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要点
本資料は、IAS第36号に基づき減損テストを実施することが要求されている重大な非金融資産を有するすべての企業に適用されます。以下の説明は、非金融資産の減損に関するいくつかの基本的な考え方を振り返り、使用価値(VIU)の手法におけるよくある間違いについて注意を喚起するものです。

論点
資産の減損は、規制当局が企業とやり取りする文書の中で最も頻繁に取り上げられる主要なテーマのひとつです。減損テストや関連する開示は、財務諸表利用者や規制当局が常に注視している領域であり、特に経済や地政学的な不確実性が高まっている時期に注目が集まることが見込まれます。
注意すべき事項
1)  減損テストを行う資金生成単位(CGU)の識別
有形固定資産(PP&E)、無形資産および使用権資産などの非流動の非金融資産は、減損の兆候がある場合にそれぞれの個別資産レベルで減損テストを実施することが要求されます。個別資産が独立したキャッシュ・フローを生成しないために回収可能価額を見積もることができない場合には、当該資産は、資金生成単位の一部としてテストを実施しなければなりません。大半の資産は、資金生成単位または資金生成単位グループの一部として減損テストが実施されます。
資金生成単位を識別する際には、経営者が企業の営業をどのように監視することを選択したかに注目することが有益かもしれませんが、これが確定的な方法というわけではありません。資金生成単位の決定は、資金生成単位がおおむね独立したキャッシュ・フローを生成する最小の資産グループであるという事実の問題でなければなりません。例えば、個別のホテルや小売店は通常、他とはおおむね独立した収入を生み出しており、したがって、一般的に個別の資金生成単位を形成します。
のれんについては別の規定があります。のれんは、経営者がのれんを監視している最小のレベルで減損テストを実施することが要求されています。個別の資金生成単位に基づいて監視している場合には、のれんの減損テストは、その個別の資金生成単位に基づいて実施しなければなりません。しかし、経営者がより大きな資金生成単位グループに基づいてのれんを監視している場合には、のれんの減損テストにこれを反映させなければなりません。IFRS第8号に基づき、のれんを監視している最小のレベルは、それが属する事業セグメントよりも大きくすることはできません。IFRS第8号が適用されていない場合であっても、このことを考慮する必要があります。経営者は、企業の資金生成単位が適切に分解されているかどうか(すなわち、大きすぎないかどうか)に注意を払う必要があります。
資産の減損テストのための資金生成単位およびのれんのテストのための資金生成単位グループの識別は、多くの場合において重大な判断を伴うものであり、IAS第1号に従って財務諸表に明確に開示しなければなりません。
2) 減損の兆候(テストの実施時期)
企業は、各報告期間(期中報告期間を含む)の末日時点で資産が減損している可能性を示す兆候があるかどうかを評価しなければなりません。継続するCOVID-19の影響、ロシアのウクライナ侵攻の影響、物価および金利の上昇、気候関連事項ならびに一般的なマクロ経済や地政学的環境により、多くの企業は、2022年に減損テストを実施するトリガーが生じると見込まれます。
減損の兆候の評価は、IAS第1号に従って開示しなければならない重大な会計上の判断を反映している可能性があります。不確実な時期においては、たとえ経営者が減損の兆候はないと結論付けたとしても、それが重大な判断を反映している場合には、引き続き結論の根拠を開示する必要があります。
IAS第36号は、減損テストにボトムアップ・アプローチを適用することを要求しています。減損の兆候が識別され、それが特定の資産または資金生成単位に関連する場合、当該資産または資金生成単位は、最初に減損テストを実施しなければなりません。IAS第36号の下では、(耐用年数を確定できない)のれんについては少なくとも年1回および減損の兆候があるときに減損テストを実施します1。資金生成単位グループについてののれんの減損テストは、個々の資産および資金生成単位に減損テストを実施し、必要があれば評価減を行った後に実施します。
3) 回収可能価額は、使用価値(VIU)と処分コスト控除後の公正価値(FVLCD)のいずれか高い金額をいう
