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論点
2023年10月公表の国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」(WEO)では、インフレの現在の水準および予測される水準についてアップデートされたデータが提供されています。2023年4月に提供されたアップデートからの最も大きな変化は、以下に関連するものです。
  • ガーナおよびシエラレオネ(2023年12月31日から、超インフレ経済であるとみなされる)
  • 南スーダン(2023年12月31日から、もはや超インフレ経済とはみなされない可能性がある)
誰にどのような影響があるか
超インフレ経済の国
IMFの「世界経済見通し」によれば、機能通貨が以下のいずれかの国の通貨である企業は、2023年においてIAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」を適用する必要があることが示されています。
  • アルゼンチン
  • エチオピア
  • ガーナ(2023年、新規)
  • ハイチ(2023年3月、新規)
  • イラン
  • レバノン1
  • シエラレオネ(2023年、新規)
  • スーダン
  • スリナム
  • トルコ
  • ベネズエラ
  • イエメン(慎重な注視が必要)
  • ジンバブエ
2022年に超インフレ経済であった全ての国は、2023年も引き続き超インフレ経済です(2023年に超インフレ経済でなくなる可能性のある南スーダンを除く)。イエメンを例外として(以下の解説を参照)、これらの経済の3年間の予想累積インフレ率は、2023年中も引き続き100%を超えると見込まれています。
さらに、ハイチは、2023年3月31日から超インフレ経済であるとみなされました。ガーナおよびシエラレオネは、2023年12月31日から超インフレ経済とみなされます。
ハイチ
ハイチの3年間の累積インフレ率は2023年1月に119%に達しました。2023年10月公表のIMFの「世界経済見通し」では、3年間の累積インフレ率は2023年および2024年において引き続き100%を超え、各年の12月にそれぞれ104%および103%になると見込まれることが示されています。機能通貨がハイチの通貨である企業は、2023年3月31日以後に終了する報告期間にIAS第29号の適用を開始する必要があります。
ガーナ
IMFの「世界経済見通し」では、3年間の予想累積インフレ率の予測が2023年には128%、2024年には133%に上昇することが示されています。現地の実績データ(ガーナ統計サービスが公表)は、この結論を裏付けています。機能通貨がガーナの通貨である企業は、2023年12月31日以後に終了する報告期間にIAS第29号の適用を開始しなければなりません。
シエラレオネ
IMFの「世界経済見通し」では、3年間の予想累積インフレ率の予測が2023年には123%、2024年には130%に上昇し、2023年末には超インフレ経済になることが示されています。現地の実績データ(シエラレオネ統計局が公表)は、この結論を裏付けています。機能通貨がシエラレオネの通貨である企業は、2023年12月31日以後に終了する報告期間にIAS第29号の適用を開始しなければなりません。
イエメン
IMFの「世界経済見通し」では、3年間の累積インフレ率は2022年に110%でしたが、2023年には76%、2024年には34%に下落すると見込まれることが示されています。しかし、信頼できる現地のデータが存在しないため、イエメンが100%の閾値を下回ったか、または今後下回る、したがって、もはや超インフレ経済の対象ではなくなる正確な時点を評価することは困難です。上記に基づき、機能通貨がイエメンの通貨である企業は、2023年12月31日に終了する報告期間についてはIAS第29号を引き続き適用すべきですが、翌年のインフレ率を注視する必要があります。
もはや超インフレ経済ではない可能性のある国
南スーダン
2023年10月公表のIMFの「世界経済見通し」では、3年間の累積インフレ率が2023年には30%、2024年には34%へと大幅に下落すると見込まれることが示されています。したがって、機能通貨が南スーダンの通貨である企業は、2023年にもはや超インフレ経済ではなくなると見込まれるため、2023年12月にIAS第29号の適用を中止しなければなりません。しかし、企業は、現時点から2023年末までの間にこの結論と矛盾する可能性のある重大な事象または状況が生じた場合には、それを考慮しなければなりません。
2023年および2024年において動向を注視すべき国
以下の経済は超インフレ経済ではありませんが、2023年および2024年において動向を注視する必要があります。
  • エジプト(2023年、新規)
  • マラウイ(2023年、新規)
  • ナイジェリア(2023年、新規)
  • パキスタン(2023年、新規)
  • スリランカ
エジプト
2023年10月公表のIMFの「世界経済見通し」では、3年間の累積インフレ率は2023年に100%を十分に下回る見込みであることが示されています。しかし、3年間の累積インフレ率は2024年に93%に上昇すると予測されています。エジプトの通貨は大幅に切り下げられており、2022年、そして2023年に入ってからも高インフレ率となっています。機能通貨がエジプトの通貨である企業は、2023年および2024年のインフレの動向を注視する必要があります。
マラウイ、ナイジェリアおよびパキスタン
2023年10月公表のIMFの「世界経済見通し」では、これらの国々の3年間の累積インフレ率は2023年に72%から83%に、2024年には83%から86%に上昇する見込みであることが示されています。この予測では、これらの国々が翌年に超インフレ経済になることは見込まれていませんが、インフレ率は引き続き高水準で推移しています。機能通貨がマラウイ、ナイジェリアおよびパキスタンの通貨である企業は、2023年および2024年のインフレの動向を注視する必要があります。
スリランカ
2023年10月公表のIMFの「世界経済見通し」では、今回の報告期間以降、信頼性のあるデータが入手できないことが示されています。しかし、スリランカ中央銀行が公表した現地のデータによれば、2023年にインフレ率は前年比で大幅に下落しており、2023年9月における年間インフレ率は1.3%でした。スリランカは、現時点では超インフレ経済とはみなされていませんが、機能通貨がスリランカの通貨である企業は、2023年および2024年のインフレの動向を慎重に注視する必要があります。
超インフレ経済である可能性のあるその他の国(信頼性のある情報の欠如)
以下の国については、一貫した信頼性のあるインフレのデータが入手できない状況となっています。
  • アフガニスタン
  • エリトリア(2023年、新規)
  • クウェート(2023年、新規)
  • シリア・アラブ共和国
機能通貨がこれらの国の通貨である企業は、IAS第29号を適用すべきかどうかを決定するために報告日時点で入手可能な情報を検討する必要があります。
適用日
IAS第29号第4項は、同一の超インフレ経済国の通貨で報告する全ての企業が、同一の日付からIAS第29号を適用することが望ましいと述べています。また、経済が常に超インフレ経済であったかのようにIAS第29号を適用する必要があります。
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1 現在IMFはインフレ予測を公表していません。しかし、3年間の累積インフレ率の実績がIMFによって公表されており、2022年12月時点で1,671%と100%を大きく上回っています。
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