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要点
2023年11月22日、米国証券取引委員会(SEC)は、自己株式の買戻しに関する新たな情報開示と拡大情報開示を義務付けることになる、2023年5月の規則改正の適用日を延期しました。これは、SECが行政手続法に違反したと結論付け、SECに30日以内に規則の不備を是正するよう指示した10月31日の米国連邦控訴裁判所の裁定に従ったものです。このような決定によって変更が生じる可能性があり、裁判所がこの規則を破棄することさえあるため、現時点では本規則がいつどのような形で有効化されるかは不明です。

最新の動向
2023年5月、SECは、米国内の発行企業、外国登録企業(FPI)および上場クローズドエンド型ファンドに対する自己株式の買戻しに関する既存の開示要求を大幅に拡大する修正を採択しました。しかし、10月31日、米国連邦控訴裁判所は、SECが行政手続法に基づく最終規則において、「申立人のコメントに対応しておらず、また適切な費用対効果分析を行っていない」と判決を下しました。その意見書の中で、控訴裁判所は、SEC規則を無効にすることまではせずに、そのかわりSECに対して30日以内に規則の不備を是正するよう指示しました。11月22日、SECは、今後の措置を待つ間、本規則の適用日を30日延期する命令を公表しました。11月26日、控訴裁判所は10月31日の裁定による30日間の期限延長についてのSECの要請を却下しました。この30日の期間は11月30日深夜に終了しました。
2023年5月の修正は、日次の買戻し取引の報告、自己株式の買戻し計画の根拠と目的に関する追加的な報告、およびそのような計画に対するガバナンスを要求しようとしていました。拡充された開示(例えば、月次ではなく日次の取引の開示)は、報告企業の自己株式の買戻し取引についてさらなる透明性を提供するとともに、自己株式の買戻しの目的と影響を評価するための追加的な情報を投資家に提供することを意図しています。2023年5月の修正の詳細は、付録に記載されています。
次のステップ
自社株式の買戻しに関する本規則の発効日は、SECがさらなる措置をとるまで延期されました。SECは11月30日までに控訴裁判所に回答することを求められていました。現時点では控訴裁判所がいつどのようなさらなる措置をとる可能性があるか不明です。当面の間、企業は既存の要求事項に従って自己株式の買戻しを報告することが要求されます。
付録-自己株式買戻しに関する規則に対する2023年5月の修正
本修正は、下記に記載のとおり、日次の買戻し取引や、自己株式買戻し計画およびRule 10b1-5に基づく取引契約に関する追加的な詳細を要求しようとしていました。
日次の自己株式の買戻し取引の報告
米国発行企業およびFPIについては四半期ごとに、上場クローズドエンド型ファンドについては半期ごとに、自己株式の買戻しに関する日次の定量的データについて表形式による開示を提出することが義務付けられることになっていました。報告企業(または、代理人として取引する他の当事者)が自己の登録株式を購入する各日につき、以下を開示することが要求されることになっていました。
  • 株式の種類
  • 購入株式数
  • 1株当たりの平均支払額
  • 公表した計画に基づいて購入した株式数
  • 公表した計画に基づいてさらに購入する可能性のある株式の合計最大数またはドル建の概算金額
  • 公開市場で購入した株式数
  • Rule 10b-18のセーフハーバー規定の要件を満たすことを意図して購入した株式の合計数
  • 「Rule 10b5-1に基づく取引契約」と呼ばれるRule 10b5-1(c)のアファーマティブディフェンス(積極的抗弁)条件を満たすことを意図した計画に基づいて購入した株式の合計数
また、報告企業は、所定の役員および取締役が、自己株式の買戻し計画公表後4営業日以内に、計画の対象となる株式を売買したかどうかを示すことが要求されることになっていました。
米国発行企業または米国内企業用の書式を用いるFPIは、Form 10-QおよびForm 10-Kを用いて四半期報告書および年次報告書の添付書類に表形式で情報を記載することになっていました。FPI用の書式を用いるFPIは、新たな書式であるForm F-SRで報告を行いますが、提出期日は各四半期末日から45日となることになっていました。上場クローズドエンド型ファンドは、Form N-CSRを用いて、年次報告書および半期報告書にこの情報を記載することになっていました。
自己株式買戻し計画に関する開示の拡充
報告企業は、投資家が自己株式の買戻し計画に関するガバナンスや戦略をより良く理解できるように、追加的な情報を開示することになっていました。具体的には、各計画の目的や根拠、買戻金額の決定に用いたプロセスまたは規準、買戻し計画の実行中における役員および取締役による売買に関する方針および手続を開示に含めることになっていました。
Rule 10b5-1に基づく取引契約
Form 10-QおよびForm 10-Kで報告を行う企業は、Rule 10b5-1に基づく取引契約において、直近の四半期の間に採用または終了した重要性のある条件および取引上の取決めを開示することが要求されることになっていました。
構造化されたデータ
本修正では、自己株式の買戻しの開示について、インラインXBRLを使ったタグ付けを行うことを要求されることになっていました。
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