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年金の積立不足が増加しています。PwC UKの年金会計部門のリーダーであるBrian PetersパートナーとPaul Allenシニア・マネージャーが、年金に関する開示の重要性について解説します。
確定給付年金に関するリスクが、外部投資家が企業に投資する価値に影響を与えるのは当然のことです。その影響の大きさを見積もることは、科学というより芸術と言えます。ここで芸術と言ったのは、年金負債がどの程度あるかという問いに対する答えは1つではないからです。答えとしては、国際会計基準(IAS)第19号「従業員給付」に基づき開示する金額、受託者が年金負債の見積りに用いる金額、拠出金の決定に用いる慎重な仮定、保険会社が年金債務の引受けにおいて受託者に請求するであろう金額などがあります。ここには何一つ新しいものはありません。
新たな状況
年金債務は、IAS第19号に従い優良社債の利回りを用いて割り引かれます。過去数か月にわたり債券利回りが低下しましたが、これは年金制度の負債が年金制度の資産よりもかなり急速に増加したことを意味します(これは、受託者が適切な投資先に投資する戦略を立てていた場合でも該当します)。年金が事業にとって重要性がある場合、投資家は、企業の年金戦略、とくに年金リスクをコントロールできているかどうかを経営者に尋ねるでしょう。投資家が懸念するのは、年金が適切に運用されず、年金の積立不足がさらに増大し、その結果、将来の現金需要に影響することです。
開示
経営者による年金リスクおよびその戦略の説明は、財務諸表における年金の開示の一部を構成します。
リスク・ベースの開示に関する要求事項は、2013年から適用される改訂IAS第19号で導入された原則ベースの開示アプローチの一部でした。これらの追加的な開示には、投資の選択に関する詳細、将来の現金需要および企業が年金制度によって晒されているリスクに関する情報が含まれました。
IAS第19号の開示要求の変更は、投資家の抑えられない不安を和らげるよう、企業が年金制度のリスク、特にそれらのリスクの管理方法を説明し、より詳しい状況を伝える良い機会になると一般に考えられました。しかし、実際の開示状況は極めてさまざまなものでした。
年金リスクに関する財務報告には良い実務の例が数多くありますが、これらは概ねIAS第19号の改訂前から存在していました。多くの企業は、年金に関する注記に最低限の事項を記載するアプローチ(ミニマリスト・アプローチ)をとり、会計基準の要求事項を満たしてはいましたが、なおも年金戦略に関して曖昧な定型的説明を行い、必要事項のみを開示する傾向にあります。年金リスクおよびリスク管理計画(ただしそれらが存在する場合)に関して透明性を有する企業は、投資家からより良い評価を期待できるはずです。
当時は、これが主要論点の1つでしたが、多くの開示を行うのは危険なことだったのでしょうか。沈黙を続けることは、正しいことなのでしょうか。
ミニマリスト・アプローチ、財務報告に関する経営者への時間的圧力、これまで年金の優先度が低く扱われてきたこと(一般に年金に関する注記は企業会計で後回しにされている)など、おそらくそれらのすべてが年金の開示が実質的に前進しなかった原因でしょう。
今何をすべきか
開示要求の変更はただでさえ時間がかかるため、IAS第19号の開示要求が短期間で変更される可能性は低いでしょう。しかし企業は、投資家獲得において一歩抜きん出るために、要求されている以上の開示を行うことができます。企業は、年金に関して良質で常識的な開示を行うことが強く推奨されます。曖昧で凡庸な文言を使うのではなく、最高財務責任者(CFO)に提出する時のように年金制度のリスク管理について説明することで、一歩前進するでしょう。また、債券利回りの低下を受けて、年金に関する主要数値が悪化する状況で、こうした対応がそのダメージを和らげるひとつの方法になるでしょう。
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