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要点

米国証券取引委員会(SEC)は、ESG要素を考慮したファンドや投資顧問会社の開示の拡充、および登録済ファンドの名称に関するガイダンスの拡大を提案しました。

最新の動向
SECは、2022年5月25日、ファンドや投資顧問会社に影響を与える2つの規則案を公表しました。1つ目の規則案は、ESGに焦点を当てた取引を行っているファンドおよび投資顧問会社に対する開示要求の拡充を提案しています。もう1つの規則案は、SECの「名称規則(Names Rule)」の適用可能性を、ESGや成長などの特定の投資に関する特性に焦点を当てたファンドに拡大するものです。
特定のファンドや投資顧問会社によるESG開示の拡充案
SECは、ポートフォリオにおいてESG要素を考慮しているファンド(登録投資会社(RIC)、事業開発会社(BDC))および投資顧問会社(登録投資顧問会社、登録が免除されている特定の投資顧問会社)の開示の拡充を提案しました。本規則案では、3種類のファンドを特定し、段階的な開示要求を定めています。
  • インテグレーション・ファンド-投資判断においてESG要素と非ESG要素を組み込んでいるファンドは、どのようにそれらを組み込んでいるかの説明が要求される。
  • ESGフォーカス・ファンド-投資判断において大幅にまたは主にESG要素を考慮しているファンドは、ESG戦略に関する詳細な開示(標準化されたESG戦略の概要表を含む)の提供が要求される。
  • インパクト・ファンド-特定のESGインパクトを達成しようとするESGフォーカス・ファンドのサブセットであるインパクト・ファンドは、目標達成の進捗をどのように測定するのかについて定量的な開示が要求される。
特定のESGフォーカス・ファンドの開示には、ファンドが支持するESG関連の委任状事項の割合およびESGエンゲージメント・ミーティングに関する情報が含まれます。また、インパクト・ファンドでは、ファンドのESG目標および目標達成に向けての進捗に関する主要な指標を開示する必要があります。温室効果ガス(GHG)排出量は、通常、投資戦略において環境要素を考慮するESGフォーカス・ファンドに対して開示が要求されます。開示には、ポートフォリオに関する特定のスコープ1およびスコープ2のGHG排出量の指標、ならびに、ポートフォリオ企業がスコープ3のGHG排出量を報告している場合にはスコープ3のGHG排出量が含まれます1。 スコープ3の投融資に係る排出量は、スコープ1およびスコープ2の投融資に係る排出量とは別に、また当該ファンドが投資する各産業セクターについて個別に報告されます。
提案されている開示は、ファンドの目論見書、およびファンドの年次報告書におけるファンド運用実績に関する経営者による説明で提供されることになります。ESG要素を考慮している投資顧問会社は、パンフレットやSEC提出書のForm ADVで同様の開示を提供することが要求されます。
開示要求案に関する詳細は、SECの規則案またはファクトシートをご参照ください。
名称規則の改正案
SECは、1940年投資会社法に基づくRule 35d-1(通称、「名称規則(Names Rule)」と呼ばれる)の改正を提案しています。現在、この名称規則は、RICやBDCに対して、その名称が示唆する種類の投資、あるいは産業、国または地域への投資に資産の少なくとも80%を投資することを要求しています。本規則案は、現行の80%要件を拡大し、ファンドの焦点が特定の特性を有する投資であることを示唆する用語を含むファンド名にも適用するものです。例えば、「グロース」や「バリュー」、あるいは「サステイナブル」や「グリーン」など、ファンドが特定のESG規準を満たすことを示唆する用語が付されたファンド名が挙げられます。
インテグレーション・ファンドは、そのファンド名にESGの用語を用いることは認められません。本規則案は、インテグレーション・ファンドがそのファンド名にESGの用語を使うことは、実質的に虚偽であり誤解を招くと述べています。ファンドは、ある特定の状況(例えば、市場変動、または、一時的な要件逸脱が、ファンドの有価証券売買、ファンドの投資契約締結もしくは投資撤退によって生じていないその他の状況)においてのみ、80%の投資要件からの一時的な逸脱が認められます。しかし、ファンドは、合理的に実行可能になれば速やかに80%の投資要件の遵守に戻らなければならず、ほとんどの場合、30日以内の遵守が要求されます。
また、本規則案では、デリバティブに対する投資の評価方法などの80%の集中の算定方法に関する情報が含まれており、さらに、「名称規則」の遵守に関する追加的な記録管理を要求しています。
開示要求案に関する詳細は、SECの規則案またはファクトシートをご参照ください。
なぜ重要か
本規則案は、より有用な意思決定に関する情報を投資家に提供するという取組みの中で、投資配分においてESG要素を考慮しているファンドの名称規則と開示要件を標準化することになります。
次のステップ
いずれの規則案にも、連邦官報掲載後60日間のコメント期間が設けられています。各規則は、最終規則が連邦官報に掲載された日から1年間の移行期間を経て発効されます。
ファンドおよび投資顧問会社は、まず、現在および将来におけるESG要素に関する焦点の戦略的レベルを決定することから準備を始めなければなりません。この理解によって、自らのESG投資の基礎となる方針、手続、データを評価し、ガバナンスおよびコンプライアンスの監視を強化する必要があるかどうかを検討する必要があります。さらに、影響を受けるファンドおよび投資顧問会社は、投資先企業から情報を得る必要がありますが、その情報は非公開である可能性があり、また非公開でなくともSEC規則の対象でない可能性があります。まずは、情報入手のタイミングと入手可能性について議論を始めるのが最善の方法といえます。最後に、RICおよびBDCの投資顧問会社は、名称規則の改正案がファンドや投資の方針に関する名称にどのような影響を与えるかを検討する必要があります。
PwC米国は、本規則案の内容をまとめたポッドキャストを公開予定です。viewpoint.pwc.comその他でポッドキャストをご視聴ください。
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1 GHG排出量のさらなる詳細については、PwC米国のポッドキャスト「ポッドキャスト:GHG排出量について学ぶ:スコープ1およびスコープ2」および「GHG排出量について学ぶ:スコープ3」をご視聴ください。
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