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IFRS解釈指針委員会(IFRS IC)(以下、「IC」)は、定期会議において、最大で20件までの様々な論点を定期的に検討しています。議論された論点のうち、解釈指針が作成されるのは、非常に限られます。改善や狭い範囲の修正となるものもありますが、多くの論点は却下されます。アジェンダに取り上げられなかった論点は「IFRICリジェクション(ICに却下された論点)」となり、これらは会計業界においては「非IFRIC(not an IFRIC)」もしくはNIFRICsとして知られています。NIFRICsは(2002年以降)成文化されており、国際会計基準審議会(IASB)の発行する基準書の「グリーンブック」に掲載されていますが、厳密には、権威のある会計基準書等に該当しません。このシリーズ記事では、ICによって「却下された」論点について知っておくべきことを取り上げます。今回はIAS第18号「収益」を扱います。 |
a) 財またはサービスが、それ自体で、または顧客が容易に利用可能な他の資源との組合せで、顧客に便益を提供し得る場合(例えば、企業が定例的に財またはサービスを独立して販売している場合)、 b) 財またはサービスが、契約の中のその他の財またはサービスから区分して識別可能である(例えば、当該財またはサービスが契約で約束した他の財またはサービスを大幅に修正しない)。
トピック | 結論の要旨 |
延払条項 (2004年7月) | IAS第39号「金融商品:認識及び測定」は債権に適用される。貨幣の時間価値の影響は、重要な場合には反映しなければならない。しかし、ICは、IAS第18号の文言は明確さに欠け、改善する必要があることに留意した。 |
早期支払値引き (2004年7月) | 債権残高の早期支払により生じる値引きは、販売時点において見積り、収益の控除項目として表示しなければならない。 |
電気通信業界における契約者獲得コスト (2006年3月) | ICは、電気通信サービスの提供者は、サービス契約を結ぶ顧客に対して無料または値引きした価格で提供する電話機をどのように会計処理すべきかについて質問を受けた。
IAS第18号は、「区分して識別可能な構成部分」が何を意味するかについてのガイダンスを提供していないため、実務が多様化している。しかし、ICは、この論点が多くの他の業界に影響するものであり、かつIASBが収益契約の中の分離可能な構成部分の識別に関する原則を開発中であったことから、この論点をアジェンダに追加しなかった。
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賃貸事業における資産の売却 (2007年3月) | 第三者に賃貸された後に売却された資産の売却を、損益計算書上総額(収益及び売上原価)または純額(利得または損失)のいずれで表示すべきかについて質問が提起された。
ICは、IAS第16号「有形固定資産」は有形固定資産項目の認識の中止から生じる利得を収益に分類すべきではないと述べているが、一部の限定的な状況では、損益計算書上で収益の総額を報告することが適切となるだろうと考えた。
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賭博取引における代理の関係 (2007年7月) | 賭博施設が顧客側と反対のポジションを取る場合、その結果未決済となった掛け金が、IAS第39号に基づくデリバティブ金融商品の定義を満たす金融商品となる。
その他に、賭博施設が、複数当事者間のゲームの企画管理を行うサービスを提供し、賭けの結果にかかわらずこのサービスに対する手数料を稼得するような状況があるが、こうした手数料はIAS第18号に基づく収益の定義を満たす可能性が高い。この論点は、この領域の実務において広い範囲に及ぶ多様性が存在しないことを考慮し、ICのアジェンダに取り上げられなかった。
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代理の関係 (2007年9月) | ICは、販売契約に従い顧客の要求を満たすために企業が別の企業を雇う状況に関する解釈指針を求める要請を受けた。
IAS第18号は、「代理の関係にある場合、経済的便益の総流入は、本人のために回収した金額で企業の持分の増加をもたらさない金額を含んでいる。本人のために回収した金額は収益ではない。その代わり、収益は手数料の金額となる。」と規定している。
IFRICは、この論点については詳細なガイダンスが提供されていないことを認識した。しかし、企業が本人として行動しているのか代理人として行動しているかの判定は事実と状況により、判断が要求されることに留意した。
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トレイリング・コミッションの会計処理 (2008年7月) | ICは、手数料の支払に関する契約上の義務が将来のサービスの履行に結びついていない場合における継続的な手数料契約をどのように会計処理すべきかに関するガイダンスを求める要望を受けた。ICは、この論点は多くの業界に影響するものであり、この領域における実務が多様であることに留意した。本論点の複雑性およびIASBがこれらの論点について収益認識に関するプロジェクトにおいて検討中であるという事実を考慮して、この論点をアジェンダに追加しないことを決定した。 |
資本性金融商品の配当の受領 (2010年1月) | ICは、配当が被投資企業の自己の資本性金融商品の形式である場合に、投資企業の財務諸表における配当収益の認識に関するガイダンスを求める要請を受けた。
全普通株主が、被投資企業の自己の資本性金融商品を配当として比例的に受領する場合、投資家の財政状態または経済的利益に何の変化もない。このような状況において、取引に関連する経済的便益が、投資者に流入する可能性が高くはないため、配当は収益として認識されない。
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規制資産および負債 (2012年11月) | ICは、規制対象企業が、将来のサービス提供とは独立に、原価の回収が認められるかまたは一部の金額の返金を求められる特定の状況において、規制資産または規制負債を認識すべきかどうかの明確化を求める要請を受けた。ICは、この論点は現行のIFRSと概念フレームワークにおける制約の中で委員会が扱うには広すぎると考えた。したがって、IASBが料金規制活動に関する包括的なプロジェクトを再開していることから、ICはこの論点をアジェンダに追加しないことを決定した。 |
PricewaterhouseCoopers LLP
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