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背景

金融安定理事会(FSB)の開示強化タスクフォース(EDTF)は、報告書「Impact of Expected Credit Loss Approaches on Bank Risk Disclosures(予想信用損失アプローチが銀行のリスク開示に与える影響)」を公表しました。この報告書は、国際財務報告基準(IFRS)第9号「金融商品」等で導入された減損の引当金に対する予想信用損失(ECL)アプローチについて、銀行の年次報告書における市場の理解の助けとなる開示を提言しています。

EDTFは、予想信用損失(ECL)モデルを使用する際に、高品質で、比較可能性があり、首尾一貫した開示の重要性が高まると強調しています。これは、経営者の判断の程度や銀行特有の計算の複雑性が増すためです。そのため、EDTFの提言はIFRSの開示要求事項よりも広範囲にわたっています(PwCのIn depth INT2015-02「IFRS第9号:銀行業の予想信用損失に関する開示」を参照)。

EDTFの提言は、国際的な活動を行う大手銀行を念頭において開発されたものですが、主要な公開資本市場および負債市場に活発にアクセスしているその他の銀行にも同様に適用できるでしょう。

提言

現在から適用までの移行期間


IFRS第9号における新たな予想信用損失(ECL)の要求事項は、2018年1月1日以後開始事業年度より適用されます。しかし、EDTFは、開示はそれまでの移行期間においても必要であり、2015年12月31日付の年次報告書から開始されることを強調しています。

EDTFは、この移行期間中の開示には段階的なアプローチをとることを推奨しています。このアプローチは、IFRS第9号の適用準備が進むにつれてその影響に関するより明確な洞察を利用者に提供し、利用者が銀行間のより有用な比較を行うことを可能にします。

次ページの想定されるスケジュール(12月決算の銀行については2018年の適用日に基づく)で強調されているように、当初は定性的開示に重点を置くべきです。定量的開示は、実務的に算定可能で信頼できる状態が整い次第提供すべきですが、IFRS適用の報告企業は、遅くとも2017年度の年次報告書において提供しなければなりません。このような開示の一部(全部ではない)は、移行期間のみに必要とされる一時的な開示です。

予想信用損失(ECL)引当金の準備および実行スケジュールが異なるため、開示を提供するタイミングは銀行間で異なる可能性があります。最初に情報を提供するタイミングは信頼性との兼ね合いを図らなければならず、また、開示の内容および範囲は時間とともに拡大することが見込まれます。

想定される実行スケジュールに関するEDTFの提言:

継続的な「永続」開示


ETDF報告書には、IFRS第9号の適用後にも永続的に適用される開示についての提言も含まれています。これらは、一般的提言;リスクガバナンスおよびリスク管理/ビジネスモデル;自己資本規制およびリスク・アセット;ならびに、信用リスクの4つのカテゴリーに分けられます。

感応度の開示

EDTFが提言する主な追加的な「永続」開示のひとつは、感応度の開示です。感応度の開示が信用損失の重大な変動を理解する上で有意かつ目的適合性がある場合、信用損失の変動の主要な決定要因を示すことになります。このような感応度は、例えば住宅ローン債権の住宅価格に対する感応度のように継続的に生じる場合や、特定の国または業種に経済的なショックが生じた場合など、特定の貸出ポートフォリオについてある時点で発生する変動による場合もあります。

次のステップ

今すぐ必要なアクション


銀行は、EDTF報告書で提示された提言のすべて、および、それらの提言をIFRS第9号の適用プロセスにどのように組み入れる予定かについて検討しなければなりません。とりわけ、銀行は、今すぐ必要な移行期間の開示を、段階的アプローチによって、2015年12月年度末の年次報告書から開始し、IFRS第9号が適用される最初の期間まで継続することを検討しなければなりません。
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