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日本基準トピックス 第424号
主旨
  • 日本経済団体連合会(以下、「経団連」という)は、2021年3月9日に「会社法施行規則および会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)」(以下、「本ひな型」という)を公表しています。
  • 本ひな型は、2019年12月の会社法改正に伴う会社法施行規則等の改正、「時価の算定に関する会計基準」、「収益認識に関する会計基準」、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の公表に伴う会社計算規則の改正を受けて、所要の修正が行われています。
こちらの日本基準トピックスでは、事業報告のひな型の修正を中心に解説します。計算書類および連結計算書類のひな型の修正については、日本基準トピックス第423号をご参照ください。
・原文については、経団連のウェブサイトをご覧ください。
経緯
経団連は、2007年2月9日に、会社法施行を契機に旧商法の下でのいわゆる「経団連ひな型」を全面的に刷新した「会社法施行規則および会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」を公表しました。その後も、規則等の改正にあわせて、随時、改訂されています。
今般、2019年12月の会社法改正に伴い、会社法施行規則等が改正されたこと、「時価の算定に関する会計基準」「収益認識に関する会計基準」「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の公表に伴い、会社計算規則が改正されたこと等から、所要の修正が行われました。
なお、本ひな型は、経済界全体としての統一的なフォームを定めたものではないとされています。したがって、各企業においては、それぞれの事情に応じて、本ひな型を参考資料のひとつとして活用し、創意工夫を凝らした適切な開示により株主・債権者等への説明責任を果たし、もって企業価値向上に繋げることが期待されています。
本ひな型における主な修正
事業報告について、主に以下の修正がなされています。
1.株式に関する事項
(1)事業年度中に会社役員(会社役員であった者を含む)に対して職務執行の対価として交付された株式に関する事項(新設)
当該項目は、会社法施行規則第122条第2号において新設された事項です。記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 事業年度中に事業報告作成会社の会社役員(会社役員であった者を含む)に対して「職務執行の対価として当該会社が交付した」当該会社の株式がある場合、会社役員(会社役員であった者を含む)の区分ごと(以下(ア)~(エ))に株式の種類、種類ごとの数および交付を受けた者の人数をそれぞれ記載する。なお、交付を受けた者の氏名や個人別の交付株式数まで記載する必要はない。
(ア)取締役(指名委員会等設置会社においては取締役および執行役)のうち、監査等委員または社外役員でないもの
(イ)社外役員である社外取締役のうち、監査等委員でないもの
(ウ)監査等委員である取締役
(エ)取締役および執行役以外の会社役員(監査役および会計参与)
  • また、事業報告作成会社の株式を職務執行の対価として直接交付する場合(会社法第202条の2)のみならず、事業報告作成会社が会社役員に対して職務執行の対価として当該会社の募集株式と引換えにする払込みに充てるための金銭を交付し、当該金銭の払込みと引換えに株式を交付した場合も記載の対象となるが、両者を区別して記載する必要はない。
  • 記載の要否は「事業年度中に交付した」か否かで判断される。したがって、事前交付型の譲渡制限付株式については、譲渡制限の解除に関わらず交付された時点で記載が必要となり、事後交付型の株式報酬(株式交付信託を含む)については、具体的な交付予定が存在したとしても、実際に交付されるまで記載を要しない。
2.会社役員に関する事項
会社役員に関する事項について、事業報告で記載対象となる会社役員は、記載事項によりその範囲が異なります。記載事項は、在任時期の限定が付されているものと、在任時期の限定が付されていないものに区分されます。
会社役員に関する記載事項のうち、在任時期の限定が付されているものに、補償契約に関する事項が追加されました。補償契約の記載については、2.(1)をご参照ください。
会社役員に関する記載事項のうち、在任時期の限定が付されていないものとして以下が追加され。各項目の記載については、2.(2)から2.(9)をご参照ください。
  • 補償契約に基づく補償に関する事項(当該事業年度の前事業年度の末日までに退任した者を含む)(2.(2)参照)
  • 役員等賠償責任保険契約に関する事項(2.(3)参照)
