップだと考えるかもしれません。しかし、そこには多くの落とし穴があります。契約が収益基準における定義を満たしているかを確認してください。契約のコピーをとって、すべての契約条件を理解しているかを確認してください。営業チームや契約交渉に関わった人と話をしてみてください。付帯文書および他のコレポンがすべてあるか確認してください。意外な事実が出てくるかもしれません。
より詳細な捜査
顧客との契約の内容を理解することは、IFRS第15号のガイダンスの適用において絶対的に重要になります。契約を読み込んでおく必要があります。履行義務を識別するために要求事項および収益モデルにおけるその他のステップを検討する際に、再度、契約の内容に立ち返ることになります。
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