IAS第36号の下での回収可能価額の算定方法には処分コスト控除後の公正価値と使用価値という2つの方法があります。処分コスト控除後の公正価値は市場参加者アプローチであり、ほとんど常に割引キャッシュ・フロー・モデルに基づきます。使用価値も割引キャッシュ・フロー・モデルですが、基準書に定義されているように、どのキャッシュ・フローを含めることができるか、また含めることができないかについて、特定の要求事項および制限があります。資産または資金生成単位の帳簿価額は、減損損失を決定するために、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のうち高い金額と比較します。
多くの企業(一部のニッチ産業を除く)では、多くの場合においてより高い価値を提供することが期待される使用価値モデルが用いられます。しかし、使用価値モデルが減損を示す場合には、減損を計上する前に処分コスト控除後の公正価値を考慮しなければなりません。
4) 仮定は、承認後の予算に基づき合理的で裏付け可能でなければならない
キャッシュ・フロー予測は、経営者が承認した直近の予算または予測を基礎としなければなりません。予測の基礎とした仮定は、合理的で裏付け可能でなければならず、また、資産または資金生成単位の残存期間にわたる経済的状況についての経営者の最善の見積りを反映していなければなりません。処分コスト控除後の公正価値を決定するために作成された割引キャッシュ・フローで使用するキャッシュ・フローは、使用価値の算定におけるキャッシュ・フローとは異なります。2つの方法で使用されるキャッシュ・フローの差異は、その合理性を考慮しなければなりません。
現在の経済状況の変化は、1年前に合理的だった仮定がもはや適切ではないことを意味する可能性があります。監査人は、経営者が作成したキャッシュ・フロー予測における主要な仮定に異議を唱えることが期待されます。
キャッシュ・フロー予測の基礎とした仮定を作成および監査する際には、外部の証拠をより重視すべきです。例えば、キャッシュ・フロー/予測は、アナリストレポート、その他の第三者の専門家や経済予測家の見解など、外部の情報と比較しなければなりません。大半の市場セクターのアナリストレポートを入手することは可能であり、これらを経営者の主要な仮定を評価する際の補強証拠または反対証拠とみなすべきです。比較可能な取引およびこれらの取引において示されるマルチプル(倍率)も、有用な指標になり得ます。
経営者はしばしば、(有形固定資産および使用権資産の両方についての)減価償却が、永続モデルにおける、消耗性資産の置き換えに必要なキャッシュ・アウトフローの代理変数であると仮定します。高インフレ時には、減価償却は将来キャッシュ・アウトフローの代理変数としては不十分です。置き換えの仮定が適切であることを確保するためには注意を払う必要があります。名目ベースで作成されている現在のモデル(すなわち、物価上昇の影響を含む)では、通常、インフレ率をより注意深く考慮する必要があります。なぜなら、すべてのコストが物価上昇に同じように晒されているわけではなく、また、売上高は、景気後退を反映して、コストを顧客に転嫁できる範囲までしか物価上昇の影響を受けない可能性があるからです。
具体的には、リース期間の満了時にリース資産を置き換えるためのキャッシュ・アウトフローを減損モデルに盛り込む際の困難が関連します。この領域の詳しいガイダンスは、FAQ 24.84.2(和訳はこちら)をご参照ください。
注意:時価総額が回収可能価額を下回る場合は、仮定の正当性を疑ってください。
純資産価値を下回る時価総額は、IAS第36号においては減損テストの明示的なトリガーとなります。時価総額が使用価値の算定額よりも低い場合には、仮定の正当性を疑う必要があります。2
5) 同様の条件での比較 - 全社資産、運転資本、法人所得税、負債の考慮
回収可能価額で使用されるキャッシュ・フローは、資金生成単位の帳簿価額でテストされる資産と首尾一貫していなければなりません。減損テストは同様の条件で比較すべきです。全社資産、運転資本、法人所得税、負債が考慮すべき重要な領域です。
全社資産と全社的な間接費
資金生成単位の帳簿価額は以下で構成されます。
  • 資金生成単位に直接的かつ排他的に賦課する資産
  • 資金生成単位に合理的で首尾一貫した基礎により間接的に賦課する資産の配分(全社資産およびのれんを含む)
資金生成単位に帰属するキャッシュ・アウトフローには、全社的な間接費の合理的な配分額が含まれていなければなりません。全社資産の配分と間接費の配分は連動しています。例えば、ブランドの帳簿価額の一部を資金生成単位に配分する場合、そのブランドの使用に関連して資金生成単位が支払った内部管理費は、二重計算を避けるため、キャッシュ・アウトフローから除外しなければなりません。一般的に、使用価値の計算において、すべての間接費は資金生成単位レベルまたは資金生成単位グループ全体のレベルのいずれかで使用価値の計算に含めるべきです。これとは対照的に、処分コスト控除後の公正価値の計算では、市場参加者の観点から事業運営するために必要なコストのみを含めます。
