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国際財務報告基準(IFRS)第9号が一般企業に与える最も大きな影響の1つについて、PwCの金融商品の専門家であるNitassha Somaiが解説します。
金融負債については、幸いなことに、IFRS第9号は現行の会計処理の大部分を変更しません。借入金、営業債務およびグループ会社間債務等の項目について、会計処理に変更はありません。
金融負債に関する3つの留意事項
  • 金融負債または資本の分類はIFRS第9号の範囲に含まれません。国際会計基準(IAS)第32号「金融商品:表示」が適用されます。
  • 金融負債のカテゴリーには「償却原価」または「純損益を通じて公正価値で測定(FVTPL)」の2つがあります。IFRS第9号の下でも、現行の分類は変更されないと見込まれます。
  • 金融負債は、引き続き、期限前償還オプションなど組込デリバティブについて評価される必要があります。

一般企業が注意すべきこと
以下の場合、金融負債はIFRS第9号の影響を受ける可能性があります。
  • 借入が過去に再編成されており、かつ、
  • 条件変更から生じた利得または損失が条件変更日に純損益(P/L)に認識されず、将来にわたって配分されている。
これは何を意味するか
条件変更とは、融資契約の当初の契約条件が再交渉されたものの、条件に対する変更は、消滅または実質的な修正のいずれかをもたらすほど重要ではない場合をいいます。2017年3月、国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第9号の下で、新しい契約条件を反映させるために帳簿価額を更新したことにより、条件変更日に生じた差異を純損益で即時認識する必要があることを暫定的に決定しました。(訳注―その後、IASBは2017年10月にIFRS第9号を修正し、上記の取扱いを明確化しています)
この利得または損失は、当初のキャッシュ・フローと修正後のキャッシュ・フローとの間の差額を、当初の実効金利で割り引いて算定されます。
現在、ほとんどの一般企業は、利得または損失を純損益に即時認識するのではなく、将来にわたって配分しているため、この変更は一般企業にとって重要になる可能性があります。
これは現行の会計処理に対してどのような影響があるか
IAS第39号「金融商品:認識及び測定」の下での既存の会計方針を変更する必要はないと見込まれます。しかし、IFRS第9号に移行する際に影響が生じる可能性があります。IFRS第9号は、移行時に遡及適用を要求しています。移行日時点で、IFRS第9号に従っていれば未認識であったであろう利得または損失については、期首利益剰余金において調整する必要があります。
A社(年度末は2018年12月31日)は、2017年1月1日に借入の条件を変更しました。この条件変更は、消滅でも実質的な修正でもありません。
条件変更によりCU100の利得が生じました。A社は、IAS第39号の下で、毎年CU10を純損益に振り替えることにより、10年(残りの借入期間)にわたって利得を配分する決定を行いました。
IFRS第9号への移行時に、A社は、もはや残りの利得CU90を将来にわたって配分することができなくなります。代わりに、残りの未償却利得CU90は、2018年1月1日現在の期首利益剰余金に対して調整されます。

この変更は、IFRS第9号の適用開始日時点で貸借対照表上で認識されている借入のみに影響します。
結論
本稿における金融負債に関する留意事項は以下のとおりです。
  • 償却原価またはFVTPLとしての分類は変更されないと見込まれる。
  • 組込デリバティブについては引き続き、区分処理の評価を行う必要がある。
  • 再交渉された金融負債が認識の中止の要件を満たしていない場合、条件変更によって生じた利得/損失は、純損益において即時認識しなければならない。
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