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日本基準トピックス 第477号
主旨
  • 金融庁は、2018年から毎年、「記述情報の開示の好事例集」を公表しており、当年度においても、2023年12月27日、「記述情報の開示の好事例集2023」(以下、本好事例集という)を公表しました。
  • 本好事例集は、投資家・アナリスト・有識者および企業により構成される勉強会で議論された開示例を取りまとめたものです。特に、2023年1月に改正された「企業内容等の開示に関する内閣府令」において、有価証券報告書等にサステナビリティに関する考え方および取組の記載欄が新設されたことを踏まえ、有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方および取組に関する開示例を示しています。
  • 2024年3月8日には、追加で「コーポレート・ガバナンスの状況等」および「経営上の重要な契約等」に関する開示の好事例や、好事例集で採り上げている各テーマに関連する中堅中小上場企業の開示例が公表されました。
  • 原文については、金融庁のウェブサイトをご覧ください(当初公表3月8日更新)。
「記述情報の開示の好事例集2023」について
本好事例集は、以下の項目で構成されています。
  • はじめに ~「記述情報の開示の好事例集」の構成・使い方~
  • 投資家 ・アナリスト・有識者が期待する開示を充実化させるための取組み(追加)
  • 有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方及び取組の全般的な開示のポイント
  • 有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方及び取組に関する開示例
1.全般的要求事項
2.気候変動関連等
3.人的資本、多様性等
4.人権
5.個別テーマ
  • 有価証券報告書のコーポレート・ガバナンスの状況等ほかの開示例(追加)
6.コーポレート・ガバナンスの概要(追加)
7.監査の状況(追加)
8.株式の保有状況(追加)
9.経営上の重要な契約等(追加)
  • 中堅中小上場企業の開示例(追加)
本好事例集では項目ごとに各社の好事例を示しており、さらに「投資家・アナリスト・有識者が期待する主な開示のポイント」および「好事例として採り上げた企業の主な取組み」を掲載しています。一例として、2. 気候変動関連等においては以下の事項が示されています。
投資家・アナリスト・有識者が期待する主な開示のポイント
  • TCFDにおいてもScope3が求められており、開示がない場合には「開示に消極的で劣後している」と見られるため、Scope3についても開示することが有用
  • 気候変動の開示においては、Scope3の開示に加えて、シナリオ分析を行うにあたっての前提条件や想定期間の明示、機会とリスクの事業インパクト、目標値の5つの開示が重要な要素になる
  • シナリオ分析においては、自社に関係のある情報をシナリオに反映することにより、分析の過程や結果が分かりやすく納得感のあるものになるため有用
  • シナリオ分析等において、データソースを開示することは有用
  • 生物多様性や水資源等は、TCFDの次の重要なテーマであり、積極的に開示していくことは有用
  • 自然資本を使っている業界にとっては、気候変動、水リスクや生物多様性等の自然資本は相互に関連しているため、3つのリスクを同時に開示することが有用
  • 自然資本や水リスクの場合、地域をどのようにリスクマネジメントするかが重要であるため、拠点ごとの評価が有用
好事例として採り上げた企業の主な取組み(各社の取組みから項目ごとに抜粋)
経緯や問題意識
(西松建設株式会社)
  • 2021年度から、TCFD提言に則った気候関連情報開示に向けた取組みを開始した。
  • サステナビリティに関する開示の導入を契機に、部署単位ではなく、全社的に体系立てて対応をする必要性を認識した。
プロセスの工夫等
(キリンホールディングス株式会社)
  • 将来展望であるサステナビリティ情報を、有価証券報告書にどこまで掲載するかについては、社内で議論が分かれた。サステナビリティ情報に関する事実を報告するという内容ではなく、予定計画を掲載することが、有価証券報告書に掲載する情報として適しているのかどうかという点を議論した。
  • 上述のとおり、先行開示に対する考え方があったことに加え、他媒体で既に開示を進めていた内容であったこと、経営層の後押しも得られたことから、開示に至ることが出来た。
充実化のメリット等
(株式会社ニッスイ)
  • これまでサステナビリティにおける取組みの詳細は主にウェブサイトやサステナビリティレポートを中心に開示しており、有価証券報告書には要点を記載していた。記載を拡充したことで、読んでもらえる機会が増えたと感じている。
統合報告書等との棲み分け
(株式会社デンソー)
  • 有価証券報告書ではTCFDの主要な情報を開示している(株主や投資家から期待が高い定量情報は暫定値で開示)。
  • 統合報告書ではTCFDのフル情報を開示している(定量情報は確定値を開示)。
全文については、金融庁のウェブサイトをご覧ください(当初公表3月8日更新)。
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