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日本基準トピックス 第458号
主旨
  • 2023年2月8日、企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」とする)は、実務対応報告公開草案第64号「グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い(案)」(以下、「本公開草案」とする)を公表しました。
  • 本公開草案は、令和5年度税制改正において創設予定の、グローバル・ミニマム課税に対応する法人税に係る規定(以下、「グローバル・ミニマム課税制度」とする)について、改正法人税法の成立日以後に終了する連結会計年度および事業年度の決算(四半期(連結)決算を含む)に係る税効果会計の適用に関して、当面の間、グローバル・ミニマム課税制度の影響を反映しないことを提案しています。
  • 本公開草案についてのコメントの提出期限は2023年3月3日とされています。
  • 原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。
経緯
令和5年度税制改正において、グローバル・ミニマム課税に対応する法人税が創設される予定であり、グローバル・ミニマム課税制度を含めた税制改正法案が国会に提出されています。改正法人税法が成立した場合、グローバル・ミニマム課税制度の施行日以後においてその適用が見込まれる企業は、改正法人税法の成立日以後に終了する連結会計年度および事業年度の決算(四半期(連結)決算を含む)において、グローバル・ミニマム課税制度を前提として税効果会計を適用するか否かを検討する必要があります。
しかし、その対応については実務上困難であるとの意見が聞かれたことから、ASBJでは、当面の間、必要と考えられる特例的な取扱いを示すこととし、本公開草案において、グローバル・ミニマム課税制度に基づく税効果会計の適用に関する当面の取扱いを提案しました。
主な内容
本公開草案における主な提案の内容は、以下のとおりです。
1.範囲
  • 本公開草案が提案する実務対応報告は、企業会計審議会が1998年10月に公表した「税効果会計に係る会計基準」(以下、「税効果会計基準」とする)が適用される連結財務諸表および個別財務諸表に適用する。
  • 実務対応報告を適用する範囲については、決算日において、グローバル・ミニマム課税制度の施行日以後その適用が見込まれる企業 1とすることも考えられた。しかし、グローバル・ミニマム課税制度の施行日以後その適用が見込まれるか否かの判断について、企業が適時にかつ適切に行えるか懸念があるとの意見が聞かれたことから、税効果会計基準が適用される連結財務諸表および個別財務諸表に一律に適用することとし、グローバル・ミニマム課税制度の適用が見込まれるか否かについての判断を企業に求めないこととした。
2.会計処理
  • 改正法人税法の成立日以後に終了する連結会計年度及び事業年度の決算(四半期(連結)決算を含む)における税効果会計の適用にあたっては、当面の間、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」の定めにかかわらず、グローバル・ミニマム課税制度の影響を反映しない。
  • 当該特例的な取扱いは一律に適用することとし、原則的な取扱いとの選択適用は認めない。これは、グローバル・ミニマム課税制度を前提とした税効果会計については、現行の枠組みにおいて適用すべきか否かが明らかではないと考えられること、さらに、仮に税効果会計を適用する場合、グローバル・ミニマム課税制度に基づく税効果会計の会計処理については明らかではないと考えられる点があることを踏まえ、また、企業間の比較可能性等の観点を考慮したものである。
3.開示
  • 本公開草案が提案する実務対応報告は、主として2023年3月期決算に向けた短期的な対応をその目的としていることから、開示については求めない 2
適用時期等
本公開草案が提案する実務対応報告は、公表日以後適用するとされています。
なお、本公開草案は、グローバル・ミニマム課税に関する改正法人税法が成立した後に実務対応報告を公表することを前提としており、仮にグローバル・ミニマム課税に関する改正法人税法が 2023年3月31日までに成立した場合には、成立後、2023年3月31日までに実務対応報告を公表することが想定されています。
_______________________________________________________________
1 改正法人税法では、グローバル・ミニマム課税制度の適用は 2024年4月1日以後開始する事業年度からとされ、その課税の範囲は企業グループ等のうち、各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ相当額以上であるもの等とされる予定である。
2 国際会計基準審議会(IASB)が、2023 年1月に公表した IASB 公開草案「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール(IAS 第12号の修正案)」においては、経済協力開発機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールの適用から生じる繰延税金資産および繰延税金負債の会計処理に関して、国際会計基準(IAS)第12号「法人所得税」の要求事項からの一時的な例外を設け、一定の事項の開示を提案している。
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