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論点

国際会計基準審議会(IASB)は、2016年9月12日、国際財務報告基準(IFRS)第4号「保険契約」の修正を公表しました。これは、IFRS第9号「金融商品」と現在開発中の保険契約の新基準の適用日が異なることに対する保険会社の懸念に対応するものです。IFRS第4号の修正は、保険会社に2つのアプローチ、すなわち特定の要求事項を満たす企業に対するIFRS第9号適用の一時的な免除(報告企業レベルでの適用)および「上書きアプローチ(overlay approach)」を提供しています。両アプローチは任意による適用となります。

IFRS第4号(現在公表済みの修正を含む)は、保険契約の新基準に置き換わります。そのため、IFRS第9号適用の一時的な免除と「上書きアプローチ」は、保険契約の新基準の発効時にその適用が中止される見込みです。

主な規定

IFRS第9号適用の一時的な免除


2021年1月1日より前に開始する事業年度について、IFRS第4号の修正は、自らの「支配的活動が保険に関連する」企業の場合、保険会社に対して、IFRS第9号を適用する代わりに国際会計基準(IAS)第39号「金融商品:認識及び測定」を引き続き適用することを認めています。この免除は、報告企業レベルでのみ適用できます。「支配的活動が保険に関連するかどうか」を評価するために、2つのテストを実施しなければなりません。両方のテストに合格した場合に限り、保険会社の「支配的活動は保険に関連する」とみなされます。

最初に、保険会社は、IFRS第4号の範囲に含まれる契約から生じる負債の帳簿価額が負債全体の帳簿価額合計に比べて重要かどうかを評価します。

次に、保険会社は、保険に関連する負債の帳簿価額の合計をその負債全部の帳簿価額の合計と比較します。IFRS第4号の範囲に含まれる保険契約から直接生じる負債に加え、保険に関連する負債には、以下が含まれます。
  • IAS第39号を適用している、純損益を通じて公正価値で測定するデリバティブ以外の投資契約
  • 保険会社が保険およびデリバティブ以外の投資契約を発行したことにより、またはそのような保険およびデリバティブ以外の投資契約から生じる義務を履行したことにより、生じる負債
評価で得られたパーセンテージが、90%を超えている場合、または、80%超90%以下で、保険会社が保険に関連しない重要な活動に従事していない場合、のいずれかの場合には、2番目のテストに合格します。

この評価は、2016年4月1日の直前の年次報告日時点の帳簿価額に基づいて行われます。一部の状況下では、再評価が要求されるか、または許容されます。

上書きアプローチ


IFRS第9号では、特定の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定しなければなりませんが、IFRS第4号では、保険契約に関連する負債は、取得原価に基づいて測定されることが多くなっています。このミスマッチによって、純損益にボラティリティが生じます。「上書きアプローチ」を使用することにより、一部の適格金融資産についてその影響が取り除かれます。このような金融資産について、保険会社は、IFRS第9号のもとで純損益に計上される金額と、IAS第39号のもとで純損益に計上されていたであろう金額との差額を、純損益からその他の包括利益に振り替えることが認められます。

金融資産が、IFRS第9号では純損益を通じて公正価値で測定されるものの、IAS第39号ではそのように測定されない場合、「上書きアプローチ」の指定に適格となります。さらに、IFRS第4号の範囲に含まれる契約に関連しない活動について、資産の保有はできません。(例えば、企業の銀行活動に関連して保有できるように資産が移転されている、または、企業が保険会社としての業務を中止しているなどの理由により)指定された金融資産がもはや適格性の要件を満たさなくなった場合には、そのような資産の再指定を行わなければなりません。その場合、当該金融資産に関連するその他の包括利益累計額の残高は、純損益に振り替えられます。

「上書きアプローチ」は遡及的に適用されます。そのため、指定された金融資産の公正価値とその帳簿価額の差異は、累積その他の包括利益の期首残高に対する調整として認識されます。同様の論理により、上書きアプローチの使用を中止する場合、企業は、利益剰余金の期首残高を、その他の包括利益累計額の金額分、調整します。

影響

IFRS第9号適用の一時的な免除および「上書きアプローチ」により、企業が保険契約の新基準の公表前にIFRS第9号を適用する場合に生じ得る、純損益における一時的なボラティリティを回避することができます。さらに、企業は、一時的な免除を使用することにより、短期間に2度も主要な会計変更を行う必要がなく、そして、IFRS第9号の分類および測定の要求事項の適用時に、保険契約の新基準の影響を考慮することができます。

保険会社である子会社を含む企業集団は、このIFRS第9号適用の一時的な免除が報告企業レベルでのみ適用できることを認識しておかなければなりません。また、企業集団が全体としてIFRS第9号適用の一時的な免除に適格でない場合、適格な保険子会社はその個別財務諸表に引き続きIAS第39号を適用することができますが、連結の目的上、IFRS第9号に基づく財務情報を作成しなければなりません。さらに、両アプローチのもとで、重要な追加的開示が要求されることにも留意しておかなければなりません。
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