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要点
  • 経済協力開発機構(OECD)は、2021年12月に国際的な法人課税を改革するための「第2の柱」の モデルルールを公表しました。
  • 第2の柱は、適用対象となる(グローバルの年間連結収入が7億5千万ユーロ以上の)多国籍企業が15%の最低法人実効税率の税金を支払うことを確実にすることを目指しています。
  • 本モデルルールは、各国のアプローチに基づいて国内法として成立させることになっていますが、 現在、一部の国では2023年における本ルールの制定または実質的な制定が見込まれています。
  • 国際会計基準審議会(IASB)は、2022年11月会議において、第2の柱のモデルルールの適用が差し迫っていることに対応して、基準の設定を決定しました。
  • 国際会計基準(IAS)第12号「法人所得税」は、OECDの第2の柱のモデルルールの適用による繰延税金の会計処理の一時的な例外規定を導入するために2023年に修正される可能性が高いでしょう。

論点
2021年10月、130か国以上(世界のGDPの90%超を示す)が多国籍企業に対するミニマム課税制度の第2の柱の実施に合意しました。2021年12月、OECDは、国際的な法人課税を改革するための「第2の柱」のモデルルール(グローバル税源浸食防止案、いわゆる「GloBE」)を公表しました。
本モデルルール適用の範囲に含まれる大規模多国籍企業は、事業を営む国・地域ごとにGloBE実効税率を計算することが要求されます。多国籍企業は、各国・地域のGloBE実効税率と15%のミニマム税率との差異について、トップアップ税を支払う義務が生じることになります。
第2の柱のモデルルールおよびその開示への影響の概要は、In brief INT2022-10「第2の柱の世界的な実施および開示への影響」をご参照ください。既に述べたように、GloBEルールの適用とこれによる国際財務報告基準(IFRS)に基づく財務諸表への影響の決定は非常に複雑になる可能性が高く、多くの実務上の課題を生じさせています。第2の柱のモデルルールから生じるトップアップ税の会計処理において、企業がIAS第12号の原則および要求事項をどのように適用するか(特に、繰延税金資産および繰延税金負債の認識および測定に影響があるか否か)はまだ明確になっていません。
IASBは、潜在的な課題のすべてを検討し、最近、OECDの第2の柱のモデルルールを導入するために制定された法律によって生じる繰延税金の会計処理について、一時的な例外規定を導入すべきかどうかを議論しました。11月のIASB会議に提出されたスタッフペーパーでは以下が示されています。
  • 第2の柱のモデルルールの概要
  • IAS第12号を適用する法人所得税の会計処理に対する第2の柱のモデルルールの潜在的影響についての議論
  • IASBに対し、狭い範囲の基準の設定を行い、第2の柱のモデルルールの適用による繰延税金の会計処理の一時的な例外規定を導入することに同意するかどうかの質問
IASBは、狭い範囲の基準の設定を行うというIASBスタッフの提案に同意しました。次のステップは、2023年1月に公開草案(コメント期間は60日)を公表し、受け取ったコメントへの対応を行い、2023年第2四半期にIAS第12号の最終修正を公表することです。
IAS第12号がスタッフペーパーで議論されている方法で修正される場合、第2の柱のモデルルールの適用による繰延税金の会計処理の一時的な例外規定は、、IASBがそれを撤廃するか恒久化するかを決定するまで適用されます。予想される修正の一部として、企業は以下の開示を要求されるかもしれません。
  • 例外規定を適用している旨
  • 第2の柱のトップアップ税に関連する当期税金費用(もしある場合)
  • 法律が制定されてから法律が発効されるまでの間に、企業は他の的を絞った開示を提供するよう要求されるかもしれません。例えば、企業が事業を営む国・地域で制定された法律に関する情報を開示する必要があるかもしれません。
IAS第12号の修正は、その公表後に直ちに適用され、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って遡及的に適用されます。
誰がどのような影響を受けるか
第2の柱のルールは、過去4年間のうち少なくとも2年にわたり連結収入が7億5千万ユーロ以上の多国籍企業に適用されます。現段階において、大多数の企業への影響は、通常は開示の問題ですが、このルールが異なる国・地域で発効されるようになると、企業は、IFRSに基づく財務諸表において、各々の当期税金の影響を考慮する必要があります。
ただし、IAS第12号の修正案が2023年の比較的早い時期に公表される場合には、企業は、第2の柱のルールが繰延税金に与える影響を考慮する必要はないでしょう。
適用日
第2の柱のルールは、OECD加盟国によって合意されたとおり、共通アプローチの一部として実施され、2023年までに国内法に導入されることが意図されています。しかし、各国・地域は、本ルール(の国内法導入)が成立するかどうか、また、いつ成立するかを判断する必要が生じるでしょう。例えば、現在、英国では、第2の柱のルールを2023年に制定し、2024年の会計期間に適用することが計画されています。また、現在、EUでは、加盟国に対し、2024年の会計期間に適用されるように発効日を設定したルールを2023年に制定することを要求する指令を発する計画があります。
このため、この修正案が2023年に最終化されると仮定すると、第2の柱のルールは、企業が事業を営む国・地域によって、開示目的では2023年、当期税金目的では2024年の企業の財務諸表に影響を与えると予想します。
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