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要点

本資料は、2021年12月31日現在で超インフレである国のほか、2021年12月31日現在では超インフレではないものの、2022年に動向を注視すべき国を取り上げています。本資料の中で引用する定量的データは、国際通貨基金(IMF)のデータ(「世界経済見通し 2021年10月」)に基づいています。
超インフレ経済の国の通貨を機能通貨とする企業(または超インフレ経済の国の通貨を機能通貨とする企業への投資を有する企業グループ)は、2021年12月に終了する事業年度に、国際会計基準(IAS)第29号「超インフレ経済下における財務報告」を適用しなければならず、また、同国の経済が常に超インフレであったものと仮定して適用しなければなりません。

誰にどのような影響があるか
2021年度における超インフレ経済の国および2022年度に引き続き動向を注視すべき国
以下のいずれかの国の通貨を機能通貨とする企業は、2021年度においてIAS第29号を適用しなければなりません。
  • アルゼンチン
  • イラン・イスラム共和国
  • レバノン
  • 南スーダン共和国
  • スーダン
  • スリナム(新規 2021年)
  • ベネズエラ
  • イエメン(新規 2021年)
  • ジンバブエ
以下の国は2021年度において超インフレ経済ではありませんでしたが、2022年度は動向を注視する必要があります。
  • アンゴラ
  • エチオピア(新規 2021年)
  • ハイチ
超インフレ経済になる可能性のあるその他の国(信頼できる情報が欠如している国)
  • アフガニスタン(新規 2021年)
  • シリア・アラブ共和国
超インフレ経済の国
アルゼンチン
アルゼンチンは2018年度に超インフレ経済となりました。国際通貨基金(IMF)はもはや2021年度の予測を公表していませんが、アルゼンチン国家統計センサス局1が公表した現地データによると、3年間の累積インフレ率は100%を大幅に超える状態が続くと見込まれます。また、2019年度および2020年度のインフレデータによると、これら2期間の累積インフレ率は、3年間の累積インフレ率100%という基準を超えています。したがって、2021年度の実績インフレ率にかかわらず、2021年度において3年間の累積インフレ率は100%を超えることになります。アルゼンチンは2021年度も引き続き超インフレ経済となります。機能通貨がアルゼンチンの通貨である企業は、引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
イラン・イスラム共和国
イランのインフレ率は2018年度末および2019年度初めに上昇し始めました。2019年度末までにわずかに下降して安定した後、同国のインフレ率は2020年度に急上昇しました。 IMFのデータおよびイラン統計センター2の予測は、2021年12月末時点において現地における3年間の累積インフレ率が100%を超えることを示しています。機能通貨がイランの通貨である企業は、2021年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
レバノン
2020年度初め以降、レバノンのインフレ率は大幅に上昇しています。IMFはもはや2021年度の予測を公表していませんが、レバノン中央統計局3が公表した2021年3月31日時点の現地の実績データによると、3年間の累積インフレ率は2021年12月31日に100%を大幅に超えると見込まれます。2019年度および2020年度のインフレデータによると、これら2期間の累積インフレ率は、3年間の累積インフレ率100%という基準を超えることになります。機能通貨がレバノンの通貨である企業は、2021年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
南スーダン共和国
IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は、2020年度に比較して大幅に下落したものの、2021年12月31日時点において100%を超えると見込まれます。この傾向は、2022年度においても継続するものと見込まれます。南スーダン共和国は、2021年度も引き続き超インフレ経済となります。機能通貨が南スーダン共和国の通貨である企業は、2021年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。しかし、このような企業は、2022年度における南スーダン共和国のインフレを注視し、同国が引き続き超インフレ経済となるのかどうかを確認する必要があります。
スーダン
スーダンは2013年度に超インフレ経済となりました。2016年末に3年間の累積インフレ率が100%を下回り、それ以後も100%を下回ると予想されたことから、2016年度において同国は超インフレ経済ではなくなりました。スーダンは2018年度に再び超インフレ経済になりました。IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は2021年12月31日時点において100%を大幅に超え、今後も100%を大幅に超える状態が継続するものと見込まれます。スーダンは、2021年度も引き続き超インフレ経済となります。機能通貨がスーダンの通貨である企業は、2021年度においてIAS第29号を適用しなければなりません。
スリナム
2020年半ば以降、スリナムのインフレ率は大幅に上昇しています。IMFのデータおよびスリナム中央統計局4 が公表した現地データによると、3年間の累積インフレ率は2020年9月30日時点で59%、2020年12月31日時点で77%、2021年3月31日時点で84%、2021年8月31日時点で132%となり、2021年12月31日時点で100%を大幅に超えることが見込まれます。機能通貨がスリナムの通貨である企業は、実績データを使用し、同国の経済が常に超インフレ経済であったものと仮定して、2021年12月に終了する年度においてIAS第29号を適用しなければなりません。このような企業は、2022年度も引き続きインフレを注視すべきです。
