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要点
本資料は、2019年12月31日現在で超インフレである国のほか、当該日付現在では超インフレ経済になるとは予想されないものの、2020年に動向を注視すべき国を取り上げています。本資料の中で引用する定量的データは、国際通貨基金(IMF)のデータ(「世界経済見通し 2019年10月」)に基づいています。以下の国(またはその国の機能通貨を有する事業体への投資を有するグループ)の通貨を機能通貨とする企業は、2019年12月に終了する事業年度に、国際会計基準(IAS)第29号「超インフレ経済下における財務報告」を適用しなければならず、また、同国の経済が常に超インフレであったものと仮定して適用しなければなりません。
誰にどのような影響があるか
2019年度における超インフレ経済の国および2020年度に引き続き動向を注視すべき国
以下のいずれかの国の通貨を機能通貨とする企業は、2019年度の報告でIAS第29号を適用しなければなりません。
  • アルゼンチン
  • 南スーダン共和国
  • スーダン
  • ベネズエラ
  • ジンバブエ
以下の国は2019年度において超インフレ経済ではありませんでしたが、2020年度は動向を注視する必要があります。
  • アンゴラ
  • コンゴ民主共和国
  • リベリア
  • イラン
超インフレ経済になる可能性のあるその他の国
  • シリア・アラブ共和国
  • イエメン
超インフレ経済の国
アルゼンチン
アルゼンチンは2018年度に超インフレ経済となりました。IMFおよび現地のデータによると、3年間の累積インフレ率は2019年12月31日に100%を大幅に超え、今後数年間において依然として100%を大幅に超える状態が続くと見込まれます。アルゼンチンは2019年度も引き続き超インフレ経済となります。機能通貨がアルゼンチンの通貨である企業は、2019年度においても引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
南スーダン共和国
IMFのデータによると、南スーダン共和国では2019年12月31日までの3年間の累積インフレ率が100%を大幅に超えており、以後の年度においても、100%を大幅に超える状態が続くと見込まれます。南スーダン共和国は、2019年度も引き続き超インフレ経済となります。機能通貨が南スーダン共和国の通貨である企業は、2019年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
スーダン
スーダンは2013年度に超インフレ経済となりました。2016年末に3年間の累計インフレ率が100%を下回り、以後も100%を下回ると予想されたことから、2016年度において同国は超インフレ経済ではなくなりました。2019年のIMFデータによると、3年間の累積インフレ率は大幅に上昇し、2019年度には100%を超え、2020年度も100%を超える状態が続くと見込まれます。したがって、2019年度に機能通貨がスーダンの通貨であるすべての企業は、IAS第29号を適用しなければならず、同国の経済が常に超インフレ経済であったものと仮定して適用しなければなりません。
ベネズエラ
ベネズエラは2009年度に超インフレ経済になりました。IMFのデータによると、ベネズエラでは2019年12月31日までの3年間の累積インフレ率が100%を大幅に超えており、以後の年度においてもさらなるインフレ率の上昇が見込まれます。ベネズエラは2019年度も依然として超インフレ経済となります。機能通貨がベネズエラの通貨である企業は、2019年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
ジンバブエ
ジンバブエ政府は、10年を超える深刻な超インフレ期間を経た後に、ジンバブエ・ドルを廃止しました。その後、米ドルや南アフリカ・ランドなどの他の通貨が法定通貨として広く利用されました。しかし、2018年10月にジンバブエ・ドルが再び導入され、他の通貨は法定通貨ではなくなりました。国内通貨の再導入後にインフレ率が大幅に上昇し、2018年10月以降、累積インフレ率は100%を超えました。ジンバブエが現在、会計上の超インフレ経済国であるという結論が、定性的な指標によっても裏付けられています。機能通貨がジンバブエの通貨である企業は、2019年7月1日より後に終了する事業年度に、同国の経済が常に超インフレ経済であったものと仮定してIAS第29号を適用しなければなりません。
2020年度に引き続き動向を注視すべき国
アンゴラ
アンゴラは、2018年度末に超インフレ経済の国に分類されました。IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は、現在、2019年度に100%を下回ることが見込まれています。現地のインフレデータは、2019年度に関するIMFの予測と整合しています。定性的指標は強弱混在しているものの、アンゴラがもはや超インフレ経済でないことを示しています。IAS第29号は、ある国が超インフレ経済でなくなった場合、前期末現在の財務諸表の金額をその後の財務諸表の帳簿価額の基礎として扱わなければならないと規定しています。すなわち、修正再表示された金額は、その後の財務諸表における非貨幣性項目の原価の基礎となります。
インフレ率が依然として高い水準にあることを踏まえると、機能通貨がアンゴラの通貨である企業は、2020年度のインフレの動向を注視する必要があります。
コンゴ民主共和国
IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は100%をわずかに下回っており、2017年度に大幅に上昇したインフレ率がこの3年間で低下していることから、2020年度も低下することが見込まれています。インフレ率は2018年度、2019年度ともに低下しています。機能通貨がコンゴ民主共和国の通貨である企業は、2019年度にIAS第29号を適用すべきではありません。また、そのような企業は、2020年度におけるインフレを注視する必要があります。
リベリア
IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は100%を下回っていますが、2020年度には上昇することが見込まれています。現地のデータによると、累積インフレ率はIMFの推計値を下回っています。機能通貨がリベリアの通貨である企業は、2019年度にIAS第29号を適用すべきではありません。また、そのような企業は、2020年度も引き続きインフレを注視する必要があります。
イラン
IMFの推計値データによると、2019年までの3年間の累積インフレ率は100%を上回っています。しかし、IMFは、毎年3月31日を期末とするイラン暦でインフレ率を推計したイランの情報源を使用しています。現地のインフレデータによると、2019年12月までの3年間のインフレ率は100%を下回っており、定性的指標は強弱混在しています。機能通貨がイランの通貨である企業は、2019年度にIAS第29号を適用すべきではありません。最近インフレ率が上昇していることを鑑みれば、イランの通貨が2020年度に超インフレになる可能性が高く、そのため企業は、2020年度におけるインフレを注視する必要があります。
超インフレの経済である可能性のあるその他の国
シリア・アラブ共和国
シリア・アラブ共和国に関する一貫した信頼性のあるインフレデータを入手することはできません。しかし、欧州連合(EU)と国際連合(UN)は依然として貿易制裁を課しています。一部の現地データを含む入手可能な情報によると、シリアは2019年度は超インフレ経済の可能性があることが示されています。機能通貨がシリア・アラブ共和国の通貨である企業は、IAS第29号が適用可能かどうかを判断するために、2019年12月時点で入手可能な情報を検討しなければなりません。
イエメン
IMFのデータによると、イエメンの3年間の累積インフレ率は100%に近づきつつあります。現地のデータを含むその他の情報によると、イエメンの3年間の累積インフレ率は100%を超える可能性があり、定性的指標はイエメン経済が超インフレ経済であることを示している可能性があります。機能通貨がイエメンの通貨である企業は、IAS第29号が適用可能かどうかを判断するために、2019年12月時点で入手可能な情報を検討しなければなりません。
適用日
機能通貨がアルゼンチン、南スーダン共和国、スーダン、ベネズエラの通貨である企業、または、それらの機能通貨で投資を行っているグループは、2019年12月に終了する事業年度にIAS第29号を適用しなければなりません。また、その経済が常に超インフレであったものと仮定してIAS第29号を適用しなければなりません。
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