  • 取締役、会計参与、監査役または執行役ごとの報酬等の総額(業績連動報酬等、非金銭報酬等、それら以外の総額)(2.(4)参照)
  • 業績連動報酬等に関する事項(2.(5)参照)
  • 非金銭報酬等に関する事項(2.(6)参照)
  • 報酬等に関する定款の定めまたは株主総会決議に関する事項(2.(7)参照)
  • 各取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬等の額の決定の委任に関する事項(2.(9)参照)
当該事業年度において在任していない会社役員について記載が求められる可能性がある事項は、以下のものに限られます。
  • 事業報告作成会社が会社役員に対して補償契約に基づき会社法第430条の2第1項第1号の費用を補償した場合において、当該事業報告作成会社が、当該事業年度に、当該会社役員が同号の職務の執行に関し法令の規定に違反したことまたは責任を負うことを知ったときには、当該会社役員が事業報告の対象となる事業年度において全く在任していなかった会社役員についてであっても、知った旨を事業報告に記載する必要がある。
  • 当該事業年度において、事業報告作成会社が会社役員に対して補償契約に基づき会社法第430条の2第1項第2号の損失を補償した場合、当該会社役員が事業報告の対象となる事業年度において全く在任していなかった会社役員に対するものであっても、補償した旨および補償した金額を記載する必要がある。
  • 各会社役員の報酬等の額またはその算定方法に係る決定方針に関する事項(会社法施行規則第121条第6号および第6号の2)として、どの時点において存在する方針について記載すべきかについては、事業報告の作成時または当該事業年度末日のいずれの考え方もあり得ると考えられる。ただし、いずれの考え方による場合であっても、当該事業年度に係る取締役または執行役の個人別の報酬等の内容が当該方針に沿うものであると取締役会が判断した理由の記載が求められていることから、事業年度中または事業年度末日後に当該方針について変更があった場合には、変更前の当該方針についても当該理由の説明のために必要な記載をすることが考えられる。
(1)補償契約に関する事項(新設)
当該項目は、会社法施行規則第121条第3号の2において新設された事項です。記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 事業報告作成会社が取締役、監査役または執行役との間で補償契約(会社法第430条の2第1項の契約)を締結している場合には、(ア)契約の相手方の氏名および(イ)当該契約の内容の概要を記載する。
  • 「契約の内容の概要」としては、補償の対象(会社法第430条の2第1項各号のいずれの事項が補償の対象となるか)を記載することが考えられるが、これに加えて、契約によって当該取締役、監査役または執行役の職務の適正性が損なわれないようにするための措置を講じている場合には、その内容をも記載する。
(2)補償契約に基づく補償に関する事項(新設)
当該項目は、会社法施行規則第121条第3号の3および第3号の4において新設された事項です。記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 補償契約を締結した事業報告作成会社が会社役員(取締役、監査役または執行役に限る)に対して補償契約に基づき補償を行った場合、その内容に応じて以下の事項を記載する。
(ア)会社法第430条の2第1項第1号の費用を補償した場合
事業報告作成会社が、当該事業年度において、当該会社役員が同号の職務の執行に関し法令の規定に違反したことまたは責任を負うことを知ったときは、その旨
(イ)会社法第430条の2第1項第2号の損失を補償した場合
その旨および補償した金額
  • (ア)に該当する場合、当該事業年度において、「補償契約に基づき補償をした会社役員」が会社法第430条の2第1項第1号の職務の執行に関し、「法令の規定に違反したこと」または「責任を負うこと」のいずれを知ったのかを明らかにして記載する必要があるが、費用の補償を受けた会社役員の氏名や法令違反等に該当する事実の概要等までを記載する必要はない。
  • (イ)に該当する場合、当該事業年度中に同一の事由に関して複数の会社役員に対して損失を補償したときであっても、個別の会社役員ごとに記載する必要はなく、当該会社役員らに対して補償した旨および補償した金額の合計額をまとめて記載すれば足りる。なお、会社法第430条の2第1項第2号イまたはロの損失のいずれを補償したかを明らかにして記載する必要があるが、損失の補償を受けた会社役員の氏名や損失の具体的な内容等を記載する必要はなく、補償契約に基づき会社役員に対して会社法第430条の2第1項第2号イ(またはロ)に掲げる損失を補償した旨を記載すれば足りる。
(3)役員等賠償責任保険契約に関する事項(新設)
