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論点

ほとんどの負債は、減損テストの回収可能価額の算定において考慮されません。しかしながら、廃棄負債および原状回復負債など特定の負債は、関連する資産から分離することができず、このことは、「処分コスト控除後の公正価値」(FVLCOD)アプローチおよび「使用価値」(VIU)アプローチの適用にあたり問題を生じさせます。IFRS解釈指針委員会(以下「IC」という)は、VIUの算定に現行ガイダンスを適用する方法について検討しました。ICは、VIUに関するガイダンスは明確であり、したがって解釈指針も国際会計基準(IAS)第36号「資産の減損」の修正も必要ではないとし、この論点をアジェンダに追加しないことを決定しました。

影響


ICのアジェンダ決定の範囲は、VIUの算定、とりわけIAS第36号第78項のガイダンスに限定されます。IAS第36号は、認識されている負債の帳簿価額を、資金生成単位(CGU)の帳簿価額およびVIU(当該負債に関連するキャッシュ・アウトフローを控除前)の両方から減額することを要求しています。ICは、このアプローチにより、帳簿価額と回収可能価額との間の比較が意味のあるものになると考えました。このアジェンダ決定は、廃棄債務をFVLCODアプローチに織り込む方法については扱っていません。以下では、VIUおよびFVLCODの算定の際に、実務上発生する課題について検討します。

考察

影響を受ける企業


アジェンダ決定は、ほとんどの負債に関連しません。関連するのは、取得者が負債と一緒でなければ資産または事業を取得できない(もしくは取得しない)ために、その資産から分離可能ではない負債です。したがって、借入金、運転資本負債、繰延税金およびその他の引当金は関連しないことになります。分離可能でない負債として最も一般なのは、廃棄引当金または原状回復引当金です。こうした引当金が最もよくみられるのは、鉱業、石油・ガス、電力業界などですが、その他の業界でも見られます。このような負債は、通常、長期性資産と関連しています。

実務上、VIUの算定において負債をどのように取り扱うか


資産の回収可能価額は、IAS第36号第30項から第57項で示されているVIUのキャッシュ・フロー・モデル・アプローチに基づき算定されます。VIUのキャッシュ・フロー・モデルでは、廃棄引当金に関するキャッシュ・アウトフローを除外します。VIUモデルで算定した金額から廃棄引当金の計上額を控除して、回収可能価額の純額を算出します。その後、回収可能価額の純額を、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に基づく廃棄引当金を含む資金生成単位の帳簿価額と比較します。

VIUのキャッシュ・フロー・モデルに廃棄債務に関するキャッシュ・アウトフローを含めるのは適切ではありません。このモデルでは、テストされる資産に固有の割引率(貨幣の時間価値および投資者が当該資産への投資にあたり要求する収益率を反映した割引率)が用いられ、資産のパフォーマンスには、当該資産に関する多くの不確実性(需要リスク、価格リスク、事業リスクなど)があるからです。

廃棄債務に関連するキャッシュ・アウトフローには、それらに関連した別の不確実性がありますが、そうした不確実性は、発生リスクやパフォーマンスに関するリスクよりもむしろ、金額やタイミングに関連しています。将来の売却は不確実である可能性がありますが、資産の耐用年数の終了時に原状回復する必要性は不確実ではありません。IAS第37号が要求するリスクフリー・レートではなく、資産の割引率を用いてこれらのキャッシュ・アウトフローを割り引くと、負債金額が大幅に減少する可能性があります。この効果は「割引率のクッション」として知られています。

実務上、FVLCODの算定に負債をどのように取り扱うか


IAS第36号の減損の基準には、全般的にFVLCODの算定に関する具体的なガイダンスがほとんどなく、また、分離可能でない負債を伴う資金生成単位の回収可能価額をFVLCODによって算定する方法についてのガイダンスがまったくありません。関連する資産または事業を売却することについて法的拘束力のあるオファーがすでに存在している場合を除き、公正価値には、ほとんどの場合、キャッシュ・フロー・モデルを用いて算定された企業価値が用いられます。IAS第36号では、公正価値とは、資産を売却するために受け取るであろう価格または、負債を移転するために支払うであろう価格と定義されています。資産および負債の公正価値の測定に用いられる可能性のあるさまざまなアプローチと、鑑定人が用いる実務的なアプローチの双方において、問題が生じています。

評価の実務では、単一のキャッシュ・フロー・モデルを用いて、負債のキャッシュ・アウトフローを含む事業(資金生成単位)の公正価値が算定されます。このアプローチは、市場参加者が考えるであろう事業の公正価値の算定方法と整合しています。主要な資産(コア資産)の耐用年数は非常に長く、廃棄または原状回復は何年も先になります。20年後に始まる債務に関するキャッシュ・アウトフローについては、当該資産の購入を検討している当事者ですら具体的にモデル化することはほとんどなく、キャッシュ・フロー・モデルのターミナル・バリューに織り込まれることになります。

しかしながら、鉱山または電力プラントの耐用年数が終了間近で、キャッシュ・フローの発生が近づいている場合(例えば、5年以内または特定の予測に基づく期間内に始まる見込みの場合)には、市場参加者は、資産および分離可能でない負債をどのような価格であれば取引したいかの検討において、異なるアプローチを用いる可能性があります。

代替的なアプローチとして、負債に関するキャッシュ・アウトフローを除外して資産の公正価値を算定し、市場参加者の割引率を用いてそれらを割引くアプローチがあります。負債については、別個に、IAS第37号のアプローチではなく、市場参加者の仮定を用いて算定します。この負債の測定では、企業が負債を引き受けるために第三者に支払う必要がある金額を反映しなければならず、これには第三者に対する利益マージンに加えて見積リスク(過小評価リスク)に対するマージンおよび類似の市場参加者の仮定を含めることになります。これにより、IAS第37号に基づくよりも負債の価値が高くなる可能性があります。その後、資産について算定された金額から負債について算定された金額を控除し、「純額」の公正価値を導き出します。

解説した評価アプローチのいずれかにより算定されたFVLCODに基づいて決定された回収可能価額は、その後、IAS第37号に従って測定された廃棄債務を含む資金生成単位の帳簿価額と比較されることになります。
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