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国際会計基準(IAS)第2号「棚卸資産」に関連するIFRS解釈指針委員会に却下された論点の実務上の影響について、PwCグローバル・アカウンティング・コンサルティング・サービスのYelena Belokovylenkoが検討します。


今あなたは何かの答えを探していますか?

もしかしたらそれはすでに専門家によって検討済みかもしれません。
IFRS解釈指針委員会(IFRS IC)(以下、「IC」)は、定期会議において、最大で20件までの様々な論点を定期的に検討しています。議論された論点のうち、解釈指針が作成されるのは、非常に限られます。改善や狭い範囲の修正となるものもありますが、多くの論点は却下されます。アジェンダに取り上げられなかった論点は「IFRICリジェクション(ICに却下された論点)」となり、これらは会計業界においては「非IFRIC(not an IFRIC)」もしくはNIFRICsとして知られています。NIFRICsは(2002年以降)成文化されており、国際会計基準審議会(IASB)の発行する基準書の「グリーンブック」に掲載されていますが、厳密には、権威のある会計基準書等に該当しません。このシリーズ記事では、ICによって「却下された」論点について知っておくべきことを取り上げます。今回はIAS第2号「棚卸資産」を扱います。

IAS第2号は、過去13年間にわたってICに提出された要請の数と内容から判断すると、財務諸表作成者にとって重要な適用上の論点のあまりない基準と考えられます。この期間、IAS第2号に関連する「ICに却下された論点」はわずか4件で、そのうちの2件は、割戻し及び値引きに関するものでした。

現金値引き(2002年8月)


ICは、財の購入者が受け取った現金値引きをどのように会計処理すべきかについて、ガイダンスを提供するよう要請されました。

これについてICは、IAS第2号では受け取った現金値引きを購入した財の原価から控除することを明示的に要求しているとして、追加的なガイダンスは必要ないと結論付けました。

サービス提供事業者による棚卸資産の消費 (2004年3月)


提供するサービスの一部として棚卸資産が消費される場合、棚卸資産の正味実現可能価額をどのように算定すべきかに関して、ICは質問を受けました。例えば、テレコム企業は、固定期間の契約を締結する顧客に携帯電話機を「無料で」提供することがよくあります。ICは、この論点は、サービス提供事業者に特有の論点ではなく、直接的なキャッシュ・インフローと関連しないあらゆる資産の回収可能性の評価に当てはまるものであるとしました。企業は将来の一連の収益を生み出すためにこうした棚卸資産を利用しており、したがって他の棚卸資産と同様に測定すべきであるとICは結論付けました。

値引きおよび割戻し(2004年11月)


値引きに関連するもうひとつの要請に、次の3つの質問が含まれていました。
1)
買掛金を期日前に支払うことによる値引き(仕入割引)は、棚卸資産の原価から控除せずに、金融収益として認識すべきか。
ICは、IAS第2号の要求事項により、決済に関するすべての値引きは、通常、棚卸資産の原価から控除しなければならないことは明確であると結論付けました。
2)
その他の割戻しはすべて、棚卸資産の原価から控除すべきか、あるいは、一部を収益として、または販売促進費用の減額として処理することはあり得るのか。
ICは、割戻しが明確かつ真に販売促進費用の払戻しである場合には、棚卸資産の原価から控除しないことに合意しました。
3)
数量に関するリベートは、閾値となる数量の達成後に初めて認識すべきなのか、あるいは、将来の達成可能性が高いと評価するときに比例的に認識すべきか。
ICは、この論点に関する実務上のばらつきを示す証拠が十分にないとし、アジェンダに追加しないことを結論付けました。

棚卸資産の長期供給契約における前払い


ICは、原材料の長期供給契約において、原材料の購入者が供給者に対して重要な前払いを行うことに合意している場合の会計処理を検討しました。質問は、購入者が長期前払いに係る利息を棚卸資産の原価(最終的には売上原価)の増加をもたらす金利収益として認識すべきかに関するものです。アウトリーチの結果は、このような事例は非常に限られるというものでした。しかし、原材料の長期供給契約に金融要素が識別される場合、その金融要素は別個に会計処理すべきであるとの見解をICは示しました。ICは、個々の契約が金融要素を含むかどうかの識別には判断が必要であるということに同意しました。

IAS第2号に関するIFRICリジェクションの要旨
トピック
結論の要旨
現金値引き
(2002年8月)
ICは、受け取った現金値引きの会計処理を検討し、IAS第2号は受け取った値引きを購入した財の原価から控除することを明示的に要求しているため、追加的なガイダンスは必要ないと結論付けた。
サービス事業者による棚卸資産の消費
(2004年3月)
ICは、提供するサービスの一部として消費する棚卸資産の正味回収可能価額をどのように算定すべきか検討した。企業は将来の一連の収益を生み出すためにこうした棚卸資産を利用しているので、他の棚卸資産と同様に測定すべきであるとICは結論付けた。
値引きおよび割戻し
(2004年11月)
ICは、値引きと割戻しに関連する3件の論点を検討した。このうち2件は、IAS第2号に十分なガイダンスが提供されているため、また3件目は実務上のばらつきがある証拠が不十分であるため、却下した。上記の詳しい解説を参照のこと。
棚卸資産の供給契約における長期前払い
(2015年7月)
ICは、長期前払いに係る利息を、棚卸資産の原価(最終的には売上原価)の増加をもたらす金利収益として認識すべきかについて検討した。原材料の長期供給契約に金融要素が識別される場合、その金融要素は別個に会計処理すべきであるとの見解をICは示した。
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