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2023/08/17 通貨会計の空白を埋める：交換可能性の欠如に関する新たなIFRS要求事項【速報解説】
公表日: 2023年08月17日
jp 速報解説（In brief）
⇒原文（英語）はこちらへ
要点
2023年8月、国際会計基準審議会（IASB）は国際会計基準（IAS）第21号を修正し、ある通貨が他の通貨に交換可能であるかどうか、および、交換可能でない場合に使用すべき直物為替レートを企業が決定する際に役立つ要求事項を追加しました。これらの新しい要求事項は2025年から適用され、早期適用が認められます。
論点
IAS第21号は、企業が外貨建取引を機能通貨で報告する、または在外営業活動体の業績を異なる通貨に換算する際に企業が使用する為替レートを定めています。これまで、IAS第21号は、2つの通貨間の交換可能性が一時的に欠如している場合に使用すべき為替レートを定めていましたが、交換可能性の欠如が一時的でない場合に何をすべきかは定めていませんでした。
2023年8月15日、IASBは、企業が以下を行う際の助けとなるIAS第21号の修正を公表しました。
- 2つの通貨間の交換可能性の評価
- 交換可能性が欠如している場合の直物為替レートの決定
誰がどのような影響を受けるか
企業が、測定日または特定の目的のために他の通貨に交換可能でない外貨建取引を行っている、または在外営業活動体を有している場合、修正による影響を受けます。ある通貨は、企業が通常の事務上の遅延を含んだ時間枠の中で他の通貨を入手する能力があり、かつ、交換取引が強制可能な権利および義務を生じさせる市場または交換メカニズムを通じて行われる場合には、当該他の通貨に交換可能です。
2つの通貨間の交換可能性の評価には、取引の時間枠、他の通貨を入手する能力、市場または交換メカニズム、他の通貨を入手する目的、および他の通貨の限られた金額のみを入手する能力といったさまざまな要因を分析する必要があります。
ある通貨が他の通貨に交換可能でない場合、直物為替レートを見積る必要があります。測定日に直物為替レートを見積る目的は、実勢の経済状況において、測定日に市場参加者の間での秩序ある交換取引が行われる際の取引レートを決定することです。
IAS第21号の修正は、直物為替レートの見積方法に関して詳細な要求事項を提供していません。そのかわり、企業が以下を用いて測定日における直物為替レートを決定できる枠組みを定めています。
a．無調整の観察可能な為替レート、例えば、
ⅰ．企業が交換可能性を評価する目的以外の目的での直物為替レート
ⅱ．当該通貨の交換可能性の回復後、企業が特定の目的のために他の通貨を入手することができる最初の為替レート
b．その他の見積技法、例えば、新たな要求事項の目的を満たすために必要に応じて調整される観察可能な為替レート
PwCの所見
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これらの修正の開発にあたり、IASBは、直物為替レートを見積る際に使用する観察可能な為替レートの階層を設定しない決定を行いました。一般的に、階層は一貫性を高めるというメリットがありますが、今回の場合、追加のコストをかけても、より有用な情報を提供できない可能性がありました。見積りの明確な目的および見積りにどのようなアプローチをとるかの選択の組み合わせにより、企業は、企業の具体的な状況を考慮した、費用対効果の高いアプローチを決定することができます。
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企業による要求事項の評価に役立てるために、以下の図が修正に追加されました。
修正には、通貨が交換可能でない場合の影響、リスクおよび見積られたレートならびに使用する技法を投資家が理解できるような、新たな開示が含まれています。
適用日
新たな要求事項は、2025年1月1日以後開始する事業年度から適用されます。早期適用は認められます。
経過措置
企業が新たな要求事項を初めて適用する場合、比較情報の修正再表示は認められません。かわりに、企業は、適用開始日現在で見積った直物為替レートで影響を受ける金額を換算し、利益剰余金（外国通貨と機能通貨の間の場合）または為替換算差額の累計に係る剰余金（機能通貨と表示通貨の間の場合）を調整することが要求されます。
PricewaterhouseCoopers LLP
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