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要点
国際会計基準審議会(IASB)の新たなガイダンスは事業の定義を変更しており、より多くの取引が資産の取得として会計処理される可能性があります。事業の新しい定義は、不動産業界に重要な影響を及ぼす可能性があります。

論点
新しいガイダンス
事業の定義を変更するために国際財務報告基準(IFRS)第3号「企業結合」が修正されました。新しいモデルでは、任意で集中テストを適用することができ、要件を満たす場合には、さらなる評価を行わずとも資産の取得として会計処理することができます。事業とみなされるためには、取得の取引にアウトプットを生み出す能力に著しく寄与するインプットと実質的なプロセスが含まれている必要があります。新たなガイダンスは、インプットと実質的なプロセスがどのような場合に存在するかを評価するためのフレームワークを提供しています。
集中テスト
集中テストでは、会社は取得した総資産の公正価値のほとんどすべてが単一の資産(または類似の資産グループ)に集中しているかどうかを検討します。要件を満たす場合、取得した資産は事業とはみなされず、追加の分析は必要とされません。取得した総資産には、現金、繰延税金資産、および繰延税金負債の影響から生じるのれんは含まれません。取得した総資産の公正価値は、通常、譲渡対価(非支配持分および従来保有していた持分があれば、その公正価値も加算)に、繰延税金負債以外の引き受けた負債の公正価値を加えた額に基づいて算定されます。同様のもので比較するため、「取得した総資産」から除外した項目は、「取得した総資産の公正価値」を計算する際にも同様に除外されます。
任意の集中テストには、「類似の」資産を集約する考え方が含まれています。不動産業界では、取得の取引に複数の物件が含まれることは一般的です。ある取引の中で購入した複数の資産が類似しているかどうかを結論づける際には、物件の種類や所在地など、特定の事実や状況を慎重に検討する必要があります。物件のグループが著しく異なるリスク特性を有する場合にはその物件のグループは類似していないこととなります。[IFRS第3号B7B項(f)(vi)]
住宅用不動産ポートフォリオの取得
不動産会社は、10戸の住宅のポートフォリオを購入します。各住宅は、会計上は別々の投資不動産とみなされています。すべての住宅はそれぞれ別のテナントにリースされ、土地と建物から構成されています。各住宅は異なるデザインとレイアウトを有していますが、これらすべての住宅は同一の地理的エリアに位置し、そのエリア全体の不動産市場のリスク特性は類似しています。従業員、その他の資産またはその他の活動は譲渡されていません。
この契約は事業の取得に該当しますか
分析
いいえ。公正価値のほとんどすべてが類似の資産グループに集中しているため、不動産会社は、任意の集中テストを適用することを選択し、資産の取得であると結論づけることになると考えられます。不動産会社は、集中テストを使用することを選択したと仮定して、この取引を資産の取得として会計処理することとなります。
任意の集中テストで資産の取得と判断されなかった場合、取引が自動的に企業結合となるわけではありません。企業は、IFRS第3号の全体的なフレームワークの下で取引を評価しなければなりません。
IFRS第3号のフレームワーク
IFRS第3号は、事業であるために、少なくともアウトプットを生み出す能力に著しく寄与するインプットと実質的なプロセスが含まれることを求めています。新ガイダンスは、インプットと実質的なプロセスが存在するかどうかを評価するためのフレームワークを、アウトプットを伴う取引とアウトプットを伴わない取引に区別して提供しています。アウトプットとは、「顧客への財もしくはサービスの提供、投資収益(配当や利息など)、または通常の活動からの他の収益を生み出すインプット及び当該インプットに適用されたプロセスの成果」と定義されています。(IFRS第3号B7項)
  • アウトプットを伴わない取引
次の両方を満たす場合、取得したプロセスは実質的なプロセスとみなされます。
a. プロセスが取得したインプットをアウトプットに変換する際に決定的に重要である。
b. 取得したインプットに、以下の両方が含まれる。
i. そのプロセスの実行を可能にするために必要な技能、知識または経験のある組織化された労働力
ii. 組織化された労働力によってアウトプットを開発し又はアウトプットに変換し得る他のインプット(例えば、アウトプットを生み出すために開発される知的財産又は他の経済的資源や、材料を獲得したり、将来のアウトプットを生み出せるようにする権利)
  • アウトプットを伴う取引
次のいずれかを満たす場合、取得したプロセスは実質的なプロセスとみなされます。
a. プロセスがアウトプットを継続して生み出すために決定的なものであり、インプットにプロセスを実行するために必要な技能、知識または経験のある組織化された労働力が含まれる。
b. プロセスがアウトプットを継続して生み出す能力に著しく寄与し、かつ、以下のいずれかの特徴を有する。
