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本資料は、2018年12月31日以後に終了する報告期間について解説しており、In brief INT2018-01「2017年12月31日現在の超インフレ経済」に置き換わるアップデート版です。
論点
IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」
国際会計基準(IAS)第29号第4項は、超インフレ経済の存在を認識した期間の期首から当該基準を適用することを企業に要求しています。 本資料は、2018年12月31日現在で超インフレ経済である国のほか、当該日付現在では超インフレ経済になるとは予想されないものの、2019年に動向を注視すべき国を取り上げています。本資料の中で引用する定量的データは、国際通貨基金(IMF)のデータ(「世界経済見通し2018年10月」)に基づいています。
影響
2018年度における超インフレ経済の国および2019年度に動向を注視すべき国
以下のいずれかの国の通貨を機能通貨とする企業は、2018年度の報告でIAS第29号を適用しなければなりません。
  • アンゴラ
  • アルゼンチン
  • 南スーダン共和国
  • スーダン
  • シリア・アラブ共和国
  • ベネズエラ
以下の国は2018年度において超インフレ経済ではありませんでしたが、2019年度は動向を注視する必要があります。
  • コンゴ民主共和国
  • イラン
  • リビア
  • スリナム
超インフレ経済になる可能性のあるその他の国
  • イエメン
考察
超インフレ経済の国
アンゴラ
アンゴラは、2017年度末に超インフレ経済の国に分類されました。IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は2018年度も依然として100%を超えることが見込まれます。現地のインフレデータは、2018年度に関するIMFの予測と整合しています。定性的指標は強弱混在していますが、アンゴラが超インフレ経済であることを示しています。機能通貨がアンゴラの通貨である企業は、2018年度においても引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
アルゼンチン
アルゼンチンにおけるインフレは、数年にわたり高い水準となっており、現地のインフレデータは一貫した報告を行っていません。インフレは、2018年度に大幅に上昇しました。また、異なる小売物価指数の組合せを用いた3年間の累積インフレ率は、2018年度上半期において100%を超えています。現地の予測でも、2018年度末までの3年間の累積小売物価インフレ率が100%を超えることが示唆されています。また、卸売物価指数を用いた3年間の累積インフレ率も100%を超えており、2019年度に100%を大幅に下回る可能性は低いといえます。
定性的な指標は依然として強弱混在していますが、通貨切り下げなどの同国の動向を考慮すると、それらは、現在、アルゼンチンが会計上の超インフレ経済であるという結論に相反するものではありません。
アルゼンチンは、2018年7月1日後に終了する会計年度において超インフレ経済にあるとみなすべきです。したがって、機能通貨がアルゼンチン・ペソであるすべての企業は、その日付よりIAS第29号を適用しなければならず、同国の経済が常に超インフレ経済であったものと仮定して適用しなければなりません。
IAS第29号は、機能通貨が超インフレ国の通貨である企業の財務諸表を、報告期間の末日現在の購買力に修正再表示することを要求しています。したがって、2018年度の取引および期末の非貨幣性資産の残高は、貸借対照表日現在の物価指数を反映するよう修正再表示しなければなりません。
表示される最も早い期間の期首における比較情報および財政状態計算書期首残高も、貸借対照表日現在の物価指数を反映するよう修正再表示しなければなりません。企業は、前期首現在の追加の貸借対照表を表示することは要求されていません。
機能通貨が超インフレ経済国の通貨である子会社を有している多国籍企業は、IAS第21号第43項を考慮しなければなりません。この規定は、機能通貨が超インフレ経済国の通貨である子会社の財務諸表について、連結財務諸表に含める前にIAS第29 号に従って修正再表示することを要求しています。過去に安定通貨で表示されていた比較情報の金額は、修正再表示されません。
南スーダン共和国
IMFのデータによると、南スーダン共和国では2018年12月31日までの3年間の累積インフレ率が100%を大幅に超えており、以後の年度においても、100%を大幅に超える状態が続くと見込まれます。南スーダン共和国は、2018年度も引き続き超インフレ経済となります。機能通貨が南スーダン共和国の通貨である企業は、2018年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。。
