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要約
ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)および類似の金利指標の改革(以下、「IBOR改革」)は、ほぼすべての業種のほぼすべての企業に影響を及ぼします。この改革は数年間にわたって実施される見込みですが、短期的には財務報告、特にヘッジ会計に影響を及ぼす可能性があります。国際会計基準審議会(IASB)が最近公表した公開草案に示されている修正案は、特定の救済措置を提供していますが、これらはまだ最終化および発効されていません。しかし、現在の市場の状況を考慮すると、PwCの見解として、IBOR改革は2019年6月30日現在では一般的に、現行のIFRSに基づくヘッジ会計の終了をもたらさないでしょう。また、欧州銀行間取引金利(Euribor)やユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)に対する変更が2019年下半期に予測されていますが、これらも、2019年6月30日現在の会計処理に影響を及ぼさないでしょう。
論点
金融危機後、LIBORや他の銀行間取引金利(「IBOR」)のようなベンチマーク金利の置き換えが、世界各国の規制当局にとっての優先事項となりました。多くの不確実性が残されていますが、この置き換えへの道筋が明らかになってきています。IBORに基づく契約は、金融機関と企業の双方に広く存在するため、ベンチマーク金利の変更はIFRSに基づく財務報告に重要な影響を及ぼす可能性があります。
IASBは、IBOR改革の影響に救済を与えるとすればどのような救済が考えられるかを、2つのフェーズに分けて検討するプロジェクトを有しています。フェーズ1では、IBOR改革の実施前の期間におけるヘッジ会計の救済措置を検討しており、これが2019年5月の公開草案の公表につながりました。しかし、この救済措置が最終化され発効するまで、現行のIFRSに基づくヘッジ会計にIBORの置き換えに関連する不確実性が影響を及ぼすか否かを検討する必要があります。 さらに、2019年下半期には、1)Euriborの集計方法が変更され、より多くの実取引に基づく金利を計算に含める、2)EONIAの計算方法が変更され、より多くの取引量に基づいているESTER(ユーロ短期金利)+固定スプレッドとして算出されると予測されています。
誰にどのような影響があるか
以下に詳細に述べるように、PwCは、IBOR改革は2019年6月30日現在では一般的に、現行のIFRSに基づくヘッジ会計の終了をもたらさないと考えています。しかし、ヘッジの非有効部分は引き続きIFRS第9号およびIAS第39号の下で損益計算書に計上されることになるでしょう。
「可能性が非常に高い」という要求事項
IFRS第9号およびIAS第39号に基づくキャッシュ・フロー・ヘッジ会計は、ヘッジ対象の将来キャッシュ・フローが発生する「可能性が非常に高い」ことを要求しています。これらのキャッシュ・フローがIBORに依存している場合(例えば、発行した負債の将来のLIBORに基づく金利支払を、金利スワップでヘッジしている場合)、関連するIBORの公表中止が予想される日を超えて、キャッシュ・フローが発生する「可能性が非常に高い」とみなすことができるかどうかという疑問が生じます。
PwCは、いくつかの理由により、2019年6月30日現在の財務報告について、IBORに基づく将来キャッシュ・フローが発生する「可能性が非常に高い」とみなすことができると考えています。第一に、IBORに基づくキャッシュ・フローが代替的な変動ベンチマーク金利に置き換えられないことを意味する条項(例えば、関連するIBORが終了した場合にヘッジ対象の契約が終了する条項、または金利が固定になる条項)が存在しない限り、ヘッジ対象にはIBORが置き換えられた後も契約上の変動金利のキャッシュ・フローが発生します。第二に、金利の置き換えが起きた場合(例えば、ヘッジ対象の負債がGBP(英ポンド) LIBOR+X%払いから英ポンド翌日物平均金利(SONIA)+Y%払いに変更された場合)、Yは両当事者の価値移転を最小化するように設定され、その結果、変更前後のキャッシュ・フローが概ね等しくなるという見込みが存在します。
「将来に向かっての評価」(「経済的関係」と「非常に有効」なヘッジ)
IFRS第9号およびIAS第39号は、ヘッジ会計を適用するために将来予測的な評価を要求しています。IFRS第9号は、ヘッジ対象とヘッジ手段との間に「経済的な関係」があることを要求しており、また、IAS第39号は、ヘッジが「非常に有効」であると見込まれることを要求しています。
上記の「可能性が非常に高い」という要求事項で説明された理由と同様の理由により、IBORの契約条件の置き換えで予想されるベーシスは、2019年6月30日現在のIAS第39号に基づく報告の目的上、非有効部分を最小化するでしょう。同様の理由により、IBOR改革により、2019年6月30日現在でIFRS第9号に基づくヘッジ対象とヘッジ手段の間の経済的な関係がなくなるとは考えられません。
リスク要素
一部のヘッジにおいて、ヘッジ対象またはヘッジ対象リスクは、契約上特定されていないIBORリスク要素である場合があります。1つの例は、固定利付負債に対する公正価値ヘッジで、ヘッジ指定されたリスクがIBORの変動に起因する負債の公正価値の変動である場合です。ヘッジ会計を適用するために、IFRS第9号およびIAS第39号は、指定されたリスク要素が独立に識別可能かつ信頼性をもって測定可能であることを要求しています。
上記の「可能性が非常に高い」という要求事項で説明された理由と同様の理由により、(キャッシュ・フローまたは公正価値ヘッジの)ヘッジ対象リスクがIBORの契約条件に関して指定されている場合、2019年6月30日現在の財務報告の目的上、IBORは、現在の市場構造の観点からヘッジ可能なリスク要素であると判断できると考えられます。
EURIBORとEONIAの変更
2019年下半期に見込まれるEuribor および EONIAに対する変更は、契約の条件変更は伴わず、より多くの取引をより適切に反映する金利になるよう意図されています。この理由から、PwCは、償却原価ベースの金融商品について、これらの変更はIFRS第9号B5.4.5項を適用して会計処理すべきであると考えています。この場合、単に、実効金利を計算するために用いられる変動金利が更新され、これに伴い、報告される利息収入または利息費用も更新されます。その結果、これらの変更に関して、2019年6月30日現在で変更が予測されていることにより、また、変更時においても、条件変更による利得または損失は発生しません。同様の理由により、Euribor またはEONIAの契約条件に関して指定されているヘッジは、これらの変更のために認識を中止する必要はありません。
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