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2021/07/29 IFRS第17号とIFRS第9号の適用開始－比較情報【速報解説】
公表日: 2021年07月29日
jp 速報解説（In brief）
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要点
2021年7月28日、国際会計基準審議会（IASB）は、「国際財務報告基準（IFRS）第17号とIFRS第9号の適用開始－比較情報」と題する公開草案を公表し、IFRS第17号「保険契約」の移行に関する要求事項への狭い範囲の修正を提案しました。本修正案は、IFRS第17号とIFRS第9号「金融商品」を同時に適用開始する企業に影響を与える可能性があります。ただし、適用は任意です。
本修正案は、IFRS第17号およびIFRS第9号の適用開始時に表示する比較情報の比較可能性および有用性を向上させます。本修正の適用により、企業は、IFRS第9号について修正再表示されていない金融資産の比較情報を、IFRS第9号の分類および測定の要求事項を当該資産に適用しているかのように表示する取扱いが認められます。
公開草案のコメント期間は2021年9月27日に終了します。IASBは、その結果を受けて、2021年末までに修正案を最終化させる予定です。
論点
多くの保険会社が、2023年1月1日以後に開始する事業年度に、IFRS第17号とIFRS第9号の適用を開始します。IFRS第17号およびIFRS第9号の移行に関する要求事項が異なる日に対して適用され、その結果として、IFRS第17号とIFRS第9号の適用開始時に表示する比較情報において下記のような一時的な分類の相違が生じます。
- 現在価値で測定される保険契約負債と償却原価で測定される関連する金融資産との間の会計上のミスマッチ
- 企業がIFRS第9号について比較情報の修正再表示を選択する場合、比較期間において認識の中止が行われた金融資産（IFRS第9号は適用されない）とその他の金融資産（IFRS第9号が適用される）との間の分類の相違
提案されている狭い範囲の修正では、分類の上書きによる移行アプローチが追加されています。このアプローチは、保険会社から提起された、IFRS第17号およびIFRS第9号の適用開始時に表示する比較情報において生じる可能性のある一時的な分類の相違に関する懸念への対応が意図されています。
誰がどのような影響を受けるか
本修正案は、IFRS第17号とIFRS第9号を同時に適用開始する企業にのみ適用が認められます。そのような企業は、比較情報の表示の目的上、IFRS第9号に基づく比較情報の修正再表示を行わない金融資産について、分類の上書きの適用が認められます。本修正案は、以下の金融資産に適用可能となります。
- IFRS第9号に基づき比較情報を修正再表示する企業については、比較期間において認識の中止を行った金融資産
- IFRS第9号に基づき比較情報を修正再表示しない企業については、保険契約負債に関連した活動について保有する金融資産
任意による分類の上書きは、以下のように適用されます。
- 任意適用である。
- IFRS第9号について修正再表示を行っていない金融資産についてのみ、金融商品ごとに適用可能である。
- 企業は、IFRS第9号の分類および測定に関する要求事項が当該金融資産に適用されていたかのように比較情報を表示できる。
- 金融資産に分類の上書きを適用する企業に対して、企業がIFRS第9号の適用開始時に当該金融資産をどのように分類するかを決定するために、比較対象期間において入手可能な合理的で裏付け可能な情報の利用を要求する。
- IFRS第9号の減損に関する要求事項の適用を企業に要求しない。
- 保険契約に関連付けられていない金融資産には適用しない。
- IFRS第17号の移行日（すなわち、適用開始日の直前の事業年度の期首）より前の期間の比較情報には適用しない。
本公開草案は、IFRS第9号における移行に関する要求事項に変更を加えない提案をしています。IFRS第9号の適用開始日において、企業は、金融資産に分類の上書きを適用しているか否かにかかわらず、IFRS第9号における移行に関する要求事項について、当該金融資産に対する適用が要求されます。
適用日
IFRS第17号の移行に関する要求事項に提案されている狭い範囲の修正は、2023年1月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
PricewaterhouseCoopers LLP
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