スーダン
スーダンは2013年度に超インフレ経済となりました。2016年末に3年間の累積インフレ率が100%を下回り、以後も100%を下回ると予想されたことから、2016年度において同国は超インフレ経済ではなくなりました。2018年のIMFデータによると、3年間の累積インフレ率は大幅に上昇し、2018年度には100%を超え、2019年度も100%を超える状態が続くと見込まれます。 したがって、2018年度に機能通貨がスーダンの通貨であるすべての企業は、IAS第29号を適用しなければならず、同国の経済が常に超インフレ経済であったものと仮定して適用しなければなりません。IAS第29号の適用開始に関する詳細については、上記のアルゼンチンのセクションをご参照ください。
シリア・アラブ共和国
シリア経済に関する信頼性のあるインフレデータは存在しませんが、この国の状況は昨年度から変化していません。欧州連合(EU)と国際連合(UN)は依然として貿易制裁を課しています。入手可能な情報によると、シリアは2018年度も依然として超インフレ経済であることが示されています。機能通貨がシリア・アラブ共和国の通貨である企業は、2018年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
ベネズエラ
ベネズエラは2009年度に超インフレ経済になりました。IMFのデータによると、ベネズエラでは2018年12月31日までの3年間の累積インフレ率が100%を大幅に超えており、以後の年度においてもさらなるインフレ率の上昇が見込まれます。ベネズエラは2018年度も依然として超インフレ経済となります。機能通貨がベネズエラの通貨である企業は、2018年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
2019年度に動向を注視すべき国
コンゴ民主共和国
IMFのデータによると、2018年までの3年間の予想累積インフレ率は大幅に上昇しており、2018年度末の累積インフレ率は100%を超える可能性があります。ただし、コンゴ民主共和国の中央銀行および国家統計局の最新の現地のデータによると、2018年12月31日時点の予想累積インフレ率は100%を下回っています。IMFのデータと現地のデータに整合性がないことから、機能通貨がコンゴ民主共和国の通貨である企業は、2018年度にIAS第29号を適用すべきではありません。また、そのような企業は、2019年度におけるインフレを注視する必要があります。
イラン
IMFのデータによると、2018年までの3年間の累積インフレ率は100%を下回っていますが、2017年度の同指数と比較すると大幅に上昇しています。機能通貨がイランの通貨である企業は、2018年度にIAS第29号を適用しなければなりません。また、そのような企業は、2019年度においてインフレを注視する必要があります。
リビア
IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は100%をわずかに超えますが、2019年度には下降すると見込まれます。現地のデータによると、累積インフレ率はIMFの推計値を下回っています。IMFのデータと現地のデータに整合性がないことから、機能通貨がリビアの通貨である企業は、2018年度にIAS第29号を適用すべきではありません。機能通貨がリビアの通貨である企業は、2019年度において、インフレを注視する必要があります。
スリナム
IMFのデータによると、スリナムでは2018年12月31日までの3年間の累積インフレ率が100%を下回っています。現地のインフレデータは、最近の高水準のインフレを反映したものではありません。機能通貨がスリナムの通貨である企業は、2018年度にIAS第29号の適用を中止しなければなりません。また、そのような企業は、2019年度においてインフレを注視しなければなりません。
IAS第29号第38項は、前期末現在の財務諸表の金額を、その後の財務諸表の帳簿価額の基礎として扱わなければならないと規定しています。すなわち、修正再表示された金額は、その後の財務諸表における非貨幣性項目のコストの基礎となります。
超インフレ経済である可能性のあるその他の国
イエメン
IMFのデータによると、イエメンの3年間の累積インフレ率は100%に近づきつつあります。現地のデータでも、累積インフレ率は100%を下回っていることがわかります。現在のところ、イエメンが超インフレ経済になっているかどうかを判断する十分な情報はありません。機能通貨がイエメンの通貨である企業は、2018年度末時点および2019年度中のインフレの動向を注視しなければなりません。
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