資金生成単位への全社資産の配分には、よくある間違いが見られます。経営者は、個々に減損していないことを根拠に、あるいは、実際には配分が可能な場合でも合理的に配分できないと主張して、全社資産を資金生成単位に配分しないままにしてしまうことがあります。経営者が全社資産を個々の資金生成単位に配分しておらず(場合によってはこれが正しいこともある)、かつ、資金生成単位の合算レベルでも配分していないために、全社資産が減損評価から誤って除外される例もあります。監査人は、経営者による資金生成単位の配分を検討し(必要であれば、異議を唱え)、この検討事項を文書化することが期待されます。
運転資本
帳簿価額には、使用価値を算定する際に使用される将来キャッシュ・フローを生み出す資産のみが含まれます。減損テストの目的でキャッシュ・フロー予測を作成する多くの企業は、事業のキャッシュ・フロー予測に基づいてその予測を行っています。これらには、年度末の運転資本残高の決済から生じるキャッシュ・フローが含まれます。基準書は、資金生成単位の帳簿価額を運転資本内の資産の分だけ増額させ、運転資本内の負債の分だけ減額することを条件として、この予測を未修正のままにすることを企業に認めています。数値例については、EX 24.45.1(和訳はこちら)をご参照ください。
法人所得税
税務上の欠損金に関連するキャッシュ・フローは、キャッシュ・フローから除外すべきです。なぜなら、これらは、テストされる資金生成単位の回収可能価額に影響しないからです。当期税金および繰延税金は、当基準書により使用価値のキャッシュ・フローから除外するよう要求されていますが、処分コスト控除後の公正価値のキャッシュ・フローに含めなければなりません。実務上、税引後割引率とキャッシュ・フローはしばしば使用価値モデルで用いられ、理論的には同じ答えになることが可能ですが、繰延税金を考慮する必要があることにより複雑になります。税引後使用価値モデルにおける繰延税金の取扱方法に関するガイダンスについては、EX 24.87.1(和訳はこちら)をご参照ください。
負債
すでに負債として認識されている債務に関連するキャッシュ・アウトフローは除外されます。なぜなら、関連する負債が資金生成単位から除外されるためです。そのような負債の例としては、借入、リース負債、年金および引当金が含まれます。この負債を考慮しなければ資金生成単位の回収可能価額を決定できない場合にのみ、この負債は資金生成単位に含められます。例えば、資産除去債務は、関連する資産と切り離すことができないため、多くの場合において含められます。よくある間違いとして、資金生成単位の帳簿価額を資産から負債(多くの場合において、リスク・フリー・レートまたは借入金利で割り引いている)を控除して算定し、使用価値モデルのキャッシュ・アウトフローにも当該負債からのキャッシュ・アウトフロー(加重平均資本コストを導くレートで割り引かれる)を含めるケースがみられます。このような計算を行うと、帳簿価額とキャッシュ・アウトフローに異なる割引率を用いることにより計算上の差異が生じます。IAS第36号第78項(和訳はこちら)では、資金生成単位の資産と使用価値モデルのキャッシュ・フローの双方から負債の帳簿価額を減額することを要求することでこれを回避しており、これにより影響は中立的になっています。
6) ターミナルバリュー(適切な推定)
耐用年数が確定できる資産については、当該年数にわたってキャッシュ・フローを予測します。耐用年数が確定できない資産または事業では、ターミナルバリューを用いたキャッシュ・フロー予測が必要となります。ターミナルバリューは、投資家が特定の予測期間以降のキャッシュ・フローに支払うであろう価値を表します。
ターミナルバリューは、エグジット・マルチプルまたは永続計算のいずれかとして算定されます。永続計算は、キャッシュ・フローの最終年度をとり、それを無期限に予測するものです。エグジット・マルチプルは市場データを基礎としていなければならず、予測の最終年のキャッシュ・フローに適用されます。いずれの方法を選択するにせよ、予測の最終年度に使用されるキャッシュ・フローが持続可能であることが重要です。事業が周期的に変動するかどうか、資本的支出と減価償却との間にミスマッチがないかどうか、また、永続的なキャッシュ・フローが事業の将来の予想と一致しているかどうかについて、慎重に検討する必要があります。この概念については、FAQ 24.84.2(和訳はこちら)で詳しく検討しています。