当該項目は、会社法施行規則第121条の2において新設された事項です。記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 事業報告作成会社が保険者との間で役員等賠償責任保険契約を締結している場合、以下の事項を記載する。
(ア)当該役員等賠償責任保険契約の被保険者の範囲
(イ)当該役員等賠償責任保険契約の内容の概要(被保険者が実質的に保険料を負担している場合にはその負担割合、塡補の対象とされる保険事故の概要および当該役員等賠償責任保険契約によって被保険者である役員等(当該株式会社の役員等に限る)の職務の執行の適正性が損なわれないようにするための措置を講じている場合にはその内容を含む)
  • (ア)については、当該役員等賠償責任保険契約の保険契約者である事業報告作成会社の役員等でない者が被保険者に含まれている場合、当該役員等でない者も記載の対象となる。被保険者の氏名の記載までは要しないが、被保険者の範囲等の記載により、被保険者となる者が特定できることが必要である。
  • (イ)の「役員等賠償責任保険契約の内容の概要」については、当該役員等賠償責任保険契約の内容の重要な点(特約がある場合には、主契約と特約を合わせた契約全体の重要な点)を理解するに当たり必要な事項を記載することが求められ、「塡補の対象とされる保険事故」の概要としては、その重要な点を理解するに当たり必要な事項を記載することが求められる。
  • (イ)の「被保険者である役員等の職務の執行の適正性が損なわれないようにするための措置」の一例としては、役員等賠償責任保険契約に免責額についての定めを設け、一定額に至らない損害については塡補の対象としないこととすることなどが考えられるが、特段の措置を講じていない場合には、記載を要しない。
  • 記載の対象となる役員等賠償責任保険契約の範囲については、事業報告の対象とする事業年度の初日から末日までに有効であった全ての役員等賠償責任保険契約に関する記載が必要となる。
(4)取締役、会計参与、監査役または執行役ごとの報酬等の総額(業績連動報酬等、非金銭報酬等、それら以外の報酬等の総額) (変更)
当該項目は、会社法施行規則第121条第4号および第5号に対応する事項であり、本ひな型で記載事項が変更されました。従前のひな型では、会社役員に支払った報酬その他の職務執行の対価である財産上の利益の額を取締役および監査役ごとに区分して、それぞれの総額と員数を記載するとされていました。しかし、会社法施行規則の改正により、取締役、会計参与および監査役または執行役の報酬等に関する記載事項が拡充されて、区分して開示することが要求されています。
記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 会社役員に支払った報酬その他の職務執行の対価である財産上の利益(以下「報酬等」という)の額を(ア)業績連動報酬等、(イ)非金銭報酬等、(ウ)それら以外の報酬等の種類別に、かつ、取締役、会計参与および監査役(監査等委員会設置会社の場合は、監査等委員である取締役以外の取締役および監査等委員である取締役並びに会計参与、指名委員会等設置会社の場合は取締役および執行役並びに会計参与)ごとに区分して、それぞれの総額と員数を記載する。
    • 「業績連動報酬等」とは、報酬等のうち、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の当該株式会社またはその関係会社(会社計算規則第2条第3項第25号に規定する関係会社をいう。)の業績を示す指標(連結業績を示す指標を含む。)を基礎としてその額または数が算定されるものである(会社法施行規則第98条の5第2号)。
    • 「非金銭報酬等」とは、報酬等のうち、金銭でないもの(募集株式または募集新株予約権と引換えにする払込みに充てるための金銭を取締役の報酬等とする場合における当該募集株式または募集新株予約権を含む。)である。
    • 「それら以外の報酬等」とは、報酬等のうち、上記いずれにも該当しないものであるが、典型的には、固定額の金銭報酬などがこれに該当する。
  • 報酬等について、(ア)から(ウ)までの区分に応じてその総額を記載することが求められるが、それぞれの区分の中に複数の種類の報酬(株式報酬とストック・オプションなど)が含まれている場合でも、その内訳等を示す必要はなく、区分ごとの総額を開示することで足りる。
(ア)から(ウ)が区分して記載されていればよく、その具体的内容が分かる限りにおいて、それぞれにつき異なる名称を用いる((ウ)について「基本報酬」や「固定報酬」とする)ことでも差し支えない。
(5)業績連動報酬等に関する事項(新設)
当該項目は、会社法施行規則第121条第5号の2において新設された事項です。記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 報酬等に業績連動報酬等が含まれている場合には、当該業績連動報酬等について次の事項を記載する必要がある。