i. 独特あるいは稀少である
ii. 多大なコスト、労力またはアウトプットの生産を継続する能力の遅延なしに置き換えることができない。
  • 契約上の労働力
取得した契約により、組織化された労働力(例えば、外部委託された不動産管理サービス)へのアクセスが可能となる場合があります。企業は、組織化された労働力が、企業が支配している実質的なプロセスを遂行しているかどうかを評価する必要があります。この場合に考慮すべき要素には以下があります。
  • サービスが付随的または軽微なものでないこと
  • 労働力の置き換えが困難であること
  • 契約期間および更新期間
住宅・オフィスの不動産ポートフォリオの取得
不動産会社は、10戸の住宅ポートフォリオ(これらの住宅の特性は前述の設例に示されているものと同一とします)に加えて5棟のオフィスビルを含むオフィスパークを購入します。さらに、オフィスパークのメンテナンス業務のアウトソーシング契約も取得しています。メンテナンスサービスは、オフィスパークで賃貸収益を得るという観点から、付随的または軽微であると考えられます。従業員、その他の資産またはその他の活動は、譲渡されません。
この契約は事業の取得に該当しますか
分析
いいえ。不動産会社はこれを資産の取得と結論づけることになります。 異なるリスク特性を有する2つの種類の不動産を取得しており、公正価値のすべてが単一の識別可能な資産または類似の識別可能な資産グループに集中しているとはいえないため、集中テストによって資産の取得とみなすことができる要件は満たしません。そのため、インプットと実質的なプロセスが存在するかをフレームワークに従って評価することになります。 組織化された労働力は取得されておらず、メンテナンスサービスは、賃貸収入を生み出すという観点からは付随的または軽微であるとみなされます。さらに、メンテナンスサービスは、賃貸収入を生み出す能力に著しく寄与するものではなく、また、多額の費用なしに交換することが可能であるとされています。そのため、実質的なプロセスは含まれておらず、事業の定義は満たさないことになります。
既存のリース契約が存在せず、アウトプットを伴わない場合、異なる答えとなりますか
分析
いいえ。不動産会社は、この場合でも資産の取得であると結論づけることとなります。 アウトプットがない場合に事業の定義を満たすためには、インプットを開発しアウトプットに変換する能力に決定的に必要な技能を備えた組織化された労働力が存在する必要があります。本ケースでは、そのような組織化された労働力は取得されておらず、事業の定義は満たしません。
住宅とオフィスパークの両方に既存のリース契約が存在するため(アウトプットである賃貸収益をもたらしている)、不動産会社は、アウトプットを伴う場合のフレームワークを参照し、取得したプロセスが実質的であるかどうかを検討して、取引を分析します
住宅・オフィス用不動産ポートフォリオの取得
不動産会社は、住宅およびオフィスのポートフォリオ(これらの資産の特性は前述の設例に示されているものと同一とします)に加え、リース、テナント管理、すべての運営プロセスの管理および監督に責任を負う従業員を取得しました。
契約は事業の取得に該当しますか
分析
はい。不動産会社は、これを企業結合であると結論づけることとなります。
取得した資産の公正価値が単一の資産または類似の識別可能な資産グループに集中していないため、集中テストの要件は満たしません。アウトプットを伴う場合のフレームワークに従って、プロセスが取得されているかどうか、および、プロセスが実質的であるかどうかを評価するために追加の分析が必要となります。取得した組織化された労働力は、インプット(土地、建物、および既存のリース契約)を開発し、アウトプットに変換する能力に決定的に必要な技能を備えた実質的なプロセスであると評価でき、事業の取得と考えられます。
より多くの取引が資産の取得と判断されることによる影響
事業の定義の改訂により、より多くの取引が資産の取得として会計処理される可能性があります。 企業結合の会計処理と資産の取得の会計処理には多くの差異があり、主にのれんの認識、繰延税金、条件付対価および取得関連コストの処理の相違などがあげられますが、これらに限りません。 この改訂の適用は、売却取引の会計処理にも影響を与えます。事業の売却による収益の認識にはIFRS第10号が適用されるのに対し、資産の売却による収益の認識にはIFRS第15号が適用されるためです。 IFRS第10号は、受領した対価を公正価値で認識することを要求しており、IFRS第15号は、戻し入れの可能性が高い場合には、変動対価を制限しています。
適用日
企業は、取得日が2020年1月1日以後に開始する最初の事業年度の期首以後となる取引に、当該IFRS第3号「企業結合」の修正を適用しなければなりません。早期適用は可能です(EUでの適用はEU承認後となります)。
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