予測期間は、標準的な成長とマージンの水準を達成するのに十分な長さ(ただし通常5年以内)を確保することが重要です。その期間が短すぎると、評価全体がターミナルバリューに左右され、偏向または誤差が増幅されます。
予測の最終年度を過大評価しているために、経営者がターミナルバリューを過大評価しているというよくある間違いが見られます。この過大評価は、多くの場合において、最終年度のキャッシュ・フローに1回限りのキャッシュ・インフローが含まれており、それが予測に用いられることに起因しています。例外的なアウトフローが誤って最終年度に計上された場合には、逆の影響が生じます。予測の最終年度は不変の状態を表わさなければなりません。
キャッシュ・フローが名目ベースで作成される場合、長期的な成長率は長期インフレ予想と比較して合理的でなければなりません。名目GDP長期成長率を上回る名目長期成長率は、企業が経済そのものよりも速いペースで成長していることを意味します。これは適切でない可能性があります。長期成長率は、外部の証拠を用いて補強または反証されなければなりません。
7) 割引率
使用する割引率は、資産または資金生成単位に固有のリスクと貨幣の時間価値を反映した率でなければなりません。異なる資金生成単位には異なる割引率が必要になる可能性があります。例えば、いくつかの資金生成単位が異なる地域に所在していたり、特定の資金生成単位が気候関連リスクにより多く晒されていたりするかもしれません。そのような場合、これらを資金生成単位の割引率に反映させる必要があります。ただし、将来キャッシュ・フローの予測に既に考慮されているリスクについては、割引率を調整すべきではありません。しかし、ほとんどの場合、承認された予算を基礎にして算定された割引キャッシュ・フローにはリスク調整がされておらず、その場合には割引率に調整を行わなければなりません。また、経営者は、カントリー・リスク、為替リスク、キャッシュ・フロー・リスクを考慮する必要があります。IAS第36号は、税引前の割引率を使用することを要求していますが、実務上、多くの場合において税引後のキャッシュ・フローと割引率が使用されており、そのため開示目的上、税引前に調整する必要があります。
外貨キャッシュ・フローでは割引率がさらに複雑になります。将来キャッシュ・フローは、それらが生成される通貨で見積もられ、その後、当該通貨にとって適切な率で割り引かれます。この割引率の決定は容易ではないことがあります。また、当該通貨に用いる割引率は特有のカントリー・リスクや通貨リスクを反映しているため、残りのキャッシュ・フローの現在価値算定に用いられる率と異なる可能性もあります。
外貨キャッシュ・フローの現在価値は、減損の検討が行われている日付時点の直物レートで換算しなければなりません。
経営者は、資金生成単位における資産に関連するリスクと貨幣の時間価値を反映した割引率の合理的な代理数値として、加重平均資本コスト(WACC)を評価していた可能性があります。
加重平均資本コストには、企業自身の資本構成を反映すべきではない
経営者は、割引率を計算する出発点として自社の加重平均資本コストを用いるかもしれませんが、本基準は、割引率が企業の資本構成から独立していることを確保するために、例えば企業固有の加重平均資本コストについては調整することを要求しています。PwCは、経営者による加重平均資本コストの率3の構成要素に間違いがある事例を見かけます。負債コストが最近行われた借入/リースに基づいていない、または予測期間がかなり長いにもかかわらず短期借入金から負債コストを決定しているなどの間違いです。また、用いられるリスク・フリー・レートが、資金生成単位が営業している地域と異なる地域に関連したものである、または、企業のベータを単純に1としている(すなわち、資金生成単位が市場全体とちょうど歩調を合わせて変化する)と仮定されているなどの間違いも見られます。
経済の不確実性の上昇が加重平均資本コストに及ぼす影響
経済環境の不確実性が高まっている場合には、加重平均資本コストを算定する確立した方法を引き続き用いなければなりません。しかし、評価に用いる各インプットの再評価と全体的な結果の評価が必要です。一般的に、割引率の算定に用いられるインプット(長期のリスク・フリー・レートなど)は過去期間に比べて増加すると、PwCは予想しています(In brief INT2022-20「2022 年12月期末決算においてWACCは変化しているか」(和訳はこちら)をご参照ください。
8) 減損の配分
上記のセクション2で説明されたボトムアップ・アプローチに基づいて実施される減損テストと同じ順序に従って、下記の減損を認識しなければなりません。
