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2021/01/15 IASBの教育文書：継続企業の前提【速報解説】
公表日: 2021年01月15日
jp 速報解説（In brief）
⇒原文（英語）はこちらへ
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要点
2021年1月12日、国際会計基準審議会（IASB）は継続企業に関する教育文書を公表しました。
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論点
この4ページの教育文書は、国際会計基準（IAS）第1号で要求される継続企業の開示を行うにあたりどのようなことを考慮する必要があるかについて、ガイダンスを提供するものです。IASBは、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）のパンデミックによって経済環境が圧迫され、企業の売上高、収益性および流動性が著しく低下し、継続企業の前提の疑義につながっていることを認識しています。
この教育文書は新たなガイダンスを含んでいるか
この教育文書は新たなガイダンスを提供するものではなく、現在の困難な環境において財務諸表を作成する企業を支援するために公表されました。これは、IAS第1号が何を要求しているのかに関して再確認を行うものです。
この教育文書で取り上げられているトピック
この教育文書では、下記の4つのシナリオを検討しています。
- 継続企業の存続能力に対して重大な疑義がない場合
- 継続企業の存続能力に対して重大な疑義があるものの、対応策が十分であるため継続企業の前提により財務諸表を作成することが適切であり、重要な不確実性も存在しない場合
- 継続企業の存続能力に対して重大な疑義があるものの、対応策が十分であるため継続企業の前提により財務諸表を作成することが適切であるが、重要な不確実性が残る場合
- 企業の清算もしくは営業停止の意図がある場合、またはそうする以外に現実的な代替案がない場合。
この教育文書は、シナリオ2とシナリオ3という、判断を要する2つの領域に重点を置いています。また、継続企業でない場合に企業は何をすべきかについてのガイダンスも提供しており、IAS第1号第25項を参照しています。当該基準は、継続企業でない場合、財務諸表の作成の基礎を開示することを企業に要求しています。
シナリオ3では、（継続企業の存続能力が適切にあると認められているにもかかわらず）重要な不確実性が存在するケースを取り上げており、IAS第1号第25項および第122項を参照しています。これは、企業の継続企業としての存続能力に対して重大な疑義を生じさせるような事象または状態に関する不確実性と、継続企業の前提が適切であると結論づける際に行った判断に関する情報を開示することの必要性を強調しています。このような開示には、企業の継続企業としての存続能力に対して疑義を生じさせるような事象または状況の開示、およびそのような事象または状況に対処するための経営者の対応策の実行可能性と有効性についての開示が含まれます。
シナリオ2では、継続企業としての存続能力が適切にあると認められ、かつ重要な不確実性も存在しないケースを示しており、2014年のIFRS解釈指針委員会（IC）のアジェンダ決定を参照しています。このICアジェンダ決定では、対応策が講じられ、重要な不確実性がないと結論が下された場合でも、そのような結論には、IAS第1号第122項に基づく開示を要する重大な判断が含まれるとしています。
重要な検討が行われたすべての状況と同様、教育文書は、IAS第1号第125項から第133項において、翌事業年度中に資産および負債の帳簿価額に重要性のある修正を生じる重要なリスクがある場合に、将来に関して行う仮定に関する情報の開示が要求されていることを強調しています。
より詳しい情報について
なお、In the spotlight 「継続企業の前提および後発事象の開示におけるCOVID-19の影響の記載例」（和訳はこちら）の中で、開示に関するいくつかの設例、要求事項のより詳しい要約、後発事象が会計に及ぼす影響の考察などを含む、追加的なガイダンスを提供しています。当該ガイダンスに含まれるシナリオは、教育文書におけるシナリオと類似したものであり、全体的な趣旨も同じです。すなわち、継続企業の決定に関する判断が重大である場合には、適切な開示を行うべきというものです。
PricewaterhouseCoopers LLP
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