(ア)当該業績連動報酬等の額または数の算定の基礎として選定した業績指標の内容および当該業績指標を選定した理由
(イ)当該業績連動報酬等の額または数の算定方法
(ウ)当該業績連動報酬等の額または数の算定に用いたイの業績指標に関する実績
  • (ア)の業績指標の内容については、当該業績連動報酬等が会社役員に適切なインセンティブを付与するものであるかを判断するために必要な記載が求められるが、当該業績連動報酬等の算定の基礎として選定された全ての業績指標を網羅的に記載するこことが必ずしも求められるものではない。
  • (イ)の業績連動報酬等の額または数の算定方法については、業績連動報酬等と業績指標との関連性等、業績連動報酬等の算定に関する考え方を株主が理解することができる程度の記載が求められるが、計算式を記載することや、株主が開示された業績指標に関する実績等から業績連動報酬等の具体的な額または数を導くことができるような記載が必ずしも求められるものではない。
(6)非金銭報酬等に関する事項(新設)
当該項目は、会社法施行規則第121条第5号の3において新設された事項です。記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 報酬等に非金銭報酬等が含まれている場合には、当該非金銭報酬等の内容を記載する必要がある。非金銭報酬等の内容としては、当該非金銭報酬等によって会社役員に対して適切なインセンティブが付与されているかを株主が判断するために必要な程度の記載が求められる。例えば、株式報酬の場合、当該株式の種類、数や当該株式を割り当てた際に付された条件の概要等を記載することが考えられる。
(7)報酬等に関する定款の定めまたは株主総会決議に関する事項(新設)
当該項目は、会社法施行規則第121条第5号の4において新設された事項です。記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 会社役員の報酬等についての定款の定めまたは株主総会の決議による定めがある場合、それぞれにつき、以下の事項を記載する必要がある。
(ア)当該定款の定めを設けた日または当該株主総会の決議の日
(イ)当該定めの内容の概要
(ウ)当該定めに係る会社役員の員数
  • (ウ)の会社役員の員数については、(ア)の定款の定めが設けられ、または株主総会の決議がされた時点において、それらの定めの対象とされていた会社役員の員数を記載する必要がある。
  • なお、会社役員の報酬等であっても、当該報酬等についての定款の定めまたは株主総会の決議による定めがない場合には、記載は不要である。
(8)各会社役員の報酬等の額またはその算定方法に係る決定方針に関する事項(変更)
会社法施行規則第121条第6号および第6号の2に対応する事項です。本ひな型では新たに当該事業年度に係る取締役の個人別の報酬等の内容が当該方針に沿うものであると取締役会が判断した理由(以下(ウ))の記載が要求されました。記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 株式会社において、各会社役員の報酬等の額またはその算定方法に係る決定方針(会社法第361条第7項の方針または会社法第409条第1項の方針)を定めているときは、以下の事項を記載します。
(ア)当該方針の決定の方法
(イ)その方針の内容の概要
(ウ)当該事業年度に係る取締役(監査等委員である取締役を除き、指名委員会等設置会社にあっては、執行役等)の個人別の報酬等の内容が当該方針に沿うものであると取締役会(指名委員会等設置会社にあっては、報酬委員会)が判断した理由
  • また、会社法第361条第7項の方針または会社法第409条第1項の方針の対象外である会社役員(監査等委員である取締役、監査役または会計参与)の報酬等の額またはその算定方法に係る決定に関する方針が任意に定められている場合、当該方針の決定の方法およびその方針の内容の概要についても事業報告に記載する必要がある。
  • (ア)の「当該方針の決定の方法」としては、取締役会の決議により決定したこと等に加えて、例えば、方針を決定するに当たって任意に設置した報酬諮問委員会の答申を得たことや外部の専門家の助言を受けたことなど、当該方針を決定する過程に関する重要な事実があれば、それを記載することが考えられる。
  • (イ)の方針の内容の概要について、その記載の順序等について特に定めはなく、また、「概要」であることから、会社法施行規則第98条の5各号の事項を網羅的に記載しなければならないわけでもない。そのため、会社が定めたいわゆる報酬プログラムや報酬ポリシーの中に同条各号に掲げる方針の内容の概要が含まれていれば、報酬プログラムや報酬ポリシーとしてまとめて開示することもできる。
  • (ウ)の記載は、取締役の個人別の報酬等の内容についての決定の全部または一部を取締役その他の第三者に委任する場合にも必要となる。
