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要点

FASBは、ヘッジ会計に重要な影響を与える可能性のある一連の変更を提案する公開草案を公表しました。これらの変更は、企業のリスク管理活動と会計処理の結果により密接に整合させるとともに、複雑性を低減させることを目的にしています。
最新の動向


米国財務会計基準審議会(FASB)は、2016年9月8日、会計基準コディフィケーション(ASC)815「デリバティブ及びヘッジ(Derivatives and Hedging)」に対する会計基準アップデート(ASU)案(以下、「本ASU案」という)を公表しました。本ASU案は、金融および非金融項目の両方のヘッジ関係に係るヘッジ会計ガイダンスに影響を与えます。本ASU案の目的は、ヘッジ会計と報告企業のリスク管理目的の整合性を改善し、財務諸表作成者のためにヘッジ会計を簡略化することです。本ASU案が最終化されれば、何がヘッジ会計に適格か、文書化の方法、ヘッジの有効性の評価方法とヘッジの非有効部分の測定方法ならびに財務諸表におけるヘッジ結果の表示および開示方法を大幅に変更することになります。

ヘッジ戦略


本ASU案では、より多くのヘッジ戦略にヘッジ会計の適用を認めることになる、多数の変更が提案されています。最大の変更のひとつは、非金融項目の予定購入および予定売却のキャッシュ・フロー・ヘッジについて、契約上特定された要素をヘッジ対象リスクに指定することを認めるものです。特定の状況においては、企業が価格変動の全体をヘッジ対象とすることは困難な場合があり、この問題はヘッジ会計に適格となる戦略を大幅に制限していました。本ASU案により、この問題を回避することができる可能性があります。

現行の米国会計基準(US GAAP)におけるベンチマーク金利の概念は、今後、変動利付商品には適用されません。本ASU案の下で、企業は、変動利付商品の金利リスクのキャッシュ・フロー・ヘッジについて、契約上特定された金利の変動性をヘッジ対象リスクとして指定できるようになります。現行基準では、ある一定のベンチマーク金利に関連するキャッシュ・フローの変動性のみが、このタイプのヘッジにおけるヘッジ対象リスクとして認められています。固定利付商品のヘッジについてはベンチマーク金利の指定が継続されますが、非課税の金融商品の発行企業およびそのような金融商品に対する投資者のために、米国証券業金融市場協会(SIFMA)の地方債スワップレートが追加される予定です。

本ASU案は、金利リスクの公正価値ヘッジにも影響を与えます。報告企業は、固定利付商品の一部の期間をヘッジ対象として指定すること、ヘッジ対象の公正価値の変動について代替的な測定手法を選択すること、また有効性テストにおいて期限前償還オプションを異なる方法で評価することが認められます。

有効性および文書化


ヘッジ会計に適格であるためには、すべてのヘッジ関係に対して「きわめて有効性が高い(highly effective)」ことが引き続き要求されます。しかし、本ASU案は、文書化および有効性テストに関する要求事項を簡素化しています。企業は、ヘッジがショートカット法または主要条件一致法のいずれかの要件を満たしていない場合には、引き続きすべてのヘッジについて当初に定量的有効性テストを実施することになります。しかし、今後はヘッジ指定と同時に定量的テストを実施する必要はなく、ヘッジが指定された最初の四半期報告期間の期末までに実施すればよいこととされました。定性的評価によってヘッジ関係の事実および状況の変化が示唆されない限り、事後的な定量的有効性テストを実施する必要はありません。

さらに、提案では、ヘッジの開始時にヘッジの文書化にロングホール法の使用についての記載が含まれていれば、報告企業は事後にショートカット法の使用が不適切であったとみなされた場合にもヘッジ会計にロングホール法を適用することが可能になります。この結果、測定される誤謬の金額は、ショートカット法が適用される場合とヘッジ会計が適用されない場合の差異ではなく、ショートカット法が適用される場合とロングホール法が適用される場合の差異に限定されます。これに加えて、報告企業は、主要条件一致法を適用する場合において、ヘッジ手段であるデリバティブの満期日と予定取引の発生日の相違が31日以内であれば、デリバティブの満期日は予定取引の発生日と同じであるとみなすことができます。

表示および開示


報告企業は、ヘッジの非有効部分の測定や計上を各期間で行わず、ヘッジ手段の公正価値の変動の全体は、それが純損益に影響する時点で、損益計算書上、ヘッジ対象と同じ表示科目に計上されます。ただし、直先差額の変動など、キャッシュ・フロー・ヘッジの有効性の評価から除外される金額は、純損益において即時認識されることになります。

本ASU案には、公正価値ヘッジの累積的なベーシス・アジャストメント、損益計算書の個別の表示科目に対するヘッジの影響、および定量的なヘッジ目的を含む、追加的な開示が含まれています。これらの追加的な開示の目的は、利害関係者による企業のヘッジ計画のより良い理解を促進することです。

なぜ重要か


PwCは、本ASU案により報告企業の会計処理とリスク管理の目的がより密接に整合し、企業のヘッジ活動の経済的側面をより良く反映する財務諸表がもたらされることとなるため、報告企業が本ASU案を歓迎すると見込んでいます。このような改善により、ヘッジ会計の適用に関する管理上の負担が軽減されるはずです。

次のステップ


本ASU案に対するコメントの募集期限は2016年11月22日です。本ASU案は修正遡及法による適用が要求され、適用日はFASBによる利害関係者からのフィードバックの検討後に決定される予定です。
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