i.個々の資産
ii.資金生成単位
iii.資金生成単位グループ(のれんを含む)
のれんを含む資金生成単位グループに減損を配分する場合は、以下のように行います。
i.のれんの残高がゼロになるまで、のれんに減損を配分する
ii.各資産の帳簿価額に基づいた比例按分により、資金生成単位グループの中の他の資産に減損を配分する
のれんが完全に減損した後に、一部の企業は、残余の減損を顧客リスト、ブランド、商標などの無形資産のみに配分していますが、これはIAS第36号の要求事項に沿っていません。のれんの全額減損後に残る残余減損は、有形固定資産、使用権資産および無形資産(のれん以外)を含む、資金生成単位または資金生成単位グループ内のすべての非流動非金融資産に配分しなければなりません。
ただし、資金生成単位グループ内の資産に減損を配分する際に、個別資産の帳簿価額を下記のうち最も高い価額を下回るように減額してはなりません。
i.資産の処分コスト控除後の公正価値
ii.資産の使用価値
iii.ゼロ
9) 親会社の個別財務諸表
のれんの減損がグループレベルで特定された場合、親会社の個別財務諸表においても、関連する子会社に対する親会社の投資の減損検討のトリガーとなる可能性が高いと考えられます。子会社に対する投資の使用価値は、期待配当受取額の現在価値、すなわち、親会社が子会社から引き出すことができるキャッシュ・フロー(子会社がすべての負債を決済した後の残余)によって決定されます。子会社が債務を有していない場合には、子会社の原資産からの見積税引後キャッシュ・フローの現在価値が、この代理数値として使用される可能性があります。そうでない場合、分配可能な純額を算定するために、子会社の原資産からの期待キャッシュ・フローの現在価値から(外部およびグループ会社間の両方の)残存する債務およびリースの契約上のキャッシュ・アウトフローを減額する必要があります。FAQ 24.165.2(和訳はこちら)をご参照ください。
一部の企業は、子会社への投資および子会社への貸付金を合算して減損テストを実施しています。子会社、関連会社およびジョイント・ベンチャーに対する投資はIAS第36号の範囲に含まれていますが、貸付金は減損テストについてIFRS第9号の範囲に含まれるため、これは会計基準の要求事項に沿っていません。IAS第36号のテストは、投資の帳簿価額についてのみ実施されるべきであり、上記パラグラフで説明したように、回収可能価額を減少させるために、子会社への貸付金は、期待キャッシュ・フローの現在価値から減額しなければなりません。
10) 開示
IAS第36号およびIAS第1号には、広範な開示要求事項があります。
主要な仮定、およびそれらの値を決定するための経営者のアプローチを開示しなければなりません。主要な仮定とは、回収可能価額が非常に敏感に反応する仮定をいいます(例えば、収益の成長や利益率に関する仮定)。主要な仮定が、外部の情報源や過去の経験で示されるものと異なる場合には、説明が要求されます。
不確実性が高い時期において、感応度の開示が特に重要です。感応度の開示要求事項は、下記の2つの要素から成ります。
i.IAS第36号第134項(和訳はこちら)では、ヘッドルームがゼロとなるような主要な仮定についての合理的に考え得る変更を開示することが要求されています。
ii.IAS第1号第125項(和訳はこちら)では、翌事業年度中に資産および負債の帳簿価額に重要性がある修正を生じる重大なリスクがある仮定に関する情報の開示が要求されています。
適用日
資産の減損に関する会計基準(IAS第36号)は、近年は大幅な変更はありませんが、最近の経済的な不確実性の高まりによって、既存のガイダンスを適用する複雑さのレベルが高まっています。
詳細な情報
非金融資産の減損に関する詳細なガイダンスは、PwC IFRSマニュアル第24章「資産の減損」(和訳はこちら)をご参照ください。
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1 のれんおよびその他の耐用年数を確定できない無形資産を含む資金生成単位の年次減損テストは、事業年度のいつでも実施できますが、毎年同じ時期に実施しなければなりません。
2 銀行業界を対象としたガイダンスについては、In depth INT2022-09(英語のみ)をご参照ください。
3 WACCレートを決定するために、負債・資本比率には、資金調達の一形態であるIFRS第16号のリース負債の検討事項を組み入れなければならないことにご注意ください。
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