  • 事業報告に方針について記載する場合、どの時点において存在する方針について記載すべきかは、事業報告の作成時または当該事業年度末日のいずれの考え方もあり得ると考えられる。ただし、事業年度中または事業年度末日後に当該方針について変更があった場合には、変更前の当該方針についても、当該事業年度に係る取締役または執行役の個人別の報酬等の内容が当該方針に沿うものであると取締役会が判断した理由の説明のために必要な記載をすることが考えられる。
(9)各会社役員の報酬等の額の決定の委任に関する事項(新設)
当該項目は、会社法施行規則第121条第6号の3において新設された事項です。記載方法の説明において主に以下の点が示されています。
  • 株式会社が当該事業年度の末日において取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)である場合において、取締役会から委任を受けた取締役その他の第三者が当該事業年度に係る取締役(監査等委員である取締役を除く。)の個人別の報酬等の内容の全部または一部を決定したときは、その旨および以下の事項を記載する。
(ア)当該委任を受けた者の氏名並びに当該内容を決定した日における当該株式会社における地位および担当
(イ)(ア)の者に委任された権限の内容
(ウ)(ア)の者に(イ)の権限を委任した理由
(エ)(ア)の者により(イ)の権限が適切に行使されるようにするための措置を講じた場合にあっては、その内容
  • (ア)について、社外取締役から構成される任意の報酬委員会が取締役の個人別の報酬等の内容の全部または一部を決定したときは、当該委員会の各構成員が「当該委任を受けた者」に該当するものとして(ア)の事項を記載する。
  • (エ)に該当する措置を講じていない場合には、特段の記載を要しない。
(10)社外取締役を置くことが相当でない理由(削除)
従前のひな型では、一定の要件に該当する場合、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を記載することが求められていました(旧会社法施行規則第124条第2項、第119条第2号)。
会社法の改正により、一定の株式会社は社外取締役を置くことが義務付けられたことに伴い、本ひな型では当該項目に関する記載が削除されています。
3.会計監査人に関する事項
(1)責任限定契約に関する事項(変更)
事業報告作成会社が会計監査人との間で責任限定契約を締結している場合には、契約の相手方と共に、当該契約の内容の概要を記載します(会社法第126条第7項)。当該記載は、事業報告作成会社が取締役または監査役との間で責任限定契約(会社法第427条第1項の契約)を締結している場合に準じた記載となります。
ただし、会計監査人の場合、責任限定契約に関する事項について、「直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していた者に限る」との限定がないことから、事業年度の初日から末日までの間に在任した者(途中で辞任、解任された者を含む)に関する記載も必要となります。
また、会計監査人の場合、取締役、監査役、執行役とは異なり、記載が要求される会社は、公開会社に限られません。
(2)補償契約に関する事項、補償契約に基づく補償に関する事項(新設)
当該項目は、会社法施行規則第126条第7号の2から第7号の4において新設された事項です。上述の「2.会社役員との事項」における(1)補償契約に関する事項および(2)補償契約に基づく補償に関する事項に準じた記載となります。
こちらの事項についても、会計監査人の場合、補償契約に関する事項について、「直前の定時株主総会の終結の日の翌日以降に在任していた者に限る」との限定がないことから、事業年度の初日から末日までの間に在任した者(途中で辞任、解任された者を含む)に関する記載も必要となります。
また、会計監査人の場合、取締役、監査役、執行役とは異なり、記載が要求される会社は、公開会社に限られません。
本ひな型の修正に関連する会社法施行規則の改正に係る適用時期
「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号)等の施行に伴う「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(令和2年法務省令第52号)の施行日である2021年3月1日以後に事業年度の末日を迎える場合の事業年度に関する事業報告およびその附属明細書から適用されます。
ただし、補償契約および役員等賠償責任保険契約に関する記載については、施行日以後に締結された契約について適用されます。また、施行日前に末日が到来した事業年度のうち最終のものに係る事業報告においては、社外取締役を置くことが相当でない理由の記載が求められます。
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