ベネズエラ
ベネズエラは2009年度に超インフレ経済になりました。IMFのデータによると、ベネズエラでは3年間の累積インフレ率が2021年12月31日に100%を大幅に超えると見込まれており、今後もさらなる上昇が見込まれます。ベネズエラは2021年度も依然として超インフレ経済となります。機能通貨がベネズエラの通貨である企業は、2021年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
イエメン
IMFのデータによると、2021年12月31日時点における3年間の累積インフレ率の予測は115%で、来年度は139%まで上昇すると見込まれています。機能通貨がイエメンの通貨である企業は、実績データを使用し、同国の経済が常に超インフレ経済であったものと仮定して、2021年12月に終了する年度においてIAS第29号を適用しなければなりません。このような企業は、2022年度も引き続きインフレを注視すべきです。
ジンバブエ
ジンバブエ政府は、10年以上前の深刻な超インフレ期間を経た後に、ジンバブエ・ドルを廃止しました。その後、米ドルや南アフリカ・ランドなどの他の通貨が法定通貨として広く利用されました。しかし、2018年10月にジンバブエの通貨が再び導入され、他の通貨は法定通貨ではなくなりました。国内通貨の再導入後にインフレ率が大幅に上昇し、2018年10月以降、累積インフレ率は100%を超えました。IMFのデータによると、インフレ率は2021年度も引き続き100%を大幅に超えます。機能通貨がジンバブエの通貨である企業は、2021年度も引き続きIAS第29号を適用しなければなりません。
2021年度に引き続き動向を注視すべき国
アンゴラ
アンゴラは2019年度に超インフレ経済でなくなりました。これは、3年間の累積インフレ率が2019年末時点で100%を下回り、引き続き100%を下回ることが予想されたためです。機能通貨がアンゴラの通貨である企業は、2021年度はIAS第29号を適用するべきではありません。インフレ率が依然として高い水準にあること(IMFによる3年間の累積インフレ率の予測が78%程度)を踏まえると、機能通貨がアンゴラの通貨である企業は、2022年度における同国のインフレの動向を注視する必要があります。
エチオピア
IMFはもはや2021年度の予測を公表していませんが、現地の中央統計局5が公表したデータによると、2021年9月30日時点で3年間の累積インフレ率は90%程度となります。2021年度の高水準のインフレを考慮すると、機能通貨がエチオピアの通貨である企業は、2021年12月31日時点で入手可能な情報を考慮し、その後、IAS第29号を適用すべきかどうかを検討しなければなりません。また、このような企業は、2022年度も引き続きインフレを注視する必要があります。
ハイチ
IMFのデータによると、3年間の累積インフレ率は、2021年度において100%を下回りますが依然として高い水準(72%程度)にあり、2022年度には大幅に減少(67%程度)すると見込まれます。機能通貨がハイチの通貨である企業は、2021年度にIAS第29号を適用すべきではありません。このような企業は、2022年度も引き続きインフレを注視する必要があります。
超インフレの経済である可能性のあるその他の国
アフガニスタン
2021年8月以降、アフガニスタンは深刻な経済危機に陥っています。2021年10月のIMFの世界経済見通し(WEO)報告書では、2021年度および2022年度の見積りが示されていません。アフガニスタンに関する一貫した信頼性のあるインフレデータは2021年12月31日時点で入手することはできません。機能通貨がアフガニスタンの通貨である企業は、2021年12月31日時点で入手可能な情報を検討し、その後、IAS第29号を適用すべきかどうかを検討しなければなりません。
シリア・アラブ共和国
シリア・アラブ共和国に関する一貫した信頼性のあるインフレデータを入手することはできません。しかし、欧州連合(EU)および国際連合(UN)は依然として貿易制裁を課しています。一部の現地データを含む入手可能な情報によると、シリアは2021年度において超インフレ経済である可能性があることが示されています。機能通貨がシリア・アラブ共和国の通貨である企業は、IAS第29号を適用すべきかどうかを検討するために、2021年12月31日時点で入手可能な情報を検討しなければなりません。
適用日
機能通貨がアルゼンチン、イラン・イスラム共和国、レバノン、南スーダン共和国、スーダン、スリナム、ベネズエラ、イエメン、ジンバブエの通貨である企業、または、それらの機能通貨で投資を行っている企業グループは、2021年12月に終了する事業年度においてIAS第29号を適用しなければなりません。また、同国の経済が常に超インフレであったものと仮定してIAS第29号を適用しなければなりません。
1 National Institute of Statistics and Censuses, www.indec.gob.ar
2 Statistical Center of Iran, www.amar.org.ir
3 Central Administration of Statistics, www.cas.gov.lb
4 General Bureau of Statistics, statistics-suriname.org
5 Central Statistics Agency, www.statsethiopia.gov.et
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