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要点
2022年9月、国際財務会計基準審議会(IASB)は、IFRS解釈指針委員会(IFRS IC)のアジェンダ決定「金融資産の決済として電子送金で受け取る現金(IFRS第9号)」を承認することに代えて、狭い範囲の基準設定を検討することを決定しました。

論点
2021年9月、IFRS ICは、国際財務報告基準(IFRS)第9号「金融商品」を適用して、金融資産の決済として電子送金で受け取る現金の認識に関連する要望書に対する暫定的なアジェンダ決定を公表しました。
IFRS ICは、この暫定的なアジェンダ決定について27通のコメントレターを受領しました。
このフィードバックに基づき、IFRS ICは、IFRS第9号における諸原則および要求事項が、営業債権の認識の中止をいつ行い、当該債権の決済として電子送金システムを通じて受け取る現金をいつ認識すべきかを企業が決定するための適切な基礎を提供しているという、IFRS ICの見解を再確認しました。この結果、IASBの承認を条件として、2022年6月、IFRS ICは、アジェンダ決定を最終化し、IASBに対して要望書の質問に対応した基準設定を提言しないことを投票により決定しました。
しかし、IFRS ICは、多くの回答者がアジェンダ決定を最終化することに対して実務上の懸念を示していることを認識し、テクニカルな分析と共にこれらの懸念事項をIASBに報告することを決定しました。実務上の懸念事項には以下が含まれています。
  • 長年行われてきた会計実務に与える混乱
  • 営業債務や小切手またはクレジットカードによる支払などの、その他の事実パターンへの影響
  • 銀行勘定調整表の作成に必要なシステムや統制に対する潜在的な変更を含む、変更を実施するためのコストと複雑性
テクニカルな分析と実務上の懸念事項の双方を検討し、IASBは、2022年9月の会議において、アジェンダ決定を承認することに代えて、狭い範囲の基準設定を検討することを決定しました。
誰がどのような影響を受けるか
IASBがまだ何らの暫定決定も行っていないため、現在のところ基準設定の潜在的な影響は不明です。2022年9月の会議においてIASBが検討した分析では、以下のような基準設定となることが示されました。
  • 単に企業の既存の会計実務の維持を認めることを目的とはしない。
  • 狭い範囲を対象とする(すなわち、IFRS第9号における一般的な認識および認識の中止の要求事項を修正するものではない)。
  • IFRS第9号の一般的な認識および認識の中止の要求事項の適用の免除を設けるのは、当該免除により、それらの要求事項を適用することにより生じるであろう情報の有用性を著しく減少させない場合に限る。
  • 企業が、特定の法的な環境にかかわらず、新たな要求事項をさまざまな支払システムに適用できるようにするため、適用対象となる支払システムの要件となる特徴を明確にする必要が生じる可能性がある。
  • すべての企業が新たな要求事項の適用を要求される特定の発効日を設ける。
PwCの所見
IASBは、基準設定を行った場合、どのような修正も2022年内には最終化されないことを強調しています。
しかし、最近の議論を踏まえ、また将来に生じる可能性のある基準設定を見越して、企業はこの問題に関連する会計実務の開示を検討する可能性があります。
PwCは、引き続き、この問題の進展に合わせて当該トピックに関するPwCの所見を更新していく予定です。
次のステップ
IASBは今後の会議において、あらゆる可能性のある狭い範囲の基準設定の形や、適用される取引の範囲(例えば、基準は、企業の支払、受領、またはその両方に適用されるのか等)について議論する予定です。
どのような基準設定も、IASBの通常のデュー・プロセスの対象となります。これには、基準を最終化する前に草案に対するコメントをすべての利害関係者に求めることが含まれています。
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